ジャパンブランド調査2018~「訪日者向けビジネス」へのサジェスチョン~No.7
今後の訪日者向けビジネスのキーワードは?
2018/08/09
訪日観光客数は年々増加し、2017年には過去最高となりました。
さらに、2019年にはラグビーワールドカップ、2020年は東京オリンピック・パラリンピック、2021年はワールドマスターズゲームズ関西と「ゴールデン・スポーツイヤーズ」を迎えます。
この一大スポーツイベントをきっかけに訪日外国人がさらに増え、行政、自治体、各企業での取り組みもより活発になることが予想されます。そんな中、日本は世界からどう映っているのでしょうか。
どこの国や地域で、日本の何を目的に訪日意向が高まっているのか? また、“メード・イン・ジャパン”は、今どのような評価を得ているのか? 電通の「チーム・クールジャパン」は18年1~2月、世界20カ国・地域で「ジャパンブランド調査2018」を実施しました。
本連載では今後の訪日者向けビジネスのキーポイントとなる調査結果を紹介していきます。
第6回の「日本製品で買いたいものは? また、その理由は?」では、購入の際に重視するのは「品質」が1位という一方、「環境や社会に考慮して開発されているか」が3位にランクイン。この調査結果を受け、昨今社会課題でよく話題に上っているSDGs※1に注目しました。
そこで、第7回は「訪日者向けビジネスのキーワード」と題し、SDGsをピックアップ。その認知度や意識についてご紹介していきます。
※1 「持続可能な開発目標」。国連で決議された環境や社会の課題解決のための目標。
Q SDGsを知っていますか?
A 日本以外の世界20カ国・地域での平均認知率は51.6%、日本は14.8%(※2)。
20カ国・地域の中でも、インド、インドネシア、フィリピン、ベトナム、イタリアは7割を超え、非常に高い認知レベルに到達しています。一方低かったのは、フランス、ドイツで3割弱。
日本のSDGs認知度は、それをさらに下回り、世界で最低水準です。2015年にSDGsが国連で採択されて3年がたつ中、認知度の低い日本は後れをとっている一方、多くの国ではスタンダードな考え方になってきています。
※2 日本のデータは参考値。国内のSDGsに関するデータは、電通の「teamSDGs」が行った調査結果であり、対象者の収入条件を特に設定していないという点でジャパンブランド調査とは条件が異なるため。
Q SDGsについてどういった意識・アクションをとっていますか?
A「考え方に共感している」が最多。「SDGsに関する企業の商品やサービスを選んでいる」など、実際に行動に移しているという回答も上位に。
「考え方に共感している」との回答はどの国でも上位にランクインし、全体の平均では1位という結果に。SDGsを理解している人は今後、より重要性が高まると捉え、商品やサービスを選択する際の指針にまでなっていることが分かります。
一方で日本は、17年7月にSDSN(持続可能な開発ソリューション・ネットワーク)からSDGs達成進捗が世界157カ国中11位という評価を得ているにもかかわらず、企業での取り組みは、まだまだCSR(企業の社会的責任)の一環という位置付けが多いように見受けられます。
海外での意識の高さや重要性を鑑みると、SDGsは今後、マーケティングや経営戦略立案の際にも、欠かせない視点となるのではないでしょうか。
ジャパンブランド調査2018の概要
●目的:日本の食や観光、日本産品など「ジャパンブランド」全般に関する海外消費者の意識と実態を把握し、企業のマーケティング活動を支援。
●対象エリア:20カ国・地域
中国(グループA=北京、上海、広州、グループB=深圳、天津、重慶、蘇州、武漢、成都、杭州、大連、西安、青島)、香港、台湾、韓国、インド、シンガポール、タイ、インドネシア、マレーシア、ベトナム、フィリピン、オーストラリア、アメリカ(北東部・中西部・南部・西部)、カナダ、ブラジル、イギリス、フランス、ドイツ、イタリア、ロシア
※東アジア(中国、香港、台湾、韓国)
※ASEAN(シンガポール、タイ、インドネシア、マレーシア、ベトナム、フィリピン)
●調査手法:インターネット調査
●対象者条件:中間所得層以上の20~59歳男女
※「中間所得者層」の定義:OECD統計などによる各国平均所得額、および社会階層区分(SEC)をもとに各国ごとに条件を設定
●サンプル数:中国はA・B300人ずつ計600人、アメリカは600人、それ以外の地域は各300人合計6600人
●調査期間:2018年1月12日~2月16日
電通 チーム・クールジャパン
日本の文化や強みを生かした商品・サービスを海外市場に展開していく「クールジャパン関連事業」推進のために発足した電通の全社横断プロジェクトチーム。海外展開するクライアント企業の担当者やメディア・コンテンツ担当、海外の現地法人ネットワーク担当、プロデューサー、プランナーが集まり、魅力的な日本を世界に打ち出していく取り組みを行っています。