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デジタル広告の“価値毀損”を防げ!No.3

動画広告に安心・安全は当たり前。成果を最大化する新広告とは?

2018/10/12

左から植木崇文氏(電通ラジオテレビ局)、栖原啓明氏(テレビ朝日)、村山亮太氏(電通デジタル)
左から植木崇文氏(電通ラジオテレビ局)、栖原啓明氏(テレビ朝日)、村山亮太氏(電通デジタル)
<目次>
デジタル広告の問題を解決し、広告主と媒体社双方に有益なシステムを構築
「高い認知効果」と「安心・安全な環境」がPremium Viewの強み
媒体同士がつながりさらに広告効果が高まることを期待!

 

電通、電通デジタル、サイバー・コミュニケーションズは、民放キャッチアップなど、信頼性や品質の高い(=プレミアムな)媒体とコンテンツだけを配信対象とする動画広告サービス「Premium Viewインストリーム動画広告」(以下、「Premium View」)の提供を開始しました。

広報リリース:http://www.dentsu.co.jp/news/release/2018/0907-009597.html


この取り組みの意義を伝えるため、「Premium View」プロジェクトをリードする植木崇文(電通ラジオテレビ局)・村山亮太(電通デジタル)と、連携企業のテレビ朝日・栖原啓明氏を迎えて座談会を実施。デジタル動画広告の抱える課題や、民放キャッチアップ系サイトに広告を配信するメリットについて語り合いました。

デジタル広告の問題を解決し、広告主と媒体社双方に有益なシステムを構築

栖原啓明氏(テレビ朝日)
栖原啓明氏(テレビ朝日)

村山:今回はテレビ朝日のデジタル広告担当者・栖原さんをお迎えして、「Premium View」の目的と意義をお話しします。よろしくお願いします。

栖原:テレビ朝日も「Premium View」に参加し、「テレ朝キャッチアップ」や「TVer」といったキャッチアップサービス(テレビコンテンツの見逃し配信やアーカイブ配信)の広告枠を提供しています。キャッチアップの広告枠を初めて運用型の領域に提供しますが、デジタル上に「プレミアムな広告枠」の創出を目指す「Premium View」への期待感は非常に高いです。

村山:まず、「Premium View」を企画した背景をお話ししましょう。

デジタル広告はいろいろな問題を抱えています。特に昨今、機械でクリック数や動画再生数が水増しされる「アドフラウド」(広告詐欺)や、ヘイト系など不適切なコンテンツ上に動画広告が掲載されて「ブランドセーフティー」が損なわれる問題が顕在化し、広告主からも強く対応を求められるようになってきています。

また、媒体社サイドにも問題が存在し、中でもデジタル広告の価格崩壊は切実です。プログラマティック広告の台頭と共に単価が下落した結果、媒体社はなかなか収益を上げられず、リッチなコンテンツへの投資ができにくい状況が続いています。

植木:こうした話は主にバナー広告の世界で言われてきたことですが、急成長している動画広告でも同じ課題が見えています。

デジタル広告の出稿方法には、決まった広告枠を買う「予約型」と、価格や掲出先がリアルタイムで変動する「運用型」があり、今の市場での割合は2:8ぐらいです。私たちはずっとテレビの仕事をしてきたので、どうしても予約型が基本という認識があったのですが、やはり動画広告も運用型により大きなニーズと可能性があると今は感じています。

村山:そうした中、運用型の領域で高単価かつ良質なインストリーム動画広告配信ができるメニューとして立ち上げたのが「Premium View」です。インストリームとは、動画サイトなどでのコンテンツ再生時に、テレビCMのように差し込まれるタイプの動画広告です。

「Premium View」は放送局コンテンツなどの“プレミアムな在庫”のみで構成されるので、広告主は適切で安全なコンテンツ上に広告を配信できます。そして媒体社は適切な価格で広告枠を販売できるシステムになっているので、その収益でより優良なコンテンツを生み出せる。優良コンテンツが増えると、広告掲載環境がより充実し、広告出稿のオプションも広がっていく。そうしたエコシステムをつくるのが一番の目的です。

「高い認知効果」と「安心・安全な環境」がPremium Viewの強み

植木崇文氏(電通ラジオテレビ局)
植木崇文氏(電通ラジオテレビ局)

村山:この取り組みを語る上では、テレビという媒体の強みを考える必要がありますよね。

植木:地上波で流れるテレビCMには、圧倒的なリーチ力と認知力があります。例えば、全国ネットで番組平均視聴率が10%だと約600万~1000万人が番組を見ていることになりますが、一度にこれほどリーチ力のある媒体は他にありません。さらに、電通グループとビデオリサーチによる調査で、テレビは他の媒体よりも「広告を覚えてもらえる」認知効果が高いことが実証されています。

テレビ、キャッチアップ、動画CGMサイトの広告認知効果。単位は%。テレビとキャッチアップを掛け合わせた場合の認知効果が最も高く、続いてテレビのみが高い。

テレビ、キャッチアップ、動画CGMサイトの広告認知効果。単位は%。テレビとキャッチアップを掛け合わせた場合の認知効果が最も高く、続いてテレビのみが高い。

栖原:その一つの理由としては、テレビはデバイスが大きいので映像のインパクトが強く、それが認知力につながっていると思います。

植木:そしてテレビCMの持つ認知力は、キャッチアップにも受け継がれています。

キャッチアップは広告をスキップできないので、CMの「完全視聴率」(CMを見始めた人の何%が最後まで見るかという率)が約90%前後と、他のデジタル媒体より非常に高いんです。

「広告をスキップできない」と聞くと、視聴者にネガティブなイメージを与えるのではと危惧する人もいますが、2018年に電通デジタルが行ったユーザー調査では、実はインストリーム広告をスキップできる媒体よりも、広告に対してネガティブなイメージを与えないことが分かりました。

村山:意外ですよね。「飛ばせない」ということでストレスがたまり、商品やサービスにネガティブな印象を持つのではないかという気がしますが。

植木:理由として考えられるのは、広告をスキップできる媒体では「スキップできるとき」と「できないとき」が混在しているからです。

人間の心理として、同じ媒体で一度でも広告が飛ばせると、次に飛ばせなかった時にストレスを感じます。その点、キャッチアップは、広告が全てスキップできない仕様になっています。

栖原:それに、「番組の間に広告が入る」ことは、昔からの習慣もあり、テレビコンテンツでは自然なことと受け止められているので、キャッチアップの視聴者もストレスを感じることが少ないのかもしれないですね。また、テレビと同じく「視聴者が自ら見たいコンテンツを選んでじっくり見る」という特性もあり、広告の認知効果に貢献していると思います。

村山:インストリーム動画広告の「最後まで見てもらえるのか」「ネガティブなイメージを持たれないか」といった不安要素が、キャッチアップでは解決されているということですね。それに広告は、商品やサービスを認知してもらえなければ意味がない。キャッチアップの圧倒的な認知力は「1リーチの価値」を上げると思います。

栖原さんは、広告媒体としてのキャッチアップの強みはどこにあると考えておられますか。

栖原:私たち局側が最も強調したいのは、やはり「信頼性」です。キャッチアップでは地上波と同じコンテンツが配信されていますが、それらの番組はどれも国、民放連、個々の放送局といったそれぞれのレイヤーで定めているルールに沿ってつくられていて、第三者機関によるチェックも行われています。

ヘイト系の行き過ぎた表現や権利侵害、フェイクといった心配のない、安心・安全、かつクオリティーの高いコンテンツであることが一番の強みでしょう。

村山:信頼性は非常に大きなポイントですね。今、インストリーム動画広告の配信先はほとんどユーザー投稿型の媒体(CGM)です。ユーザー投稿コンテンツの中には、法的・倫理的に問題なものがある上、チェックは機械で行われることも多いので見逃されるケースもあります。

植木:テレビに長く携わっている人間からすると、コンテンツの信頼性が担保されていることは当たり前に感じるけど、デジタルの世界は違うんですね。

村山:「いろいろなコンテンツに配信される」という運用型広告の「無限性」は、多くの問題を生んできました。「Premium View」は、むやみに無限性を求めていません。しっかりとした環境でブランディング広告を出したい広告主にとって、初めて運用型インストリーム動画広告で求めるものができたということを知ってほしいです。

栖原:もう一つ付け加えると、キャッチアップは広告も全画面表示が基本となるので、モバイルデバイスなどでもクリエーティブの魅力が伝わりやすいのも大きな利点ですね。

媒体同士がつながりさらに広告効果が高まることを期待!

植木:キャッチアップは基本的にテレビCMと同じ認知媒体と考えてよいと思いますが、デジタル媒体なので「広告を見たユーザーの態度変容が可視化しやすい」というメリットもあります。民放キャッチアップは、電通の「ピープルタグ」が入っていて、サイトへの来訪、広告を見た後の商品購入といったデータが得られます。

栖原:マーケティング活動は媒体単体で完結するものでなく、どの広告主も「どのようなアクションをつなげていくと、最終的に自社に返ってくるか」を考えていらっしゃいますよね。おそらく、 CM を見た視聴者をコンバージョンまで追っていきたいんだと思います。

地上波とキャッチアップは、同じコンテンツを供給していても、広告主が狙う目的は異なると考えます。地上波では一斉に多くの人のマインドに訴え、世の中の空気を変えていくことが可能です。一方、キャッチアップではターゲットを絞り、それぞれのターゲットに応じた広告でさらなる態度変容を促します。さらに、その先のコンバージョン系媒体も含めた横断的な施策ができれば、広告媒体としてのキャッチアップの価値がもっと上がると思います。

例えば、テレビ朝日にはAbemaTVという、若年層と地上波のライトユーザーに非常に強い媒体もありますので、統合的・横断的に広告枠を買いやすい仕組みも今後は検討したいです。まずは「Premium View」を手始めに、キャッチアップの広告媒体としての価値が広まることを期待しています。

村山:「Premium View」だけに閉じず、電通グループにはSTADIAなど、テレビとオンライン、さらにOOHなども含めたスキームがたくさんありますので、そういうところも広告主に満足していただけると思います。本日はありがとうございました!