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なぜ今、電通がプレミアムな動画広告サービスを構築したのか

デジタル広告の“価値毀損”を防げ! №2

  • 村山 亮太

2018/09/11

なぜ今、電通がプレミアムな動画広告サービスを構築したのか

Premium Viewインストリーム動画広告

電通、電通デジタル、CCIは、放送局コンテンツなどによる “プレミアム(=優良な)在庫”だけを集めた「Premium Viewインストリーム動画広告」を開発、この9月から本格的に提供を開始しました(広報リリース)。

なぜ今、デジタル動画広告の出稿先としてプレミアムなコンテンツが求められているのでしょうか?

本コラムでは、インストリーム動画広告の問題点とその原因、それに対し電通グループが提示しようとしている解決策を紹介します。

<目次>
インストリーム動画広告のブランドセーフティ問題
インストリーム動画広告のアドフラウド問題
「CGM」が不適切コンテンツをチェック・削除するのは難しい?
インストリーム動画広告における安全・安心の環境「Premium View」とは?

 

インストリーム動画広告のブランドセーフティ問題

ブランディング目的で最も人気がある広告フォーマットの一つが、動画サイトのコンテンツ中に差し込まれる「インストリーム動画広告」です。年々このフォーマットの人気は高まっており、インターネット広告におけるテレビCMのような役割が求められるようになってきました。

しかし、急激な人気の高まりに呼応する形で、広告価値毀損(前回記事参照)の問題が顕在化しました。これは、ヘイトやポルノ、違法アップロードといった、広告掲載には不適切な動画コンテンツ上に自社の出稿した広告が掲載されてしまうという「ブランドセーフティ」のリスクのことを指します。

こうした意図しない形での広告掲載は、ブランドにマイナスのインパクトをもたらす可能性があります。

現在のインストリーム動画の掲載先コンテンツについては、ブランドセーフティの観点から下記三つの問題が存在します。

倫理性の問題~コンテンツの倫理性

昨今、いわゆるアダルト系、グロテスク系、ヘイト系など、倫理的に問題があるコンテンツに広告が掲載されてしまうケースが目立ち始めています。

バナー広告でも同様の問題は発生していましたが、インストリーム動画広告はインパクトが強い(=認知パワーが強い)フォーマットのため、ネガティブな印象もより強く認識され、大きな問題につながりやすいという課題があります。

問題が発生した場合には、広告の価値毀損に直結します。

違法性の問題~違法アップロード、著作権処理、肖像権処理など

広告掲載先のコンテンツが、違法性をはらんでいる場合です。具体的には、当該コンテンツが違法アップロードではないか、著作権や肖像権処理がしっかりなされていないのではないかという問題です。

ブランディング広告が「違法アップロード」で「著作権・肖像権」の処理がまったくなされていないコンテンツに掲載されるような状況は健全とはいえません。

クオリティーの問題~コンテンツのクオリティー

倫理上の問題や違法性の問題に比べると曖昧な基準にはなりますが、広告掲載先コンテンツのクオリティーについてもしっかり精査しなければなりません。

掲載先を限定し過ぎると、広告リーチは限定的にはなってしまいます。しかし、だからといって闇雲に広げ過ぎると、ブランド価値を下げかねないような低クオリティーなコンテンツ上に広告が掲載されてしまうリスクが高まるという課題があります。

インストリーム動画広告のアドフラウド問題

また、不当に収益を得るために仕掛けられた「ボット」などによって、不正に動画が再生されていることがあります。こうした再生数の“水増し”は、アドフラウド(広告詐欺)と呼ばれる問題の一部です。

しかし、こうした悪意のあるコンテンツを含む不特定媒体への広告配信は、パフォーマンス(リーチ・CPM単価・完全視聴率)の数値上では非常に効率よく見えることが多いため、広告主から高く評価され、結果的に予算が増額されることも少なくありません。

そうなると、広告主は知らぬ間に予算を無駄にしてしまうだけでなく、アドフラウドを助長する負のエコシステムに寄与することになってしまいます。

「CGM」が不適切コンテンツをチェック・削除するのは難しい?

このように、現在のインストリーム動画広告には大きな問題がありますが、改善は容易ではありません。インストリーム動画広告の配信先のほとんどが「CGM」媒体であるためです。CGMとは、Consumer Generated Mediaの略称で、「ユーザー投稿」など、ユーザーの参加によって成立するメディアのことをいいます。

CGMでは、媒体社はユーザーに「場」と「一定の自由」を提供し、ユーザーはルール内でそのサービスを享受します。媒体社は当然、法的・倫理的側面からさまざまなポリシーを設定しますが、全てのユーザーが準拠してくれるわけではありません。そして媒体側にとっても、ユーザー投稿を完全に把握し、不適切なものだけを削除していくことは困難な状況です。

CGMの場合、ユーザー投稿のコンテンツ内容チェックは下記のようなフローで実施されることが多く、この場合チェックはコンテンツ掲載の「事後」になされることになります。そのため、不適切なコンテンツも、削除されるまでの一定期間は掲載されてしまうという課題があります。

CGMの場合のコンテンツ内容チェックフロー

そして、大手サイトで投稿数が多くなるほど、当然チェックは難しくなります。この場合、人による目視チェックにはどうしても限界があり、システムによるチェックがメインになります。結果、チェックの精度が下がり、本来は許容されるべきではないコンテンツの量も相対的に多くなってしまうのです。

昨今ではCGMサイトでもさまざまな努力がなされ、全てのユーザー投稿コンテンツをリアルタイムに近い形で全件チェックしている媒体社もあります。しかしながら、インストリーム動画広告の掲載先となるような動画サイトは投稿されるコンテンツ量も膨大であることから、人的な確認や投稿前のチェックは限定的であるというのが実情です。

一方で、リスクが低い動画広告の仕組みは今までも存在してきました。その代表格が「テレビCM」です。テレビのコンテンツは、ユーザーではなく企業によって制作され、またそれらコンテンツは全て「事前」に厳しく審査されてきました。

テレビの場合のコンテンツ内容チェックフロー

コンテンツが全て「掲載前」にチェックされるために、ブランド毀損のリスクは現在のインターネット広告よりもはるかに低いものになっています。

インストリーム動画広告における安全・安心の環境「Premium View」とは?

インストリーム動画広告におけるブランドセーフティやアドフラウドの課題は、なかなか克服されることがなく、テレビCMモデルのように安心・安全な広告環境づくりは、日本のインターネット領域における長年の課題でした。

これに対応すべくわれわれが開発を進めてきたのが、冒頭で触れた「Premium Viewインストリーム動画広告」です。

このサービスのポイントは、インストリーム動画広告を配信する先のコンテンツを、「企業によってしっかり管理されているもの」に限定している点です。具体的には、下記2点をルールとすることで、一定以上のクオリティーを担保します。

  • ルール1 掲載先がCGMではないこと
  • ルール2 コンテンツは掲載前に必ず内容の審査を受けていること(倫理性、違法性、クオリティーの面で基準をクリアしているもの)

今回の取り組みでは、動画コンテンツ制作の知識と経験が豊富な媒体社と提携することで、審査の基準を厳格に保つと同時に、制作されるコンテンツのクオリティーも担保できるようになります。

また、動画コンテンツの収益者が、CGMでありがちな一般ユーザーではなく、信頼性の高い優良媒体社や優良コンテンツプロバイダーであるため、再生回数の水増しを含むアドフラウド問題を改善、克服する施策の一つとなります。

本サービスを通じて配信される厳選された優良な動画広告コンテンツを、私たちは「プレミアムコンテンツ」と呼んでいます。

私たちは「Premium Viewインストリーム動画広告」を通して、プレミアムコンテンツの制作者に利益還元がなされ、さらなる優良コンテンツが生み出されていくようなエコシステムの構築を目指しています。これにより、広告主に安定的に広告在庫を拠出できるよう、今後も努力し続けていきます。