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生活者の期待が最も高い2028年の社会は「電気・水素自動車の普及した社会」

10年後の未来を考える!未来予測支援ラボNo.2

2018/11/14

生活者の期待が最も高い2028年の社会は「電気・水素自動車の普及した社会」

前回は生活者に「(理想も含めて)10年後はこんな社会になっているかも」という設問(60項目)それぞれに「なっていてほしいと思うか(希望)」「なっていると思うか(実現性)」を答えていただいた、「10年後になっていてほしい社会、なっていると考える社会」の上位ランキングを見てみました。今回は、より詳しくランキング内容を探っていきます。

質問した60項目を、「なっていてほしい項目」を横軸、「なっていると考える項目」を縦軸にプロットし、散布図として描いたのが図表1です。おおむね正の相関ではありますが、だいぶ下側に偏っていることがうかがえます。「なっている(上側)」と考える項目も一定程度はありますが、設問の多くは実現は難しいのではと考えられていることが理解できます。

詳しい項目ごとの分布は以降の図表で確認できます。

この散布図に縦・横軸の平均を出し、図を四つの象限に分けました。それぞれ図表2のように整理できます。

図表3は①10年後に「なってほしい、かつ、なっていると考える社会」です。生活者が望み、かつ実現度が高いと考えている項目がこの象限にプロットされています。ここにフィーチャーされたのは、全60項目のうち14項目です。

この中で、「なってほしい(希望)」も「なっている(実現)」も高いと考えられているのは主にテクノロジー関係です。「自動運転が、業務利用などで実現」「電気自動車や水素自動車が普及」「ネットスーパーで日用の買い物は済む」「人型ロボットが家庭生活をアシスト」などが挙がっています。これらの技術はすでに実現され、一部は実用化が図られているものもあり、現在の延長線上として実現性がイメージしやすいのかもしれません。

次いで多いのは、働き方やライフスタイルに関する項目です。「自宅、地方勤務など働き方のスタイルが多様化」「複数の仕事に就く働き方が一般的に」「空き家活用の新しいライフスタイルが普及」「夫婦ともフルタイムで働きながら子育て可能に」「女性管理比率30%超」などが期待度も高く、10年後の実現性も高い項目です。

加えて高齢化関連では「高齢化問題解決の産業・商品サービスが多数生まれる」「日常の健康管理、予防意識が浸透」が、環境関連では「風力・地熱発電など再生可能エネルギーが普及」「太陽光発電など家庭の創・省・蓄エネが普及」などが挙がっています。

いずれも、これらの項目は、10年後のわれわれの生活に好ましい影響を与えるものとして捉えられていることが理解できます。

図表4は②「なってほしいわけではないが、なると思う社会」です。言い換えれば、関心は低いものの、実現性は高いと考えられている項目と捉えられます。全部で8項目。数もさほど多くありません。おおむねテクノロジー関係が並んでいます。

「あらゆる行動がキャッシュレスに」「スマホやAIスピーカーなどで日常でAI活用」「ドローン物流が実現し、宅配ドローン活躍」「多言語翻訳、自動翻訳機が普及」「高度情報化スマートハウスが普及し生活の利便性が向上」などです。

産業関係では、「観光旅行客数が増加で日本の主要産業に」「オタク、アニメなどジャパンコンテンツが大きな産業に」が挙がっています。

ここにプロットされている項目は、「実現するとは考えられているものの、その期待度がさほど高くない」項目といえます。新しいテクノロジーは、たとえ発明されても、それが人々に受け入れられ普及しない限り、実現したとはいえません。過去にも、さまざまな革新的な発明がなされたものの、普及しないまま埋もれてしまった数多くのケースがありました。

そのような視点に立てば、ここに挙げられた項目は、今後いかに生活者の方から実現が切望される技術として認知していただけるか、そのための受容認知の変化(第1象限への移行)が課題といえるでしょう。

図表5は③「なってほしいが、ならないと思う社会」です。この象限では全60項目のうち17項目がプロットされています。この象限にプロットされている項目は、期待度は高いものの、何らかの理由で実現度は低いと考えられている項目です。OK

ここには現在の経済状態、人口減少、高齢化に伴う課題、日本特有の社会構造に由来する項目が多数を占めています。中でも、「日本の景気が回復し再び豊かな生活を享受」「高齢期にも安心して暮らせる社会が実現」「低成長でも幸福感を持ち暮らせる社会が実現」などが特に高く望まれている項目です。

また、「障がい者に対してバリアフリーなど優しい社会に」「LGBTなど性的マイノリティーに抵抗感を持つ人が居ない社会に」「性差差別がなくなり、多様性を許容する社会に」などのダイバーシティー項目や、「お金より自分が好きなことで仕事を選ぶ」「100歳時代、高齢者でも差別なく多様な働き方が可能に」などの働き方に関する項目もこの象限に入っています。

ここに挙げられている項目は、テクノロジーの進捗だけで実現できるものではなく、さまざまな社会構造変革や各種制度改革なくしては実現できない項目です。これも先の第2象限の項目と同じく、少しでも10年後には「なっている」(第1象限への移行)を図るべく努力することが我々にとって重要であるといえるでしょう。

図表6は、④「なってほしくないし、ならないと思う社会」です。最も数の多い21項目がプロットされています。ここの項目は、今回の対象者から見た場合、実現性に対する期待もさほど高くなく、かつ実現度も低いと思われている、全般的に体温の低い項目といえます。項目内容は多岐にわたります。

印象としては、第1象限や第4象限にあるような全世代が享受できるテクノロジーや、日本社会全体の方向性に関する事象項目ではなく、特定の人々が対象となるテクノロジーや社会事象が比較的多いかもしれません。

いずれにしても将来の実現に対しても、生活者の期待度から見ても課題が高いのがこちらの項目であるといえるのではないでしょうか。

最後に、今回の「なっていてほしい社会」と「なっている社会」のランキングを合体し、総合ランキングとしてまとめてみたのが図表7です。二つのランキング(なってほしい社会、なっている社会)を平準化させるために、それぞれのパーセンテージを偏差値化し、合算したものをトップ10として並べました。

これを見ると、トップになったのは「電気自動車や水素自動車の普及が安価になり、より一般的になっている」でした。次いで2位は「自動運転が、業務利用など一部の分野で実現されている」と同じく自動車関連であり、車テーマは生活者の興味も高く、実現性も高いと思われていることが理解できます。

また3位と9位には「ネットスーパー」「キャッシュレス社会」が挙がっており、購買行動の変化も生活者の大きな関心事であることが理解できます。その他、上位に並んでいるのは、高齢期、子育て社会、多様な働き方などのテーマが共に期待も寄せられ、変化が実現すると考えられているようです。

以上で、前回から2回続いた「2028年になってほしい社会、なっている社会」の説明は終わりです。次回は少し焦点を変え、「女性活躍、若者活躍、高齢者活躍」の三つの視点から10年後の未来を考えてみたいと思います。

 

お問い合わせ先 future@dentsu.co.jp

 

【調査概要】

調査名:「生活者が考える2028年の未来調査」

実施実施:2018年6月

調査手法:インターネット調査

調査対象:全国に住む20~69歳の男女(1000サンプル)

調査会社:電通マクロミルインサイト