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10年後の未来を考える!未来予測支援ラボNo.3

10年後、若者活躍・女性活躍・高齢者活躍は進んでいるか?

2018/11/28

誰もが活躍する社会はまだ遠い? 若者・女性・高齢者活躍社会の現在

「生活者が考える2028年の未来調査」のご紹介。第3回のテーマは、“若者活躍・女性活躍・高齢者活躍”です。

今後、長期的に人口減少が続く日本社会において、誰もが持てる力を余すことなく発揮できる社会の実現は大きな課題です。一方で、現在の日本には、その実現を阻むさまざまな見えない壁が存在しています。例えば、若者であれば非正規雇用から正規雇用への転換の壁、女性であれば育児と仕事の両立や管理職登用の壁、高齢者であれば多様な就労ニーズと現行雇用のミスマッチなどです。

これらの目に見えない制度的、慣行的な壁を一つ一つ取り除いていくことが、誰もが活躍する社会の実現につながるわけですが、実際の生活者の人々は、そういった壁が取り払われ、活躍できる社会の実現可能性をどのように考えているのでしょうか。

今回の調査で質問したのは大きく三つのポイントです。「男女平等・女性活躍」「高齢者活躍」「若者活躍」の現在と10年後の進捗状況について、それぞれ「活躍するチャンスが与えられている」かどうか聞いてみました。

図表1

いずれも、「活躍するチャンスが与えられている」「やや与えられている」と回答した人の合計は、20%から30%どまりでした。最も進んでいると思われている「男女平等・女性活躍」でも「女性に優位」「女性にやや優位」「男女平等」を加えてわずか30.8%。残りの7割近くは男性優位と答えているのが現状で、これだけ見れば、まだまだ日本は圧倒的に「男性優位社会」という認識です。

高齢者活躍、若者活躍については、「どちらともいえない」という回答が4割以上を占めており、高齢者に活躍するチャンスが与えられていると考える人は22.4%、若者に活躍するチャンスが与えられていると考える人は24.5%と、ともに低い数値となっています。

10年後の活躍状況を予測! 最も進むと思われるのは男女平等・女性活躍

では、10年後の2028年には、それぞれ活躍の場はどれだけ改善されると考えられているのでしょうか?

図表2

男女平等・女性活躍のみ設問が異なるので単純比較はできませんが、男女平等・女性活躍は現在の30.8%から10年後は47.1%(+16.3ポイント)に、高齢者活躍は現在22.4%から10年後32.3%(+9.9ポイント)、若者活躍は24.5%から10年後29.4%(+4.9ポイント)と、単純にこの数値だけから見ると、男女平等・女性活躍が最も進むのではないかと考えられています。

女性活躍については、すでに政府が2020年度末までに待機児童ゼロを目標として掲げ、少しずつ成果が見え始めていること、政府によりあらゆる分野で指導的地位にある女性の割合を30%にすることを目指す(内閣府・男女参画推進連携会議)などの方針が立てられていることが結果に影響を及ぼしているかもしれません。

一方、高齢者活躍、若者活躍については、10年後の活躍進捗度は現在からともに10ポイント未満であり、活躍の場が広がるとはあまり考えられていません。高齢者に関しては、定年の延長など近年高齢期でも働き続けることが社会的テーマになりつつありますが、具体的施策がまだ見えていないことが原因かもしれません。

若者についても同様です。近年、新卒の就職率は改善傾向にあるものの、彼らの活躍という側面でみると、将来の可能性が感じられるところまでたどり着いていないというのが生活者実感なのでしょう。

若者活躍社会は訪れる? 男女別・世代別の認識の違い

さらに男女平等・女性活躍、高齢者活躍、若者活躍の認識についてより詳細に見ていきましょう。

・男女差により認識が異なる男女平等・女性活躍社会
まず、男女平等・女性活躍についてです。これについては、男女で大きな認識の差が生じています。男性が、男女平等・女性活躍については現在42.2%、10年後59.2%(+17.0ポイント)と高い期待値の伸びを示しているのに対し、女性は現在19.4%、10年後35.0%(+20.6ポイント)と伸びは高いものの、実数値としては男性の半分程度にとどまっています。

男女平等・女性活躍社会とは、「女性自身が活躍できると感じられる社会のことである」と考えると、まだ道半ばであるといえます。

図表3

・世代差により認識が異なる高齢者活躍社会
高齢者活躍社会はどうでしょうか?ここでは男女差ではなく、年代差による違いが大きくなっています。傾向としては、年代が若いほど高齢者活躍社会が進むと考え、高年齢層は進まないと考えています。

図表4は男性年代別に現在と10年後を見たものです。年齢が若いほど、現在10年後ともに高齢者活躍社会と考える傾向が高くなっています。これは程度の差こそあれ女性でも同様のことが言えます。

昨今、世代間格差や世代間対立といったキーワードが世の中をにぎわせていますが、世代差による社会観の違いがここにはくっきりと反映されているといえるでしょう。

図表4

・誰もが希望を持ちづらい?若者活躍社会
最後に紹介するのは若者活躍社会です。「男女平等・女性活躍」「高齢者活躍」では、それぞれ性別、年代別に未来の活躍進捗度に差が見られました。それに対し、若者活躍では性・年代ともにさほど大きな変化は見られず、現在・未来いずれについても低い数値にとどまっています。

図表5は男女年代別に現在・10年後を見たものです。男女どの年代も若者が活躍する機会が10年後に与えられていると考える人はおおむね20~30%前後にとどまっており、将来に対する期待度はあまり高いものではありません。

少子高齢化が進む日本の中で、将来を担うのは今も昔も若者たちです。新しいアイデアや革新的なイノベーションの発案の多くが若者によってなされることは疑いようのない事実です。かつて、ベビーブーマーが若者であった時代は、大きな価値観の変革時であったこともあり、若者起点の文化が数多く生まれました。

若者自身が現在も、将来も活躍できる機会が少ないと感じてしまっている世の中のあり方は決して望ましいものではありません。より、若者が活躍できる機会やチャンスが豊富にあると感じられる社会づくりが、最も求められている要件であるといっていいでしょう。

図表5
 

お問い合わせ先 future@dentsu.co.jp

 

【調査概要】
調査名:「生活者が考える2028年の未来調査」
実施実施:2018年6月
調査手法:インターネット調査
調査対象:全国に住む20~69歳の男女(1000サンプル)
調査会社:電通マクロミルインサイト