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NYで知った、本物のワーク・ライフ・バランスとは。

電通イージス・ネットワークで世界のビジネスを学ぶ EIBAレポートNo.2

2019/08/08

NYで知った、本物のワーク・ライフ・バランスとは。

そもそもワーク・ライフ・バランスって?

今年もアドエージ誌が「働きやすい職場」ランキングを発表し、そこに電通イージス・ネットワークのクリエーティブエージェンシーの一つ、マクギャリー・ボウエンがランクインした。同ランキングのスコアは福利厚生、社風、人材育成、環境、社内コミュニケーション、従業員の特典の6項目から構成される。

オフィス
オフィスには表彰パネルが飾られている

2019年1月からマクギャリー・ボウエンNYにコピーライターとして出向している。ここマクギャリー・ボウエンでは、飼い犬と一緒に出勤できたり、毎日15時におやつが出たり、誕生日に有休が取れたり、注目アーティストの生演奏やテラスパーティーなどの社内イベントが定期的に開催されたり…。日常の職場でもワーク・ライフ・バランスに関わる多くの新鮮な事例に出合うことができる。

そもそもワーク・ライフ・バランスとは「生活と仕事を調和させることで得られる相乗効果・好循環」を意味する。

よくイメージされる、仕事と生活の天秤をバランスさせるということではなく、重要なのは、私生活が充実したものになればなるほど、さまざまなスキルが身に付き、仕事の成果も上げられるという点だ。つまり天秤でなく循環のイメージが大切なのだ。

例えば、マクギャリー・ボウエンでは 仕事に役立つ自己啓発であれば授業料を返還してもらえるという福利厚生制度がある。同僚はその予算でデザイン教室や、今アメリカで流行の「インプロ」(インプロビゼーションの略。日本語では即興演劇を意味する)ワークショップに通ったりしている。

私自身もスタンドアップコメディーの授業を申し込み、人生初のステージパフォーマンスに挑んでみた。毎週たくさんのジョークを書いて多種多様な業界に務めるクラスメイトの前で反響を確かめることによって、プレゼンスキルの向上はもちろん、英語のコピーライティングへの自信にもつながった。また、授業に通うためにより短時間で仕事を終わらせる意識も高まった。会社が背中を押してくれたからこそ、勇気を出して一歩踏み出せたと思っている。

スタンドアップコメディー
スタンドアップコメディーのステージパフォーマンス

創業者のゴードン・ボウエン氏が毎日出社しているのもこの会社のユニークなところだ。

雲の上の存在ではなく、廊下ですれ違えばあいさつを交わしてくれる。管理職のオフィスもすべて透明。誰もが気軽に立ち寄れるため上下関係にこだわることなく、フラットに意見を伝えられる環境がアットホームな雰囲気を生み出している。

さらに毎朝、チーム内に全プロジェクトの進行状況が一覧できるメールが配信される。その冒頭では上司はじめチームメンバーそれぞれの休暇が備忘録として記載されている。理由は、休暇と被らないように仕事を調整できるからだ。また、プロジェクトが平等に割り振られるため仕事量が一組に集中しないというメリットもある。こうしてお互いのワーク・ライフ・バランスを尊重し合うことが仕事の効率化につながっているのだ。

最先端のクリエーティブエージェンシーへ

そんなワーク・ライフ・バランスを重視しているマクギャリー・ボウエンが今、転換期を迎えている。一昨年ローンチしたユナイテッド航空のキャンペーンがニューヨークで話題になり、結果的に 世界3大広告賞のCannes LionsとOne Show で受賞を果たした。

タクシー
イエローキャブの電子媒体を活用したユナイテッド航空のキャンペーン

受賞したのは「ユナイテッド航空の本拠地であるNewark空港の方がJFK空港よりマンハッタンに早く着くこと」を忙しいニューヨーカーにどう伝えるかという課題に取り組んだ企画。

イエローキャブの上に設置されている電子媒体に、現在地からJFKとNewarkまでの車の所要時間をリアルタイムで比較表示するというアイデアだ。 高度なリアルタイム交通データを駆使することで、マンハッタン内であればどの位置からもNewarkの方が早いことを証明できた。

最近よく「手錠を外せ」というクリエーティブディレクションを耳にするが、固定観念にとらわれず自由自在にアイデアを考えよう、ということだ。クライアントの課題解決のためならメディアや手段を問わないクリエーティブ戦略に注力していく方針である。私の直属の上司でもあるジュリー氏はこう語る。

「この業界の面白いところは、たった一つのきっかけで最先端のクリエーティブを手掛けるエージェンシーとして見られるようになるところ。今のマクギャリー・ボウエンには才能あふれた人材とクライアントがそろっている。あとは強い作品が生まれれば、私たちの出番は必ず来る。きっと2、3年後には世界を驚かせる強いアイデアが見られるはず」

ワーク・ライフ・バランスこそクリエーティブの源泉?

2018年秋にDroga5 からマット・イアン氏が新しいCCO として就任し、さらに攻めの姿勢に入っている。イアン氏は世界的広告賞の受賞をはじめ、アメリカのテレビ業界における最高賞であるエミー賞にもノミネートされるほどの実力者だ。

マット氏
マット・イアン氏

彼はクリエーティビティーを預金口座に例えている。

「さまざまな人生経験や外部刺激から情報をインプットしている人ほど新鮮なアイデアを生み出せる。仕事漬けで口座から引き落としてばかりいると、いずれ破産してしまう。働き過ぎているクリエーティブはすぐに分かる。アイデアに既視感があるからだ。視野が内向きになっていると当然アイデアの質も下がる。だからこそ、クリエーティビティーにワーク・ライフ・バランスは欠かせない」と語る。

また、今後どのようなクリエーティブ人材を増やしていきたいか聞いたところ、「T字型」と答えた。つまり全般的な知識を持っていながら、一つのことに特化している人材だ。

横線が全般的な知識、縦線が専門性に特化している部分に当てはまる。デザインが得意なアートディレクター、監督のように考えられるCMプランナー、ユーモアが得意なコピーライター、ハッカーの思考を持ったデジタルクリエーティブなどが求められている。

もちろん、全ての専門性をそろえている人はいない。一人に複数の専門知識を期待するより、多種多様な専門性に特化した人材を集めることで互いに補い合い、チームとしてより効率的に質の高いアイデアを生み出すこと、これこそ最高のパフォーマンスを生み出すプリンシプルとのこと。

マット氏をきっかけに他のエージェンシーからフレッシュな人材が加わり、さまざまな化学反応によりビッグアイデアが生まれることが期待されている。マクギャリー・ボウエンがクリエーティブエージェンシーとして大きな転換点を迎える中、ワーク・ライフ・バランスの推進がクリエーティブの飛躍にどう作用していくのか、働き方を模索する私たちに重要なヒントを与えてくれるはずだ。

(※)EIBA (Emerging International Business Assignment)
次世代を担う人財育成の一環として、電通イージス・ネットワークの拠点に、若手社員を1年間派遣する実務研修。異文化環境下で業務経験を積み、国内外を問わず、プロジェクトの現場リーダーとして必要な視点、スキル、人脈の獲得を目指す。