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NEWSPACE PROTOTYPE OF ART DIRECTIONNo.2

I'm MEME〜私はメメ。CGでつくられた。〜バーチャル・ヒューマンの可能性

2019/09/05

アートディレクターの拡張を目指すプロジェクト“NEWSPACE”。メディアやジャンルに縛られない自由な領域とビジュアルアイデアの掛け合わせで、表現を追求します。NEWSPACE第2弾は、CGでつくられたバーチャル・ヒューマン“メメ”。

メメのアートディレクションを手掛ける松下仁美が、その誕生秘話と“バーチャル・ヒューマン”のポテンシャルについて語ります。



CGだけど、メメはコンプレックスもある普通の女の子

私は、メメ。アート系の仕事をする両親の元に生まれ、アート・デザイン・写真などがスキで、できればそれを仕事にしたいと思っている女の子。性格は、パンク。そばかすと額と顎にやや目立つあざがあり、コンプレックスに感じてるが、それをポジティブに個性として捉える側面もある。ネガティブになる時ももちろんあり、ちょっとメンヘラな側面も。自分の周りで起こることや社会の出来事について、目をそらすことなく自分のアタマで理解したいと思っており、“リアルであること”がモットー

メメは2019年の4月にInstagramのアカウントを設け、世の中にデビューしました。メメというネーミングは、みんなで編集していくインターネットミームという意味と、バツバツに「愛を込めて」という意味があり、そういう思いを込めてつけました。

つくり始めたのは昨年の9月くらいのことです。当時、仕事でCG技術の急激な進歩を目の当たりにしていたこと、バーチャル・インフルエンサーが流行り始めていたことから、「CGであえて普通の女の子をつくり込んで、日常を描いたら面白いかも?」と思い付きました。その発想を面白がってくれたCG制作会社の友人とフォトグラファーと3人で、個人的なアートワークとして始めたのが最初です。

バーチャルとリアルの錯覚を楽しむ、新しい価値観


メメをつくる上でこだわったのは、リアリティーです。完璧な美人顔にはしたくなかったので、わざと少し団子鼻にしてそばかすやあざを付けました。自然なディテールに落ち着くまで、かなり検討を重ねています。

Instagramへの投稿にもカフェでコーヒーを飲んでいたり、掃除をしたり、着替えたりなど日常のシーンを盛り込んでいます。今後はリアルな男性と恋愛をさせていく予定です。

Instagramを使って、よくある女の子の葛藤や恋愛模様のストーリーをつづる。しかも現実世界とリンクさせ、見ている人を巻き込むことで、バーチャルとリアルの境界線が曖昧になるような新感覚のコンテンツを目指しています。


 “バーチャル・インフルエンサー” 市場の拡大


ここ半年で日本にも次々と有名バーチャル・インフルエンサーが誕生し、すでにCGモデル専門のマネジメント事務所まで設立される過熱ぶりです。彼らはSNSにブランドの展示会でタレントと撮った写真をアップし、メディアや広告に登場するなど、人間のモデル同様の契約形態で仕事を受注しています。

どんなシチュエーションにも対応できるバーチャル・インフルエンサーの可能性と市場はどんどん広がっていくでしょう。

スタイル抜群のお人形のようなモデルではなく、外見に自信がないキャラでも、太っていても、おじさんでもいい。CGメードのバーチャル・インフルエンサーの多様性を表現していきたいと考えています。
 
NEWSPACEプロジェクトへの参加によって、メメがより多くの方の目に触れることになり、雑誌「CGWORLD」9月号では、涙でマスカラが流れ落ちているメメの顔が表紙を飾ることになりました。

多彩な領域で生かせるアートディレクターのスキル


私は今、アートディレクター10年目。入社後はCMやポスターをつくるものだと思っていましたが、洋服のデザインやカフェのコンセプトづくり、ドーナツ屋さんの商品開発など、手掛けた仕事の領域は多岐にわたります。直近ではファッションブランドのプロモーションとして、映画の製作に携わりました。映画を見ながら買い物ができる、インタラクティブEコマースの技術を用いたコンテンツです。

ここまで幅広い仕事ができるのは、アートディレクターという職種ならではだと感じます。自分の発想や企画を1枚絵にして提案できる。最初に目に飛び込んでくるビジュアルで人を説得できるのが、アートディレクターの強みだと思います。

メメは遊びの感覚で何の制約もなくつくり始めたので、こんなふうに世の中に出ていくことになるとは予想していませんでした。自由なアイデアを技術によって形にしつつ、バーチャルとリアルの間で生きるメメの活躍を楽しみたいです。

これからも続々と新しい表現を発表していきます。作品にご興味を持っていただける企業の皆さまは、ぜひこちらinfo@newspace.galleryまでご連絡よろしくお願いします。今後の展開にもご期待ください。