セカイメガネNo.13
きてれつ、愉快、インド
2013/08/14
インド人にルールを与えてみてほしい。ルールにまったく従わず本能のまま物事を進めようとするか、まったく実行しないか、どちらかだ。
私も例外ではない。この原稿を頼まれ、文章ではなく写真のコラージュで仕上げる誘惑に危うく負けそうになった。それがインドの今を生き生き伝える最もいい方法だと信じるからだ。全てではないにせよ、インドの断片くらいは伝えられるだろう。
それ以外に、巨大な国のあちらこちらで、この瞬間に起きている奇妙きてれつな出来事を説明する方法があるとは私には思えない。なので、私は自分が見たままを写真の代わりに言葉で皆さんにお伝えしたい。
あなたがインドとなんらかの関係を持ちたいと望むなら、大急ぎでクリケットの知識を増やすことだ。人口12億人のうち11人の2チームが競技を行い、残り全てのインド人が観戦に夢中になっている。
あなたがインドで友人をつくりたいのなら、政治家を酷評すればいい。それで全てうまくいく。
二人の男が手をつないで散歩していても彼らはゲイではない。仲のいい友達にすぎない。
北インドで男性を「兄弟」と呼べば、その人間に敬意を払う意味になる。同じように西インドのムンバイで呼べば、ちょっと困ったことに巻き込まれるかもしれない。どうしてかは、私に聞かないでほしい。背景には州同士が抱えるややこしい雇用問題があるのだ。
道路に出れば、あなたは顎が外れるくらいびっくりする光景を目撃する。その最たるものが、デリーの運転手である。どこの都市のサーキットでもいい。運転手たちをF1レーサーのシューマッハと競走させてみるといい。賭けをするなら、私は迷うことなく有り金をデリーの運転手に張る。
こんな愉快な光景に巡り合うかもしれない。男たちが二人乗りでオートバイを飛ばしている。3番目に乗っているのは人間ではなく猿である=写真。左から右へと並ぶ動物たちは、進化論の図解そのものだ。
億万長者がいるかと思えば、道路には野生動物がいる。大麻を吸う苦行僧もいるし、ラクダのミルクを飲み続けて精をつけ、最近22番目の子どもの父親になった90歳の男もいる。
それやこれやの発見があなたを待ち構えているのが、インドと呼ばれる奇妙きてれつで愉快な国なのだ。
(監修:電通イージス・ネットワーク事業局)