言葉ダイエットNo.3
テレワーク時代は、文章ベタは生き残れない時代だ。
2020/03/19
「時代なんかパッと変わる」
…という名コピーがありましたが、本当にパッとテレワークの時代がやってきてしまいました。社会が落ち着いても、この変化が後戻りすることはないでしょう。私たちの働き方は、テレワークを前提にしたものにシフトしていきます。
テレワーク時代では、話し言葉以上に、書き言葉が重要になります。この記事を見ているみなさんも、メールやTeams、Slackでのやりとりの激増を痛感されていることと思います。
こんな中、
もろもろ悩ましいところですが、ご確認・ご検討のお願いをご相談させていただきたければ幸いです。
みたいなダラダラとした文章が送られてきたら、それだけで生産性が落ちますよね。
プレゼンテーションでも、「細かい部分は口頭で説明する」やり方が通じなくなります。筆者も、企画書を先方にメールで送り、フィードバックもメールで受ける、というプレゼンを経験しました。
イノベーティブなコンセプトとアイデアでインパクトのあるモメンタムを醸成します。
みたいな企画書は、「な、何?」で終わってしまうことでしょう。
ビデオ会議も同様です。相手の顔色や場の空気を読むことが、ビデオ会議ではできません。自分の意志や議論の流れをロジカルに組み立てていく、書き言葉的な発想が求められます。
そう。テレワークは、書き言葉の時代なのです。大量のメールや添付ファイルに埋もれない、短く、端的な文章を書く必要があるのです。
そのためのスキルを僕は「言葉ダイエット」と呼んでいます。
テレワーク時代の文章は、どのように書けばいいのか?書籍の内容を一部抜粋して、ご紹介します。
「短い」は正義
メールであれ企画書であれ「短いは正義」が鉄則です。当たり前のようで、よほど意識しないと文章は必要以上に長くなります。
メールであれば、相手への気遣いや配慮から、言葉を重ねがちです。企画書であれば、ある種のサービス精神で情報を盛り込み、気づいたら100ページ超の大作になっていたりします。つねに「短いは正義」を頭の片隅に入れておくようにしてください。
「卑屈語」メールを送らない
お打ち合わせにてお伝えしたお戻しのおまとめのご反映をご相談させていただければ幸いに存じます。
…のような、気持ち悪いメールを受け取ることが本当に増えました。
僕はこういう言葉を敬語ではなく「卑屈語」と呼んでいます。「嫌われたくない」という意識が強いあまりに、卑屈さが前面に出てしまっているのです。キツイ言い方をすれば保身です。卑屈な人が尊敬されたり信頼されたりすることはありません。
メールやチャットツールの文章を書くときは、嫌われないことより、伝えることを優先しましょう。伝えづらい内容のときほど、端的な文章にすることが、本当の意味で相手を敬う姿勢です。
具体的には、
・「させていただきます」は使わない。「いたします」に言い換える。
- 例)確認させていいただきます→確認いたします。
・「お」をつけない。
- 例)お戻し→戻し
- 例)お打ち合わせ→打ち合わせ
- 例)おまとめ→まとめ
…といったことに気をつけましょう。
「企画書文学」を忘れよう
企画書っぽい文体って、ありますよね。
ターゲットの興味を醸成するために、衝撃的なインパクトのあるソリューションでエンゲージメントをドライブします。
…みたいな。
ビジネスで、ビジネスにふさわしい文体で書くことは必要です。しかし、この文体で書くことを優先した結果、内容がスカスカになってしまうことも多いのではないでしょうか。
カタカナ語と修飾語を連発すれば、内容がないそれっぽい長文を量産してしまうことができます。僕はこれを「企画書文学」と呼んでいます。
「衝撃的なインパクトによるアクティベーションでメッセージを伝えます」
「デジタルによるスキームの改革・革新で、ユーザーのインサイトを深掘り」
「コンセプト(アイデア)を起点に、ベネフィットを訴求する」
…のような文章ですね。
企画書をつくるときは、まずは企画書文学を忘れて、ふつうの言葉を使うようにしましょう。その後、内容が固まった時点で、必要に応じてビジネス用語を使えばいいのです。
具体的には、
- カタカナ語を使わない
- 修飾語を使わない
- 具体的なことだけを書く
といったことに気をつければ大丈夫です。
身軽な言葉で、身軽に働く時代へ
テレワークによって、惰性で続いてきた無用な習慣が見直されようとしています。言葉も、そのひとつです。卑屈語やカタカナ語まみれの、ぜい肉たっぷりの言葉は、もう通用しません。
ダイエットした身軽な言葉で、身軽に働く。
効率的に、堂々と、自分らしく働く。
そんな時代がはじまろうとしているのです。