「女性のデジタルサービス利用」の6個のクラスターとは?
2020/04/07
前回は最近のコトバと女性との関わりをご紹介しましたが、第2回では、女性のデジタルサービスの利用状況を俯瞰的に把握しながら、各サービス同士の関係性について解説します。
女性のデジタルサービス利用の全体像
今回、分析対象としたデジタルサービスは合計93個(各ジャンルにおける「その他サービス」の計19個を含む)。それにコレスポンデンス分析と階層的クラスター分析を行った結果が図表1です。
この分布図では、右下に10代に人気の高い<TikTok>や<PicsArt>のグループがあり、上の方に20代、30代がメインユーザーになる<たまひよ>や<mamari>などの出産・育児系サ-ビスのグループがあります(後ほど詳述します)。このようにある程度、特定の年齢層と親和性の高いサービスがまとまったグループを形成しています。
女性のデジタルサービスの6クラスター
各デジタルサービスは大きく六つのクラスターに分類されますが、以下では、それぞれのグループにフォーカスして解説していきます。
① 若年層向けクラスター
このグループには若年層に支持されているデジタルサービスの二つが入りました。<TikTok>は動画を共有し合ってつながっている人同士で楽しむサービスで、アメリカ発の<PicsArt>は、写真や動画を加工したり編集したりすることができるサービスです。他のクラスターとも距離が離れているため、このクラスターは独自のポジションを獲得しているといえます。
② SNS、音楽、エンタメ、ファッション系クラスター
ここは、<めちゃコミック>や<コミックシ-モア>などの同じジャンルのサービスが一つの集団を形成している一方で、<twitter><Spotify><hulu>という異なるジャンルのサービスがまた別の集団を形づくっています。
他にも、SNSや音楽、エンタメ、ファッション系のデジタルサービスが多く、どちらかというと若年層寄りの集団といえるでしょう。<hulu><Spotify><twitter>がお互い近いことに着目すると、twitterユーザーとSpotifyユーザー(もしくはhuluユーザー)を相互に送客し合うと、相乗効果を発揮してメディア価値が向上するかもしれません。
③ 出産子育て支援クラスター
ここでは一部、異性との出会い系のサービスも含まれますが、出産子育て系のクラスターといえるでしょう。クラスター①と同様に、他のクラスターとも距離が離れていることも特徴です。そういう意味では、上にあるデジタルサービスほど出産子育てを支援するもの、つまり女性のニーズに応えてくれるものがプロットされています。
④ 美容・ファション関連クラスター
このグループでは、<hotpepper beauty><@cosme><美的.com>などの美容関連デジタルサービスの他、<Brandear><GAP><ZOZOTOWN>といったファッション関連のデジタルサービスが入っているのが特徴です。
⑤ 生活支援系クラスター
ここでは、<Facebook><LINE>などのSNS系、<食べログ>などの口コミグルメ系、<amazon prime video><amazon music>などのエンタメ系、<マネーの達人>などのマネー系など、さまざまなジャンルのサービスが同一クラスターに入っています。
また、<LINE Pay><メルペイ>などのキャッシュレス系サービスや<DELISH KITCHEN>などの実用的なデジタルサービス、<ジモティ>といった生活支援のためのサービスが同じクラスターに入っています。このクラスターに入っているサービスを見ると、さまざまなサービスを使いこなす主婦がメインユーザーであることがうかがえるでしょう。
⑥ スマートライフ応援クラスター
項目数が非常に多く、多様なジャンルがあるのはクラスター⑤と同じです。ここで特徴的なのは、<楽天市場><amazon><LOHACO><ロコンド><価格.com>などのEC系サービスが入っている他、<ポンパレ><GROUPON>などのクーポン系サービス、<みんなの株式><Yahoo!ファイナンス>などの資産形成サービスも同じクラスターに属しています。人生100年時代を見据えて資産運用をしながら、クーポンを入手してお得な情報を引き出しつつECでも賢く買い物をする女性の姿が浮かんでくるようです。
次回は女性のデジタルサービス利用に影響を与える因子とは何かについて解説します。