事業にコミットするビジネスプロデューサーNo.10
「ギャップ」を埋める、
“プロフェッショナルな素人” として
2020/06/15
あらゆる業界が大きく変化している時代。何が起こるか、先が見えない時代。
広告業界でも、新しい職種がいろいろ生まれています。
今回はその中から、電通のグループ内でも注目の職種「ビジネスプロデューサー」をご紹介。
顧客企業のビジネスをいかに豊かなものにしていくか。それぞれのやり方で、あの手この手で取り組んでいます。
どんな仕事をしているのか、この先どんな世界を目指していくのか、聞いてみました。
連載第10回は、森永琢馬さんを紹介します。
人や組織の関係づくりを経て広がる領域
電通に中途入社する前は大手飲料メーカーで研究開発に携わっていました。その際、某医科大に博士研究員として出向する機会がありました。そこで、さまざまな人や組織との関係づくり、新しい事業開発などの作業を経験し、一気に視野が広がった気がしたんです。研究職よりも、そういった仕事をもっと手掛けてみたいと電通に転職しました。
数年たって電通生活にも慣れてきた頃、そろそろやりたいことを出していこうかなと、会社の仕事以外にも興味ある案件などに個人的に関わるようになっていきました。
最初は、名古屋のある伝統工芸でした。その伝統工芸の商工協同組合と知り合い、商品開発やイベント、ブランディングなどの提案をするようになりました。先方も、外部からの刺激を求めていたんですね。
僕の個人的な活動だったんですけど、次第に「あ、これは会社の仕事にしてもいいのかな」という雰囲気になってきて。これが「ツグモノプロジェクト」という形に発展していきます。ビジネス環境が大きく変化する時代の流れや、名古屋ならではの機動性という側面もあったと思います。
他にも内閣府の事業で、とある地方自治体の地方創生アドバイザーとして地域ブランドを構築したり、観光などの行政施策を企画・実施したり。
最近では地元の国立大と包括連携し、その大学が持つ知見などをマネタイズするお手伝いなども始めました。実際、学内には多岐にわたる資産が眠っていて、活用の仕方によっては大きな可能性があると感じています。すでに企業などからの引き合いも多いです。身近なところから始めたものが領域を広げていき、今ではグローバルな案件もあります。
閉塞した状況を突破できるスキルと覚悟で
「ギャップ」を埋める
こうしてみると僕の仕事のやり方は、外部に飛び込んでいって中から動かす形が多いかもしれませんね。そのときに大切なのは、相手組織と同化しないこと、客観的かつ一方的でない複数の視点を持つことです。自助努力ではどうにもならない、凝り固まった状況を突破できるスキルと覚悟を持った部外者が、今後さまざまな場面で求められると考えています。それを僕は「プロフェッショナルな素人」と呼び、“ただの素人”や“実現力のない専門家”などと区別して定義しています。
「トップ」と「現場」、あるいは「理想」と「現実」の間には、必ずギャップがあります。それを埋めていくことが、自分の、あるいは電通の仕事だと思います。
そのとき、電通が培ってきたコミュニケーション力、人間関係、バランス感覚が生きてくる。これからは、もっと外部に飛び出していくプロデューサーが増えていく必要があるのではないでしょうか。