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電通ビジネスデザインスクエアの新・虎の巻No.1

アイデアの“質”を可視化!専門家の500のアイデアを事業開発の力に

2020/06/12

「新規事業部を立ち上げたけれど、半年間アイディエーションを続けている」
「1年後のサービスローンチに向けて準備を進めているけど、何をやるかが決まらない」
など、事業やサービスを具体化するタイミングで行き詰まってしまうことはありませんか?

2020年4月にサービス開始された、新規事業の検討をサポートすることを目指したソリューション「Expert Idea 500」は、上記のような悩みを持つ方に、ぜひ紹介したいサービス。ミーミルVISITS Technologiesの協力・技術提供の下、100人以上の専門家たちから500個以上のアイデアを1カ月で集め、検討のスピードアップを目指します。

電通ビジネスデザインスクエア(以下BDS)の坂巻匡彦氏に、開発背景や運用ステップを語ってもらいました。

「何をするのか」を徹底的に考え尽くし、アイデアの力を見直す

こんにちは、BDSの坂巻です。皆さんは、企業が新規事業を検討するときに、最もネックとなるのは何だと思いますか?私は、アイデア不足だと思います。アイデアが不足していることが原因で新しいことができないという状況を、なんとか打破したいと開発したのが「Expert Idea 500」です。

普段の業務の中で、クライアントから「新規事業がうまく進んでいない」と、相談を受けることがよくありました。それらの話を聞いていると「アイデアが出し尽くされていないな。もっといろんな方向から考えないといけないのに」と思うことも少なくありません。

例えば、ヘルスケアや自動車産業など、事業領域を選ぶことはできても、そこで「何をやる」のかが決められない。社内でアイディエーションを重ねても「これだ!」と思える案が出なかったり、コンサルから提案されたアイデアにしっくりこなかったり。新規事業部をつくったけど、「半年間、ずっとアイディエーションしています」という声を聞いたこともあります。

「何をやるのか」が決められない理由は、新規事業がその企業にとって新しい未知の領域だから。既存の事業領域であれば、経験に基づく勘どころや肌感を頼りにアイデアも出てくるでしょうし、そのアイデアが良いものなのか、悪いものなのか判断できます。しかし、新規事業が本当に新しければ新しいほど、その事業領域について知見を持っている人は社内にいません。みな素人同然では良い案は出せないし、選べません。

だったら素人でも選びやすいように、その領域に詳しいたくさんの専門家にアイディエーションをしてもらい、「この領域にはこういうアイデアがある」「こういう可能性がある」と網羅的に見られるようにしよう。かつ専門家たちにそのアイデアに優劣をつけてもらい、どれが良いのか悪いのかを見える化してしまおうというのが、「Expert Idea 500」のサービスコンセプトです。

企業のビジョンやミッションから「そのビジネスをなぜやるのか」を考えることはとても大事なことです。しかしそれと同時に、具体的に「何をやるのか」というビジネスアイデアもとても大切だと思っています。ですが、今は「なぜやるのか」という部分にばかり注目され、「何をやるのか」が軽視されているように感じます。

無限の可能性があるビジネスアイデアの創出と、その中から「何をやるのか」を決める意思決定に貢献する方法はなにかないだろうか、と考えていました。そして、ミーミルやVISITS Technologiesの力を借りて、実現したまったく新しいアプローチのアイデア創出と決定の手法が「Expert Idea 500」です。

専門家から500のアイデアを集め、最適解を見つける五つのステップ

それでは、サービスの具体的な内容をご紹介します。

ステップは以下の5段階です。
ステップ1:専門家を選びポートフォリオを作成
ステップ2:専門家に投げかける問いの設計
ステップ3:アイディエーションと、専門家間でお互いのアイデアを評価
ステップ4:出てきた案をカテゴライズしてスコア化
ステップ5:絞り込んだカテゴリーの中から1~3個アイデアを選び、ブラシュアップ

「Expert Idea 500」の五つのプロセス
「Expert Idea 500」の五つのプロセス

ステップ1
専門家選びは、アイデアの幅を決めるとても重要な部分です。検討すべき領域のアイデアを、網羅するのにふさわしい専門家を選ばなければいけません。例えばヘルスケア系IoT事業の具体化を目指す場合、ヘルスケア系のデバイス開発をしている会社の方はもちろん、医大や工学系大学でヘルスケアの研究をしている方などを選定します。その他、スポーツテック系など関連のありそうな専門家も加え、網羅性を高めます。クライアントとディスカッションを重ね、専門家のポートフォリオ(最適な組み合わせ比率)を作成し、それを元にミーミルのエキスパートデータベースから専門家をピックアップします。

ステップ2
次に、問いの設計を行います。これは、アイデアの質を高めるために大切なステップです。専門家の発想を、最大化できるような問いかけを設定するため、単純に「新しいIoT健康デバイスを考えてください」などと聞くのではなく、例えば「人々の健康はどうあるべきだと思いますか?」など、課題に対するあるべき姿や顧客の行動背景などから問いかけます。アイディエーションはオンラインで実施するので、勘違いが起こらないように質問の表現にも注意して、設計します。

ステップ3
VISITS Technologiesのシステムを使用し、約2週間の期間中にオンラインでアイディエーションを行います。その後、約1週間の期間をかけて、専門家たちにお互いが出したアイデアを評価し合ってもらいます。

専門家たちはアイデアを出すのに最適であるのと同時に、アイデアを評価するにも最適です。知見のある人たちが出したアイデアを、知見ある人たちが評価することで、大量のアイデアに適切な優劣がつけられます。

アイデア評価の集計はVISIT TechnologiesのCI技術(特許技術)を使用します。これは、単に評価を合算するのではなく、評価されたアイデアをたくさん出した人の1票は、他の人より価値のあるものとし、単純な投票にならないよう工夫をした上で、アイデアをスコアリングするものです。

ステップ4
こうして出てきた大量のアイデアをカテゴライズして全体像や方向性をより把握しやすいものにしていきます。自然言語処理とクラスター分析により、アイデアの類似性で大中小のカテゴリーに分類します。

カテゴリー分けした分類ボードイメージ
カテゴリー分けした分類ボードイメージ
カテゴリーで色分けしたアイデアのプロット図イメージ
カテゴリーで色分けしたアイデアのプロット図イメージ

ステップ3でアイデア一つ一つにスコアがついているので、カテゴリー内の平均スコアを求めることができます。カテゴリーごとの平均スコアやアイデアの数を参照して、領域を絞り込むことができます。

クライアントによっては、「皆がやるべきだと考えスコアが高い王道を攻めよう」と考えることもありますし、「大きなビジネスをする体力はないから、アイデアの数は少なく評価が高い、ニッチなビジネスをやっていきたい」というような判断もできるでしょう。このように、「アイデアを定量的に判断できるようになる」ということが、「Expert Idea 500」の最大の特徴です。

ステップ5
そして最終ステップでは、ステップ4のスコアなどを参考にしながら、ブラシュアップするカテゴリーを選択します。分類されたカテゴリー内にある、いくつかのアイデアを統合したり、クライアントのアセット(資源)も考慮しながら事業案をブラッシュアップ。実現可能で最適なものに磨き上げます。

意思決定が難しい、複雑な組織を持つ大企業こそ効果大

このサービスを活用し利点を感じていただきやすいのは、既存事業に最適化され過ぎて、既存の組織が柔軟な意思決定にブレーキをかけてしまう企業です。

今まで、アイデアの意思決定をするときには、声の大きい人が「良い」と言ったものが、なんとなく良しとされてしまう風潮がありました。「Expert Idea 500」を使えば、適切な人たちが網羅的に出したアイデアが、適切に順位づけされた状態になります。全体像が見えているので、相対比較が可能となり、「何をやるのか」の説明を論理的に行うことができます。カテゴリーもアイデアもスコアを持っているので、スコアによる定量的な説明も可能です。

新規事業を立ち上げるときはもちろん、既存事業に大きな変革が必要なときにも活用いただけます。一つ事例を紹介すると、花王のファブリックケア事業部の、未来の事業のあり方を模索するために活用いただき、高い評価をいただきました。
興味のある方は、ぜひお問い合わせください。


「Expert Idea 500」リリース