セカイメガネNo.9
最新テクノロジー世代がここにいる
2013/07/17
テクノロジーといえばすぐに若者たちと結び付けるのが現代の常識だ。けれど僕の暮らすフィリピンでは、輝いて、かっこよくて、ハイテクな物に徐々になじもうとしている別の層がいる。年配の人たちだ。おじいちゃん、おばあちゃん、引退した人、高齢の方たちが、驚いたことに技術トレンドに追い付こうとしている。タブレットを持ちインターネットを使い、ソーシャルメディアを楽しみ、モバイルゲームに夢中なのだ。
まるで日替わりメニューのように新技術が次から次へと出てくる時代だ。お年寄りたちがスカイプ、iPadなどについてそれなりにご存じなのに僕はびっくりする。試しに何人かのおじいちゃん、おばあちゃんに彼らの光り輝く「新型オモチャ」について尋ねてみた。その答えに僕は目が開かれる思いがした。
「ああ、このiPadかい? せがれがくれたのさ。自分は最新機種を買ったもんだから、要らなくなっちまったのさ」。別のお年寄りはこう言う。「このタブレットを使ってニューヨークで看護師をしている娘と話すのよ。おかげで国際通話料金がすっかり節約できるわね」。高齢の紳士は僕に教えてくれる。「息子がゲームをインストールしてから、すっかりはまりましてね。おまけに孫たちの写真をダウンロードしておいてくれるから、顔が見たくなったら、ほら、こうしてタブレットを開くんです」
フィリピンの若者たちは、やたらガジェットの最新機種を欲しがるけれど、親たちの世代にとってはいいこともあるようなのだ。
「自分の愛する人たちとつながっていたい」。その人たちが外国に住んでいるならなおさらだ。お年寄りがテクノロジーを物にしたくなる動機は、その思いなのだ。もちろんそうしたテクノロジーに、自分の子どもたちの世代はとうの昔になじんでいる。
最近、家電販売店をのぞいたら、お年寄りがガジェットにすっかり夢中になっていた。その姿に僕は思わずほほ笑んだ。だって彼らは自分のiPadにかぶせるカバーを、人気キャラクターの「アングリーバード」にすべきか、それとも「キャンディクラッシュ」にすべきかでさんざん悩んでいる様子なのだから。
(監修:電通イージス・ネットワーク事業局)