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「People Driven Marketing® 実践ウェビナー2020」レポートNo.4

ニューノーマル時代に求められる「データ連携」を活用したマーケティングとは?

2020/12/02

電通による“人”基点のマーケティング「People Driven Marketing(※)」(ピープル・ドリブン・マーケティング)も、4年目を迎え、「PDM4.0」として大きく進化しました。 

本連載では、電通人と企業のゲストたちが、マーケティングとデータの未来を語った「People Driven Marketing® 実践ウェビナー2020」3日間の模様を、ダイジェストでレポートします。

今回は、「デュアルファネルのさらなる進化~データ連携の拡張」がテーマのセッションから、CCCマーケティングの小林浩輔氏と電通 データマーケティングセンター矢島亮氏のセッションを中心に振り返ります。

※People Driven Marketing
https://www.dentsu.co.jp/business/pdm/
電通が提唱する、データ&デジタル時代に対応した“人”基点の統合マーケティング・フレームワーク。課題を人(People)基点で捉え直し、電通グループが持つ最先端のマーケティング手法を統合して、顧客の持続的な成長を支援していく。

 

Dosolutionsサイトへのリンク
※課題解決マーケティング情報サイト「Do!Solutions」でも、本ウェビナーの特集ページを開設しています。より詳細なレポートはこちらへ。

      Cookieレス時代に欠かせないマーケティング基盤「データクリーンルーム」

テーマ「データ連携の拡張」では、三つのセッションが行われました。一つ目のセッションでは「Data Clean Room(データクリーンルーム)」の実態と実践事例が紹介されました。

個人情報保護の意識の高まりにより、CookieやIDFA(iOS端末の広告識別子)といった、データマーケティングの基礎を支えてきたIDの活用が難しくなった現代。一方で、さまざまなメディアを掛け合わせた分析をマーケティングに生かしたい、というブランド側のニーズは変わっていません。

個人情報保護の遵守と、マーケティング課題の解決を両立するにはどうしたらいいか。そこで生まれたのが「データクリーンルーム」です。

そもそも「クリーンルーム」とは無菌室、防塵室のこと。「データクリーンルーム」とは、データの統合・分析といった特定の目的のため、個人が特定できない形に匿名化された情報に、限られたデータサイエンティストだけがアクセスできるクラウド環境のことです。この基盤を活用することで、事業会社が今まで蓄積してきた「ファーストパーティーデータ」と呼ばれる自社の購買データやキャンペーン参加の情報と、プラットフォーマーが持っているさまざまな情報をセキュアに統合することができます。

データクリーンルームの活用で、より一人一人の顧客を中心に考えたビジネス展開が実現できる可能性が語られました。

Tポイントの大規模購買データを基点とした日用消費財のデュアルファネルマーケティング

小林氏と矢島氏

この日最後のセッションでは、電通とCCCマーケティングが共同で開発したソリューションモデルについて語られました。

電通 データマーケティングセンターで主にマーケティングメソッドの開発や実施を担当する矢島亮氏と共に登壇したのは、CCCマーケティングの小林浩輔氏です。7000万人を超えるT会員のユニークデータ(※)を活用し、さまざまなビジネスソリューションを提供しているCCCマーケティング。小林氏は、メーカーや流通企業向けに、データ活用のコンサルティングなどを行っています。

※=ユニークデータ
7000万以上のシングルID、年間50億件以上の購買トランザクション、20万店舗のネットワークで扱われる60億種類の商品データ、300項目からなる顧客DNAのペルソナデータ、オフライン・オンライン上の移動・行動データやメディア接触データ、またCCCMKグループオリジナルのエンハンスデータなどを指します。
 

小林氏は冒頭、「テクノロジーや仕組みが整ってくる中で、以前はやりたくてもできなかったことが実現できるようになってきた」と述べ、今まで難しかった日用消費財におけるデュアルファネルマーケティングについて、分析結果や事例を交えて紹介しました。

「デュアルファネル」とは、認知から購買までの新規顧客獲得のファネルと、既存顧客を管理するファネルの二つを合わせたもの。新規顧客獲得のためのファネルには「認知」「興味・関心」「検討」、既存顧客獲得のファネルには「リピート」「アップセル・クロスセル」「ロイヤルカスタマー化」が分類されます。

「多くの日用消費財は、消費者が『すでに使っている』『商品を知っている』ことが多いため、企業にとってはリピーターの獲得が重要になる」と矢島氏は語ります。

多くの日用消費財ブランドにとってはファネルの後半が重要

日用消費財で注目すべき既存顧客獲得のファネル。これはつまるところ、「誰がどのくらい買っているのか」という顧客の購買状況を把握することでもあります。

しかし、日用消費財の購買を、オンラインで正確に把握するのは難しいのが実情。そこで、「解像度を高く購買状況を把握するために欠かせないのが、Tポイントのような大規模な購買データです」と矢島氏。

特に、Tポイントはユーザーを一つのIDで識別できるため、例えば、今までコーヒーAのロイヤルユーザーだったけれど、3カ月後には別のブランド B に移ったというように、「今、どのユーザーが、どのファネルにいるのか」を追うことができます。

さらに、ブランドやカテゴリーを横断した“顧客当人の視点”から顧客を管理できるメリットもあります。

1ID管理のメリット
縦のブランドの視点から見ると、お茶については A さんが2本、Bさんが3本購入しており、一見Bさんの方が優良顧客に見える。しかし、1IDで実現する右側の緑色の目線から見ると、 A さんの方がメーカー全体で見ると優良顧客であることが分かる。このように、自社単位で見たときのロイヤルユーザーが発見できる。

矢島氏は、「『モノの売れ方の把握から、ヒトの状況の把握へ』と視点を変換することで、購買データは実践的なマーケティングに使えるものに変わってきています」と言います。

こうした考え方に基づいてデュアルファネルマーケティングの課題を解決するため、電通×CCCマーケティング共同で開発したソリューションモデルが「Shoppers Driven Platform(ショッパーズドリブンプラットフォーム)」です。

Shoppes Driven Platform

デジタル上の連携により、“分かる”データから“できる”データへ

「Shoppes Driven Platform」は、顧客の状態を随時可視化してフィードバックしていくための仕組みです。

セッションの後半では、Tポイントの大規模購買データを活用することで、Shoppes Driven Platformがどのような点で進化しているのか、最前線事例を通して説明されました。

<進化のポイント>

「ターゲットセグメントプロファイリング」
ターゲティングや分析のときに、デモグラ・趣味嗜好だけでなく、顧客のリアルな購買状況でターゲットを考えることができる。

「具体的な統合コミュニケーションプラン」
従来のようなテストマーケティングだけではなく、実際のデジタル上で十分な規模の打ち手が実行可能となった。

「効果測定PDCA」
単発キャンペーンの検証だけではなく、中長期的な検証を行うことで、長期間の顧客育成ができる。

「顧客ID視点のクロスブランド・クロスカテゴリー」
ブランド単体ではなく、メーカー全体でのLTV(顧客生涯価値)という考え方が加わった。

かつては難しかった日用消費財におけるデュアルファネルマーケティング。デジタル上の連携が実現することで、同領域でも、顧客起点のPDCAがビジネスレベルで展開できるようになってきました。

小林氏は最後に、「CCCマーケティングと電通のアセットを組み合わせることによって、デュアルファネルマーケティングが、より精度の高いものになると考えています。『 “分かる”データから“できる”データへ』をテーマに今後も進化を続け、皆さまのマーケティングをサポートしてまいります」と述べ、セッションを締めくくりました。

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