ニューノーマル社会で加速する!動画配信サービス利用者の最新動向No.2
40代以上はペット・動物動画が好き?世代による視聴傾向をチェック!
2020/12/01
あなたは、「自分と同世代の人々」が、どのくらい動画配信サービスを楽しんでいると思いますか?
サイバー・コミュニケーションズが2020年6月に全国15歳~69歳を対象に行った実態調査によると、「過去1年以内に1回以上、YouTubeを含む動画配信サービスの利用経験がある」人は、約81%でした(調査概要は記事末尾に)。
また、若年層だけが利用しているばかりでなく、幅広い世代で利用されるメディアに成長してきていることが分かりました。
では、デジタルネイティブ世代である10代、20代と従来型のメディアに慣れ親しんでいる世代とでは、どのような違いが見られるのでしょうか。
本稿では、動画配信サービスの年代別視聴傾向について考えていきます。
<目次>
▼中高年齢層はYouTube以外の利用率が低い。今後の伸びに期待!
▼どの世代もYouTubeで一番よく見るのは音楽動画。しかし2位以下に違いが
▼ステイホームで生活者に定着した動画視聴。では、広告への抵抗感は?
▼動画配信サービス視聴習慣は定着する?年代別「サービス併用数」から見られる兆し
中高年齢層はYouTube以外の利用率が低い。今後の伸びに期待!
まず、利用率を年代別に見てみましょう。
「YouTube」を含む動画配信サービス全体で10代、20代の利用率は高く、80%以上に上ります。
「Amazonプライムビデオ」や「Netflix」に代表されるサブスクリプション型有料配信サービス・SVOD(Subscription Video on Demand)の利用率は40%程度。
「TVer」や「Abema TV」などの広告付き無料配信サービス・AVOD(Advertising Video On Demand)の利用率は30%~40%です。
50代、60代の高年齢層においては、動画配信サービス全体の利用率が60%以上と高い半面、その大半が「YouTube」などの投稿型サイトに偏っており、SVODとAVODの利用率は20%台にとどまります。まだ成長の余地を残しているといえます。
また、テレビ放送はどの年代においても80%以上を維持しており、依然マス媒体としての強さを示しています。
どの世代もYouTubeで一番よく見るのは音楽動画。しかし2位以下に違いが
世代ごとに、好まれるジャンルはどのくらい変わるのでしょうか?ここでは二つのランキングをご紹介します。
放送局や動画配信企業など、法人が運営する公式コンテンツの視聴では、どの世代においても、「ドラマ」と「映画」が人気ジャンルです。
3位以降は、50代と60代では他の世代と異なる特徴が出ており、「音楽」や「ニュース」の順位が高くなっています。
「YouTube」の視聴ジャンルでは、全ての世代で「音楽」が最も視聴されています。
10代から30代では、ゲーム実況やゲーム攻略などの「ゲーム」、10代と20代では「YouTube」の定番コンテンツであるチャレンジ系企画モノの「やってみた系」も人気が高いです。
40代以降では30代以下に見られなかった「ペットと動物」が2位に入っている点が特徴で、生活の中で癒しとなるような動画を見る傾向が高いことが分かります。
「YouTube」はスマートフォンを使って一人で見る割合が他のサービスより高く、個人の趣味嗜好を反映した結果になっています。
ステイホームで生活者に定着した動画視聴。では、広告への抵抗感は?
コロナ禍のステイホーム期間を経てユーザーの生活習慣に定着したともいえる動画視聴。本調査を行った6月以降も、各サービスは順調にユーザー数を伸ばしています。もちろん、需要に応えるように提供コンテンツも増え続けています。
当然の流れとして、「広告掲載先メディア」としても、動画配信サービスへの注目が高まっています。では、ユーザーはサービス内の広告に対してどのようなイメージを持っているのでしょうか。
上の図では、動画広告とテレビCMの広告イメージについて比較しました(互いに勝っているイメージをポイントで表現しています)。
テレビCMでは「最新の情報が入手できる」「親しみやすい」「信頼できる」のポイントが動画広告より高くなっています。
一方で動画広告では「他では見られないものがある」「自分向けだと感じる」「興味のあるジャンルの広告が多い」がテレビCMに比べて高くなっています。
それぞれの特徴を反映していると思いませんか?
テレビCMで最新の情報を流しつつ、動画広告ではターゲティングを使って視聴者とより深くコミュニケートする、そんな使い分けができるのではないでしょうか。
次に、世代別に広告がどのように受け入れられているのか見ていきます。下の表は、各世代で「広告を苦痛に感じない」と答えた人の割合です。
「他の世代と比較して、若年層が広告に抵抗を持っている」と語られることが多いですが、この調査では必ずしもそうはなっていません。テレビにおいても動画においても「広告に苦痛を感じない」と答えている割合は、意外にも10代が一番多い結果となりました。
もう一つ注目したいのは、動画広告においては年代が高まるにつれて「苦痛に感じない」割合が少なくなっている(つまり高年齢層ほど、苦痛に感じている率が高い)点です。しかしテレビCMではこの傾向が小さいことから、動画配信サービスの視聴習慣がまだ浅く、動画広告に対する親しみが薄いことが一因として考えられます。
動画配信サービスはテレビ放送と同じ映像メディアであるものの、「自分の好きな時に好きなコンテンツを見る」という、よりパーソナルな要素が加わります。インターネットならではの特性を生かしたターゲティングや、「共感」を生み出すオリジナルのストーリーを広告に用いることで、効果もより高まるのではないでしょうか。
動画配信サービス視聴習慣は定着する?年代別「サービス併用数」から見られる兆し
下の表は、YouTubeを含む動画配信サービスの年代別利用数です。
10代と20代においては、「6個以上のサービスを併用している」割合が15%前後あり、サービスの利用が浸透していることがうかがえます。
しかし、全体を見ると、「YouTubeに加えて、他に1、2個のサービスを併用する」という傾向が強いです。
有料のSVODを複数契約するのはハードルが高く、定着が難しいようです。そんな生活者の「サブスク疲れ」の中で、視聴を継続してもらうには、他では見られない魅力的なオリジナルコンテンツなど、独自の強みが必要になってきます。
そのような中、「TVer」など、「無料で視聴できる広告付き動画配信サービス」でユーザー数が継続的に伸びているのは、注目したいポイントです。「無料である」という強みが視聴のハードルを下げて、さらに利用が拡大すると予想されます。
また、有料プランと広告プランの併用などの“ハイブリッド型”モデルで利用者を増やすサービスも出てくるでしょう。
この連載では、第1回でテレビのネット接続率の上昇、第2回の今回は年代別の視聴傾向に着目して、動画配信サービスの最新視聴実態について考えてきました。コロナ禍によって社会のデジタル化は加速し、エンターテインメントを楽しむ動画視聴においてもまさに今がフェーズの変わり目であり、あらゆる世代に浸透する過程にあります。
今後どういったサービスがどのように定着していくのか、注視していきたいと思います。