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「People Driven Marketing® 実践ウェビナー2020」レポートNo.2

電通的マーケティングDXの歩み、現在地、そして未来

2020/11/27

電通による“人”基点のマーケティング「People Driven Marketing(※)」(ピープル・ドリブン・マーケティング)も、4年目を迎え、「PDM4.0」として大きく進化しました。 

本連載では、電通人と企業のゲストたちが、マーケティングとデータの未来を語った「People Driven Marketing® 実践ウェビナー2020」3日間の模様を、ダイジェストでレポートします。

今回は、電通グループでディレクターを務める中津久美子氏が登壇したセッションの内容を紹介。電通が注力するマーケティングDX(デジタルトランスフォーメーション)の全体像について、これまでの経緯と現在の取り組み、そして今後の展望を語りました。

※People Driven Marketing
https://www.dentsu.co.jp/business/pdm/
電通が提唱する、データ&デジタル時代に対応した“人”基点の統合マーケティング・フレームワーク。課題を人(People)基点で捉え直し、電通グループが持つ最先端のマーケティング手法を統合して、顧客の持続的な成長を支援していく。

 

Dosolutionsサイトへのリンク
※課題解決マーケティング情報サイト「Do!Solutions」でも、本ウェビナーの特集ページを開設しています。より詳細なレポートはこちらへ。

生産性向上のDXと、新たな価値を創造するDX

中津氏

ここ数年で耳にする機会が増えた「DX」というキーワード。新聞や書籍、インターネットなどでさまざまな定義付けがされていますが、冒頭で中津氏は改めてDXの定義を行いました。

中津氏は、DXは二つの局面に分けて定義できると言います。一つ目が、「ビジネス上の要請・課題を、ICT技術を利用して解決すること」。二つ目が、「ICT技術活用による課題解決にとどまらず、ビジネスモデルそのものを変革し、新たな価値を提供すること」です。

前者がプロセスの効率化やコスト削減に寄与するのに対し、後者は事業戦略を含めたプロセス全体の刷新、ビジネスの改革、時には新たな産業構造の創造をもたらします。

「電通グループがこれから注力したいと考えているのは、二つ目の局面。DXの力で新たな顧客体験を創出し、顧客数の増加、エンゲージメントの強化、売り上げの増加を実現していきます」と中津氏は述べました。

では、電通が目指すマーケティングDXとは具体的にどのようなものなのでしょうか?その前に中津氏は、DXの歴史を簡単に振り返りました。

Marketo社の日本上陸が、マーケティングDXの本格的な幕開けに

2000年代前半には、すでにさまざまな顧客体験がデジタル化しつつあったものの、「デジタルマーケティングという言葉はまだなかったと記憶しています」と話す中津氏。

そこに一石を投じたのが、「CRM」(顧客関係管理)と「LTV」(ライフタイムバリュー)という考え方。いずれも顧客との“関係性”を重視した概念です。

これらの概念が生まれたことで、マーケティング領域では、新規/既存などステージによって顧客を区分した上で、顧客に応じたカスタマイズやパーソナライズが求められるようになっていきます。

当時の日本企業ではマーケターが手作業でコミュニケーションの出し分けを行っていましたが、2014年にアメリカのMarketoが上陸したことで状況は一変。コミュニケーションの「1to1」化を支援するマーケティングオートメーションツールが台頭し、複雑化するデジタルマーケティングがより早く正確に実行できるようになりました。

「この時が、本格的なマーケティングDX時代の幕開けだったのでは」と中津氏は振り返ります。ちなみに、電通デジタルの前身である電通イーマーケティングワンは、Marketoの日本法人設立に携わっています。

電通の動きとしては、2016年に電通デジタルを設立。広告とCRM領域の双方のデータを統合し、デュアルファネルで一気通貫したマーケティングを目指す専門組織として立ち上がりました。

X-Stack(クロス・スタック)
「X-Stack(クロス・スタック)」とは、オンライン/オフラインを統合したデータを基にAI・機械学習で事業成果の予測モデルを構築し、マーケティング施策を最適化する電通デジタルのソリューション。

また、国内電通グループ全体でも、従来の広告領域に加えて、新規事業・サービス開発、マーケティング戦略全体の策定、カスタマーサクセスといった領域にサービスメニューを拡大し、あらゆるビジネスデザインに対応できる体制をつくり上げてきました。

電通グループのサービスメニュー

「各社がマーケティングDXに必要な領域を磨いてきたのです」と、グループ全体で“電通的DX”の基盤が培われてきたことを中津氏は説明しました。

業務の断絶を乗り越える、電通グループの三つの強みとは?

マーケティングDXの実現に向けたテクノロジー環境や基盤が十分に整った一方で、国内電通グループとしては組織ごとに業務が細分化、個別最適化され、業務の断絶が生じていました。

そこで実施されたのが大規模な組織変革。2020年、純粋持ち株会社の電通グループが誕生し、「Integrated Growth Solutions」というメッセージを掲げて、グループ内の多様なケーパビリティーの統合、マーケティング領域を超えた顧客のトップライン成長の支援を目指しています。

さらに中津氏は、業務の断絶を乗り越えるポイントとして、国内電通グループの三つの強みを挙げました。

強み① データ
マーケティングデータのみならず、さまざまなデータを収集・統合。不足するデータを加えながら顧客の「解像度」を上げ、磨き続けています。

さらに、ウェブのログデータ、テレビ視聴ログデータなど電通独自のデータを連携した、量・質ともに日本最大級のデータベース「People Driven DMP」も日々進化し続けています。

強み①

強み② テクノロジー
現在のマーケティングにおいては、Adobe、Google、Salesforceなどが提供する各種マーケティングツールやサービスの使いこなしは必須です。国内電通グループには、そうしたテクノロジーのエキスパート企業群がそろっています。あらゆるマーケティングクラウド製品に精通し、DMP/CDP、そしてAIに関しても、顧客ニーズに応じてさまざまなメニューを提供できます。

強み②テクノロジー

強み③ クリエイティビティー
電通に求められているのは、データやテクノロジーを駆使して、新しい価値を創造すること。電通グループに脈々と受け継がれてきたクリエイティブのDNAをフルに発揮して、マーケティングDXによる新しい価値の創造にチャレンジしていきます。

“人”基点のマーケティングは、企業で働く“一人一人”に向けても展開する

セッションの最後に、中津氏はこれから電通と国内外電通グループ各社が実現していきたいことについて語りました。

「People Driven Marketing は“人”基点の統合マーケティング・フレームワークとして、毎年進化を遂げてきました。今後は、エンドユーザーだけでなく、クライアント企業で働く社員の方々を基点にした変革も必要だと考えています。

例えば、電通デジタルではコロナ禍における顧客対応の在宅化ソリューションを提供しているのですが、活用いただいたクライアントから“顧客との結びつきが以前よりも強くなった”という声を頂きました。結果として、リアルで会っていたときよりも、企業と顧客のエンゲージメントを高めることに成功したのです。

企業の方々の働き方にフォーカスをすることで、顧客体験も変えていく。このようなDXに積極的に挑戦していきたいと思います」

また、中津氏は究極のパーソナライズとして「リアルタイムマーケティング」をキーワードに挙げました。「例えば、マーケティング部門のみならず製造部門やバックオフィスも、顧客データを基に、すべての企業活動がリアルタイムに連動・反応していく。そのような世界が、技術的には実現可能なところまで来ています」と中津氏。

「マーケティングの普遍的な力は、人の気持ちを動かしていくこと。今後も企業と顧客とのエンゲージメントを変革し、クライアントの成長に継続的に貢献してまいります」と述べ、セッションを閉じました。


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