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共創するサーキュラーエコノミーNo.2

パッケージデザインにSDGs視点を

2020/12/21

2020年11月にローンチした「SDGsビジネスソリューション」。これは、電通グループを中心とする7社が協働して、企業のサーキュラーエコノミー(循環型経済)構築への取り組みを支援するプログラムです。

電通では、このプロジェクトに付随する形でSDGs視点のパッケージデザイン開発の参考となる「SDGsパッケージデザインガイド」を作成しました(下記アイコンをクリックしてダウンロードできます)

SDGsパッケージデザイン表紙

サーキュラーエコノミー構築において、なぜパッケージデザインが重要なのか?

SDGs視点でパッケージデザイン開発を行うときのポイントとは?

本ガイドを作成した、「DENTSU DESIGN FIRM」主宰者・堀田峰布子氏が、プロダクトデザイナーの視点から解説します。
 

これからのパッケージのカギは、「サーキュラーデザイン」
 

今後ますますSDGs への意識が高まっていく中、商品と生活者の最も身近なコミュニケーション接点としてパッケージが注目されています。

パッケージは単に商品を守るだけではなく、商品の特徴や価値を知ってもらい、他社との違いをアピールする生活者とのコミュニケーションツールです。多数の競合商品が並ぶ売り場の中で、生活者の目に留まり、商品の内容や特徴を伝え、購買意欲を高める役割を担います。さらに、企業イメージやブランド価値の維持向上にも寄与しています。

このコミュニケーション接点であるパッケージデザインにSDGsの視点が加わると、企業が掲げるSDGs やサステナビリティーの取り組みや志を生活者に伝え、共感してもらう大切なメディアになります。

SDGs視点のパッケージデザイン開発では、従来のパッケージとは異なり、「サーキュラーエコノミーのためのデザイン」、すなわち「サーキュラーデザイン」が求められます。

サーキュラーエコノミーとは、「循環型経済」と訳されます。これは、生産、消費、リサイクルが永続的に循環し、究極的には廃棄が発生しない経済活動のことを指します。 

サーキュラーエコノミー
経済産業省「資源循環政策の現状と課題」を加工して作成(https://www.meti.go.jp/shingikai/energy_environment/junkai_keizai/pdf/001_03_00.pdf) 

それに対してこれまでの経済活動は、「原料→生産→消費→廃棄」という直線的プロセスをたどるもので、「リニアエコノミー」と呼ばれています。リニアエコノミーを発展させ、リサイクルで廃棄物をどのように有効活用していくかを考慮したものが「リサイクリングエコノミー」であり、これをさらに推し進めたものが「サーキュラーエコノミー」となります。

サーキュラーエコノミー

オランダ政府「From a linear to a circular economy」を加工して作成。https://www.government.nl/topics/circular-economy/from-a-linear-to-a-circular-economy

サーキュラーエコノミーにおけるパッケージデザインは、素材の選定やデザイン、各種認証など製造段階での取り組みはもちろんのこと、廃棄後のリサイクルまでバリューチェーン全体を俯瞰して考えていくことが重要です。

パッケージデザインは今、大きく変わりつつある

パッケージに使われる主な素材に、金属、ガラス、紙、プラスチックがあります。

例えば、プラスチック容器に分類されるペットボトルは、われわれのとても身近な飲料パッケージですが、これまでにさまざまな変化が起こっていることをご存じでしょうか?

ペットボトルは1974年に飲料容器として採用されました。その後、日本では2000年代から薄肉化(プラスチックの使用量を減らすためにボトルの厚みを薄くすること)による「素材のリデュース」が始まりました。さらに、「素材の代替」として、リサイクルされたプラスチックや植物由来のバイオプラスチックの導入も進んでいます。また、ラベルレスによってラベルをはがす手間がなくなり、より簡単にリサイクルができるようにもなってきました。近年では「ボトルtoボトル」といった、使用済みペットボトルを回収・リサイクル処理した上で、またペットボトルへと再生する循環利用が加速しています。

他にもここ最近の飲料容器のトレンドとして、ガラスや金属(アルミやスチール)など、回収や再生といったリサイクルの仕組みが既に確立している素材への回帰も始まっています。これは、ペットボトルが登場する前からあったアルミ缶やスチール缶が、実はリサイクル性の高い素材だったと改めて気づいたからこその動きです。この「温故知新」的な現象が世界でどこまで広がるのか、個人的にとても注目しています。

SDGsパッケージデザインスライド画像
「SDGsパッケージデザインガイド」より。

さらに、「そもそもパッケージを使い捨てにしない」という発想から生まれた新しいビジネスも登場しています。

米テラサイクルが2019年に開始した循環型ショッピングプラットフォーム「Loop」は、食品や日用品の専用リユース容器とそのリフィル(詰め替え)&デリバリーによるサステナブルなショッピングサービスです。このサービスでは、容器を耐久性の高い素材(主にアルミ、ステンレス、ガラスなど)に替え、使用後はユーザーの自宅から容器を回収し、洗浄・補充した上でリユースする新しい仕組みを提供しています。このように、サーキュラー化したサービスではパッケージの姿も大きく変わります。なお「Loop」は、2021年春に日本でも実証実験を開始予定です。

SDGs視点のパッケージデザイン開発のポイント

パッケージデザイン開発を行う場合、まずその製品やパッケージの「サーキュラー化」をイメージすることが重要です。バリューチェーン全体を俯瞰してトータルでデザインしていくことでパッケージは変わっていきます。もちろんデザイナーだけでは実現できないことも多いので、企画や開発、製造、そして調達などさまざまな部署の方々と連携、協力しながら進めていくことも必要になります。

SDGs視点のパッケージデザイン開発のポイント

  • 環境に与える負荷を極力低減する素材を使用する
  • 製造及び流通過程においても環境に配慮する
  • 使用後の廃棄や回収、リサイクルまで考えられている
  • 使用する人々にふさわしい配慮がなされている
  • SDGs やサステナブルへのビジョンや志が伝わる

企業と生活者の最も身近で重要なコミュニケーション接点であるパッケージから始めることで、着手しにくいと思われているSDGsやサステナブル施策に対して、効果的なアプローチやPRのためのファクトづくりができるのではないかと考えています。

私たちが作成した「SDGsパッケージデザインガイド」では、社会動向と生活者の価値変化を紹介し、パッケージ開発のポイントをまとめました。SDGs施策へのヒントになれば幸いです。

「SDGsパッケージデザインガイド」は、こちらからダウンロードできます。
 

SDGsビジネスソリューション
「SDGsビジネスソリューション」は、電通Team SDGs が窓口になります。電通Team SDGsのサイトでは、本ソリューションについて詳しく紹介しています。お問い合わせもこちらからどうぞ。