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コロナ下の生活者意識から考えるサステナビリティとパーパスNo.2

2021/02/05

“志す力”がアフターコロナの企業を強くする。社会変革のパーパス・デザイン  

前回は、コロナ禍によって生活者の “サステナビリティ”(地球や社会の持続可能性)への意識が高まり、それがアフターコロナに期待される社会像に影響を与えていることを書きました。第2回は、それらの生活者意識を踏まえつつ、これからの企業のパーパスについて考えます。

コロナ下の生活者の意識変化を、これからのパーパスに反映させていく

ここ数年、日本でも急速に広がった“パーパス”という概念。「高い目的意識」「根本的な存在理由」「社会に対してどのような価値を生み出し、貢献するのか」といった説明がよくなされています。そして電通サステナビリティ/パーパスプロジェクトでは、これを“社会に対する志”もしくは“社会的存在意義” と定義しています。

コロナ禍の今、パーパスはより一層重要になっています。また、人々の価値観や行動様式、社会のシステムが変わっていく中で、企業はパーパスの再定義、あるいはパーパスに基づき提供する価値や方法の見直し、新たな環境やニーズに合わせたシフトなどが必要となっています。

では、前回の調査で明らかになった生活者の意識変化を、これからのパーパスにどう反映させていけばよいのでしょうか。おそらく、図1に示した、“企業活動を行う上での環境変化”を意識しながら考えていくことが重要だと思われます。

アフターコロナに期待する社会像
(図1)

電通サステナビリティ/パーパスプロジェクトでは以前から、パーパスを企業の強さにつなげる「パーパス・デザイン」を提案しており、その中で、欧米の先行事例を分析し抽出した“四つの戦略視点”を挙げています。

具体的には、「新しい社会志向」「未来への変革意志」「本気度(言行一致)」「共鳴・共創(同志感)」です。これらの視点の重要性は、先の図に示した“企業活動を行う上での環境変化”によって、今後より一層高まっていくのではないでしょうか。

「現状維持」を超えて。“社会を変革する力”が企業の評価やブランド力に影響する

さて、前回紹介した生活者調査では、日本の大手企業29社の評価についても聴取しています(注1)。それぞれの「社会的存在意義」について尋ねたところ、図2の通り、平均で約7割の人が肯定的に評価しています(そう思う・計)。日本の大手企業の平均値ですから、ある意味この値は当然の結果といえるでしょう。

社会にとっての存在意義が感じられる会社だ
(図2)
この企業は世の中にどのような影響を与えているか
(図3)

一方、「社会的影響度」(この企業は世の中にどのような影響を与えているか)を見ると、「より良い変化をもたらしている」という評価は2割弱にすぎず、約半数は「現状維持に役立っている」との評価でした(図3)。「あってもなくてもさほど影響はない」という厳しい評価も相当数(23%)存在します。

この結果は何を意味するのでしょうか。

存在意義はある程度感じられていたとしても、その大半については「現状維持には役立っているものの、社会全体により良い変化をもたらしているとまでは感じられていない」ということなのです。

もちろん「現状維持」自体も社会にとって非常に重要なことで、そのためにどれだけの技術と努力が注がれているかは計り知れません。特にコロナ禍で「現状が維持される」ことのありがたさを人々は痛感しているはずです。

とはいえ、現在人々は「より良い世の中」を強く求めていることが前回紹介した調査結果で明らかになりました。「現状維持」を超えて「より良い変化をもたらしている」という評価を得ることで、より一層生活者に存在意義を感じてもらえることは言うまでもないでしょう。

ちなみに、「より良い変化をもたらしている」という評価は、ブランド選好(「今後、商品を購入したり、サービスを利用する場合は、この会社を選びたい」)のTop1層(「そう思う」)にも影響を与えている可能性があり、その点も見逃せません(図4)。

社会変革度
(図4)※調査対象とした企業名はここではマスキングして表示しています。
 注1:日本の大手企業/ブランド29社について
日経BPコンサルティング「ブランド・ジャパン調査2019」で、認知率が95%を超える企業/ブランドをベースに、業種の偏りを排除した29社を選定。本記事の値はその平均値。(2019年の調査結果に基づき選定しているのは、昨年選定した企業を時系列的な視点で継続調査しているため)


実態化されていることが見えないパーパスでは、生活者の信頼は得られない

 

実態や行動
(図5)

今回もう一つ注目すべき点は、「単にきれいごとを言うのではなく、言っていることに実態や行動が伴っていそうだ」(これは前述の四つの戦略視点の「本気度(言行一致)」の指標に相当)との評価項目で、「そう思う・計」が約48%と、半数を下回っているという事実です(図5)。

イメージ先行で、実態が見えないコミュニケーションでは限界があることを、改めて示す結果だといえるでしょう。この指標で上位に挙がってきたのは、パーパスに基づく事業や取り組みの内容をファクトベースで丁寧にコミュニケーションしている企業です。

改めて、これからのコミュニケーションでは、“志”の発信とともに、その“志”を具現化・実態化したファクトを伝えていくことが重要であることが分かります。

「定義する→ワーク(機能)させる→ブランド力につなげる」の3つのデザインが必要

ここまで生活者の評価結果をお伝えしてきましたが、生活者評価の数値を高めること自体が最終ゴールでは決してありません。なぜなら、パーパスは単にブランディングの概念ではなく、企業経営の指針となり企業活動全体を導くための考え方であるからです。

本プロジェクトでは、パーパスを「定義する→ワーク(機能)させる→ブランド力につなげる」といった3つのフェーズを想定し、それぞれのフェーズで効果的にデザインすることが重要だと考えています(図6)。

特に「ワーク(機能)させる」、つまりパーパスの具現化・実態化、そして、その結果としての社会的インパクトの実現なしには、存在意義が感じられる企業にはなりません。

生活者からの評価は、あくまでもこの3つのステップの最終結果です。自社のパーパスをデザインしていくその第一歩として、まずはこの3つのフェーズのどこに課題があるか、といった振り返りから始めてみてはいかがでしょうか。

パーパス調査
(図6)

調査概要

 “サスティナビリティ”や企業/ブランドの“パーパス(社会に対する志・社会的存在意義)”に関する意識調査

  • 調査手法:インターネット調査
  • 調査時期:2020年10月26~28日
  • 調査エリア/対象:全国20~74歳男女2000人
  • 調査機関:株式会社電通マクロミルインサイト
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