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TV×Twitterの可能性を探るNo.2

「M-1グランプリ」から考察する、「テレビを見ながらTwitterを楽しむ人」の特徴とは

2021/03/12

年末恒例の一大イベント、「M-1グランプリ」。

毎年数千組(2020年は過去最多の5081組)のエントリーがあり、その中から漫才日本一を決めるこの番組は、ファイナリストの「持ちネタ」や「今年の覇者は一体誰なのか?」といった大会の動向だけでなく、各審査員から繰り出される辛口コメントも毎年注目を集めています。

リアルタイムでテレビ視聴する人も多く、2020年のリアルタイム平均視聴率は19.8%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)。同年のテレビ番組全体で29位の高視聴率番組となりました。

今回は、「M-1グランプリ2020」視聴者に対して実施した「テレビを見ながらTwitterを楽しむ人」の実態調査を紹介します。「テレビとTwitter」の関係について、今後の施策を考える上でいくつかの有用なインサイトを得ました。

スマホを片手に、感動や興奮をリアルタイムに共有している

決勝戦では、推し芸人への応援コメントや審査結果に対する反応など、さまざまな声がTwitter上に溢れました。

放送中のツイート数の推移を分刻みで見ると、各ファイナリストの持ちネタが終わった瞬間や審査員のコメントの直後にツイート数が伸びる傾向が見られ、テレビ観戦の傍らTwitterを利用している様子がうかがえます。そして、Twitterを通じてリアルタイムで多くの人が感動や興奮を共有していることも分かりました。

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出典:「M-1グランプリ」に関するツイート分析、調査機関:Twitter、調査時期:2020年12月、「#M1グランプリ」のツイート数、

首都圏居住の「M-1グランプリ2020(決勝戦)」視聴者(=番組を半分以上視聴した人)に対し、インターネット経由でアンケート調査を行った結果、回答者の64%がTwitterを利用していたことが分かりました。

「番組を見ようと思ったきっかけ」は、「Twitterで話題になっていたから」がネットメディアの中で1位です。特に10代、20代では、Twitterをきっかけに番組視聴している人が、他メディアと比較して圧倒的に多いという結果になりました。このことから、多くの視聴者がTwitter上で同番組に関する情報に触れたことで、関心の高まったことがうかがえます。

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調査委託先:電通マクロミルインサイト「テレビ視聴に関する調査」、調査機関:電通、調査対象:「M-1グランプリ2020」を半分以上視聴した、首都圏在住の18~59歳の男女1200人(10代 n=51 / 20代 n=267 / 30代 n=321 / 40代 n=345 / 50代 n=216)、調査時期:2020年12月

番組への「熱狂度」は、Twitter利用者が非利用者を大きく上回る

「M-1グランプリ2020」への「熱狂度」(ハマり具合)を見ると、ツイート接触者(Twitter上で関連ツイートに接触した人)と非利用者を比較して、軒並みツイート接触者のスコアが高い結果となっています。

例えば「誰が優勝するのか最後までハラハラ・ドキドキした」と感じている人は非利用者の1.5倍に上ります。また、「家族や友人と番組について会話が盛り上がるようになった」「番組の内容や感想を誰かに話したくなった」など、番組に関して他の人とコミュニケーションを図りたいとする人も、Twitter利用者の方が圧倒的に多かったのが明らかとなりました。

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調査委託先:電通マクロミルインサイト「テレビ視聴に関する調査」、調査機関:電通、調査対象:「M-1グランプリ2020」を半分以上視聴した、首都圏在住の18~59歳の男女1200人(10代 n=51 / 20代 n=267 / 30代 n=321 / 40代 n=345 / 50代 n=216)、調査時期:2020年12月

脳波測定で、テレビを見ながらTwitterを楽しむ人の実態を調査

「M-1グランプリ2020」の視聴者に対し私たちは、電通サイエンスジャムが開発した在宅型ニューロリサーチ(※1)を活用した調査も実施しました。

※1 電通サイエンスジャムが保有する「脳波測定による感性把握技術」を活用した感性評価システム。協力者の自宅に計測装置を配布し、在宅中のリラックスした状態でリアルタイムにテレビを楽しんでいただき、脳波データを取得。専用サーバーで解析する。


首都圏のモニター家庭2グループに専用の計測装置を配布し、「M-1グランプリ2020」において視聴者の脳波にどのような影響が出るか、比較実験を行いました。

・テレビ番組のみを視聴するグループ 
・テレビ番組を見ながらTwitterを楽しむグループ(ハッシュタグ「#M1グランプリ」など)

番組視聴中の脳波を分析した結果、「テレビ番組のみを視聴したグループ」と比べて「テレビ番組を見ながらTwitterを楽しむグループ」の方が、番組による「満足度」が高く、反対に「ストレス度」が低いことが分かりました。

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調査機関:電通サイエンスジャム、調査方法:在宅型ニューロリサーチを活用した定量調査、調査対象:「M-1グランプリ2020」を視聴した20〜52歳男女18名、調査時期:2020年12月20日

脳波から感情を分刻みで見ると、ほぼ全ての時間帯やシーンでTwitter利用者の「満足度」がテレビ番組のみを視聴したグループと比べて高かったことが分かります。

「テレビ番組を見ながらTwitterを使うと、より番組が楽しめる」ということは、これまでも指摘されてきましたが、今回、脳波計測によって改めてその傾向が浮き彫りになりました。

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調査機関:電通サイエンスジャム、調査方法:在宅型ニューロリサーチを活用した定量調査、調査対象:「M-1グランプリ2020」を視聴した20〜52歳男女18名、調査時期:2020年12月20日

われわれは、同番組放送中に流れるCMのニューロリサーチデータも分析しました。すると、CM視聴中でも、Twitter利用者の方が「ワクワク度」や「満足度」が高く、「ストレス度」が低いという結果が得られました。

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調査機関:電通サイエンスジャム、調査方法:在宅型ニューロリサーチを活用した定量調査、調査対象:「M-1グランプリ2020」を視聴した20〜52歳男女18名、調査時期:2020年12月20日

これはテレビCMに同番組出演者を起用したものもあり、Twitter上でも話題になったことや、番組への熱狂度の高いTwitter利用者に、「コンテンツに連動した広告表現」がより好意的に受け入れられたことが要因ではないかと考察されます。

さて、前回の記事では昨年大ヒットしたドラマ「半沢直樹」視聴者への調査結果を紹介しました。そこでも、「テレビ番組を見ながらTwitterを楽しむグループ」は、番組への熱狂度が高く、番組放送内のCMもポジティブに受け取られることをお伝えしました。

「半沢直樹」は、最終回のリアルタイム平均視聴率は32.7%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)、総合視聴率(リアルタイム視聴率とタイムシフト視聴率の合計、重複はカウント1として集計)は44.1%で、共に令和時代においてドラマ部門1位の番組です。

他のテレビ番組より飛び抜けて視聴率が高かったため、前述のテレビ×Twitter効果は、「半沢直樹」視聴者ならではの特徴なのかとも考えられましたが、今回、「M-1グランプリ2020」の調査で、バラエティーの人気番組でも同様の効果があることが分かりました。

テレビ番組コンテンツと連動したTwitter広告によって、広告認知が大幅に上昇

今回、上記の調査と並行して、電通マクロミルインサイトの協力の下、電通が開発したSTADIAを活用してTwiiter広告の効果検証にトライしました。

STADIAは、地上波などのオフラインメディアと、スマートフォンやPC上のオンラインメディアのデータを統合するソリューション。約740万台(2021年2月現在)のテレビの視聴ログデータと、同一環境下のデバイスデータ(スマートフォン・PC)を突合させ、デジタル広告配信やオン・オフラインメディアの統合分析が可能になります。

このSTADIAを活用することで、「M-1グランプリ2020」を実際にテレビで視聴したユーザーを調査することができ、より実態と近しい結果が得られます。

調査は下記二つのグループに対し、キャンペーン認知や態度変容などを尋ねました(※2)。

1.「テレビ視聴+Twitter広告接触」グループ 
2.「テレビ視聴のみ」グループ

※2 Twitter広告接触者は意識調査によって判定。


「M-1グランプリ2020」番組中にテレビCMを流し、さらに番組が始まる前に、Twitter上で番組に連動したコンテンツへの広告、いわゆるプリロール型広告(Twitter IVS広告)を出稿した複数のブランドについて、広告認知計測を行いました。

今回のTwitter上での広告施策では、話題のお笑い芸人が広告商品をネタに取り入れたインフォマーシャル的な仕立てになっており、まさにコンテンツと連動したクリエイティブとなっています。

調査の結果、「テレビ視聴のみ」と比べて「テレビ視聴+Twitter広告接触」の広告認知が約6倍になったことが判明しました。テレビで番組を視聴した人が、さらにTwitter上でも番組連動型の広告を閲覧することで、広告認知に対してより高い効果を発揮したと考えられます。

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調査委託先:電通マクロミルインサイト「M-1グランプリ広告効果調査」、調査機関:電通、調査対象:「M-1グランプリ2020」を半分以上視聴した、全国の18~59歳の男女「TV番組およびTwitter広告接触者」(n=119)「TV視聴のみ(STADIAによる判定)」(n=400)、調査時期:2021年1月

今回、ニューロリサーチやSTADIAによる効果測定など、複数のアプローチからテレビとTwitterを同時に楽しむ人の実態と、そこから見える「テレビ×Twitter」の広告効果について検証しました。これらの調査結果から、テレビ番組と連動したTwitterキャンペーンによって、より高い効果が得られることが明らかとなりました。

次回は、キャンペーンにおけるテレビ×Twitterの可能性について、「広告プランニング」の視点で考察します。