loading...

TV×Twitterの可能性を探るNo.3

「テレビ×Twitter」広告キャンペーンの3大効果とは?

2021/05/14

Twitterの利用率が一気に高まったのは10年前の東日本大震災がきっかけです。停電が続く中でも友人や家族と連絡の取れる手段として脚光を浴びました。

その後、Twitterの利用率は伸び続けています。近年はテレビを見ながらTwitterを楽しむ人も増え、企業のマーケティング活動をさまざまな側面から支援できるSNSとしても注目されるようになりました。

今回は、テレビ×Twitterの可能性を「広告プランニング」の視点で考察。テレビとTwitterを掛け合わせることで生まれる3つの効果とプランニングの2つのポイントを紹介します。

Twitterは利用率1位のSNS。約3人に1人は、テレビとTwitterを併用

Twitterは台風などの災害や電車遅延など、「有事の際に素早く情報を取得する手段」として重宝されています。新型コロナウイルスの感染拡大で私たちの生活が変化する中でも利用頻度は増えました。Twitter Japanの調べでは、コロナ禍の影響で利用頻度が最も増えたSNSは、Twitterという結果が出ています。

テレビ×Twitter
調査委託先: Macromill 、対象:スマートフォン利用者 18~59歳 (n=1,000) 、調査期間:2021年1月(非常事態宣言継続中)、調査エリア:首都圏、調査内容:新型コロナウイルスの影響によるSNSの利用頻度の変化を調査。各SNSを月に1回以上利用している人が集計対象。調査は「新型コロナ発生前と比べて、費やす時間が増えたもの」を5段階評価で聴取。その中でSNSの利用が「増えた」「やや増えた」と回答した人を「SNS利用増加者」と定義。次に、この「SNS利用増加者」に対してTwitterを含め、それぞれのSNSごとの利用の変化を5段階で聴取。設問に対して、「増えた」「やや増えた」と回答した人の割合を上記グラフで表示。

Twitterはこれまでも、40歳未満ではFacebookやInstagramより利用率が高かったのですが、40歳以上でも利用率は年々増加。2020年11月には、それまでSNSトップだったFacebookの利用率を逆転しました(電通d-campX調べ)。このデータからも年齢に関係なく利用率が高いSNSであることが分かります。

テレビ×Twitter
出典: d-camp X  2020下期、調査機関:電通、調査対象:40歳以上男女 2786人、40歳未満男女 2324人、調査期間:2016年5月~2020年11月、調査エリア:東京50km圏、調査方法:訪問による調査対象者説得、 タブレット端末による電子調査票

本記事のテーマである「テレビ×Twitter」の利用率を見てみると、Twitter利用者の約30%が、週1回以上、テレビを見ながらTwitterを利用し、番組に対するツイートをしていました。この行為は5年前と比べて169%とかなりの勢いで増加しています。

テレビ×Twitter
出典:d-campX、調査機関:電通、調査人数:12~69歳男女5110人、調査期間:2016年5月~2020年11月、調査エリア:東京50km圏、調査方法:訪問による調査対象者説得、 タブレット端末による電子調査票

テレビ局も各番組でTwitter公式アカウントを開設。Twitterと番組を絡めたプレゼントキャンペーンを行ったり、番組内で視聴者のツイートを紹介したりと、テレビ番組のTwitter活用も増えています。今後も視聴者と双方向のコミュニケーションを行う上で、ますます存在感を増していくと考えられます。

テレビ×Twitterの広告キャンペーンで、リーチ効果、ブランドリフト効果、ツイート発生効果が生まれる

スマートフォンやSNSの普及に伴い、テレビCMとデジタル広告を組み合わせて広告効果の最大化を狙うことは広告キャンペーンを成功させる上で必要不可欠になっています。

その際に単に「利用者数=リーチ」や「露出量=インプレッション」という観点から予算を配分するのではなく、それぞれのSNSやデジタル広告の特徴を見極めて組み合わせていくことが重要です。では、テレビCMとTwitter広告を組み合わせた「広告キャンペーンの効果」には、どのような特徴があるのでしょうか。
 
①リーチ効果:キャンペーンの統合リーチが伸びる
Twitter広告はテレビCMだけでは届かない層にもリーチできるので、統合リーチが伸びやすくなります。これは、企業がマーケティング活動を行う上で重要な若年層にアプローチする際、顕著に見られます。

テレビ×Twitter
出典:Kantar Japan, CrossMedia AdEffect™、調査時期:2020年1月、調査対象:関東在住の18~34歳の男女 (n=682) 、 35~49歳の男女 (n=837)

②ブランドリフト効果:ブランドへの態度変容が起きやすい
テレビとTwitterで広告接触を重ねることによって、広告の「認知」「意向喚起」そして「行動喚起」がリフトアップしやすい傾向が生まれます。

テレビ×Twitter
出典:Kantar Japan, CrossMedia AdEffect™、調査対象:関東在住の18~49才の男女 (n=1,519)、調査時期:2020年1月、ベンチマーク…テレビのFQ(フリクエンシー)が3回未満かつTwitterのFQが1.5回未満、テレビ…テレビのFQが3回以上かつTwitterのFQが1.5回未満、テレビ+Twitter…テレビのFQが3回以上かつTwitterのFQが1.5回以上

リーチ効果とブランドリフト効果は、テレビCMとデジタル広告を組み合わせた際にもある程度生まれますが、テレビCM×Twitter広告のキャンペーンでも顕著に高い効果が生まれていることが分かります。

これはTwitterとテレビの併用率が高いということと、テレビ番組やテレビCMがTwitter上でリアルタイムに話題になり、拡散しやすいというTwitterならではの特性が影響しているからだと思います。このテレビとの相性の良さが他のSNSにはない一つの大きな特徴であると考えています。

③ツイート発生効果:ブランドのツイート量が増える
そして、3つ目こそがTwitterならではの特徴です。テレビCMとTwitter広告を同時出稿した場合、テレビCMのみを出稿した場合と比べて「ブランドに関するツイート」を効率よく発生させることができます。

通常、広告を実施することでブランドに関するツイートはある程度増えるのですが、同時期にテレビCMとTwitter広告を実施することで①②で述べたように「より多くの人に」(リーチ効果)、「認知」「意向・行動喚起」(ブランドリフト効果)できるので、ツイートする機会が生まれやすくなっているからだと考えます。

テレビ×Twitter
出典(調査名):「TVとTwitterのシナジー効果に関するスタディ」、調査機関:Kantar Japan、調査期間:飲料ブランドA…2015年9月〜2017年9月、飲料ブランドB…2015年9月〜2017年9月、外食ブランドC…2015年6月〜2017年10月、調査方法:飲料、食品ブランドのツイート件数および広告出稿費から広告投資額とツイートボリュームの関係をKantar JapanのDigital Behavior Analysisモデルを使って分析

また、「ブランドに関するツイート」は、ユーザーの購買プロセスに影響することがTwitter Japanの調査で実証されており、ブランドに関するツイートを増やすことが重要ということが分かると思います。

テレビ×Twitter
出典: Intage, NTT DATA and Twitter、調査対象:商品ツイート接触者 (n=2,448)、うち男性 (n=1,534)、女性 (n=914) / 商品ツイート非接触者 (n=4,267) 、うち男性 (n=2,642)、 女性 (n=1,625)※信頼区間90%で有意差検定を実施、調査時期:2017年8月

テレビ×Twitterプランニング、2つのポイント

では、どのようにテレビCMとTwitter広告キャンペーンをプランニングすればよいのでしょうか。

ポイント①:キャンペーン期間を3つに分け、CMに合わせてTwitter予約型広告を実施する

 Twitterでは広告キャンペーンを、開始日を起点に「ティザー」「ローンチ」「サステイン」と3つの期間に分けて設計することが重要です。なぜならば、それぞれの期間で下図のような目的と効果があり、フェーズに合わせてTwitter広告を展開していくことで、キャンペーン全体の効果を押し上げることが可能となるからです。

テレビ×Twitter

テレビCMを軸としたキャンペーンの場合はCMの開始日に合わせてフェーズを設計することが肝要です。

テレビCMをいきなりローンチするのではなく、ティザー期にはその布石で、予めターゲット層に興味を持ってもらえるような施策を展開し、事前にしっかりと広告が効く土壌づくりを行います。そして、テレビCMのローンチタイミングに合わせて、1日単位で購入でき、多くのリーチを獲得できるTwitterの予約型広告を実施し、リーチと話題の最大化を狙います。

テレビCMをローンチした後は、掲出期間や運用内容をキャンペーンに合わせて自由に設計できる運用型商品でキャンペーンを継続し、ブランドとの接点を維持させていきます。このように、Twitterを活用した広告キャンペーンではキャンペーン期間を3つのフェーズに分けて設計し、それぞれの目的に合わせてターゲットとの接点を創出していくことがポイントです。

ポイント②:「テレビを見ながらTwitterを楽しむ」人にアプローチする
 
本連載第1回、第2回の記事では「テレビを見ながらTwitterを楽しむ」層は番組やCMに対する満足度が高いだけでなく、広告に対しても「ストレスが低く、ポジティブであり、かつ広告認知が大幅に上昇すること」に言及してきました。すなわち、この層をしっかりと捉えることが、マーケティングの勝機を押し上げるチャンスにつながるでしょう。

電通は、“人”基点の新しいテレビプランニング「People Driven TV Planning」を提唱しています。これによりマーケティングターゲットを詳細に抽出・可視化し、彼らがどのような番組を見ているのかを把握できることに加え、PCやスマートデバイスの接触状況、アンケートデータなどをまとめて活用することで、より精緻なターゲット・プロフィールを設定できます。

実際にテレビとTwitter併用者のテレビ視聴率データを作成してみると、バラエティー番組やドラマなどが高く表れ、Twitterユーザーと相性の良い番組ジャンルであることが分かります。下記は、「視聴率」と「視聴率の差」が高い番組をそれぞれ上位10番組ずつまとめたものです。

テレビ×Twitter
出典:es XMP、調査機関:ビデオリサーチ、調査対象:関東1都6県の満15~69歳男女 6,000サンプル、集計期間:2021年2月15日~3月14日、取得方法:機械式

このように、進化したテレビプランニング「People Driven TV Planning」を活用することで、「テレビを見ながらTwitterを楽しむ」層へ、テレビCMでも効率よくアプローチすることが可能となります。

テレビとTwitterの相性はとても良く、これからもTwitterを活用したテレビ番組や広告キャンペーンは増えると思います。なぜならば「Twitterはテレビを楽しむプラットフォーム」になりつつあるからです。

広告プランニングにおいても、テレビが創り出す「リアルモーメント」を、Twitterでいかに連動させてターゲットを巻き込んでいけるかが設計ポイントになります。それがキャンペーン全体の効果を押し上げることにつながるのです。