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【グローバル】加速するサステナビリティー&サーキュラーエコノミーNo.6

2021/06/18

パナソニックに学ぶ中国で歓迎される事業展開とは【CSVフォーラムレポート2】

パナソニックスライド

この記事では、2021年4月17日に日本・中国合同で開催されたCSVフォーラム特別編イベントをレポートします。第2回は本間哲朗氏(パナソニック株式会社副社長兼中国・北東アジア社社長)講演から、パナソニックの中国事業についてお伝えします。

第1回:資生堂に学ぶグローバル経営【CSVフォーラムレポート1】 

世界の工場と、その国で歓迎される事業を両立

パナソニックの本間氏は、1978年に鄧小平閣下と松下幸之助が出会ったことから、「21世紀はアジアの時代であり、中国と日本が車の両輪にならなければならないという創業者の中国の発展への強い思いが、パナソニックの中国事業に貫かれている」と語った。松下幸之助は海外事業にあたり、その国で歓迎される事業を基本方針とし、現代の中国でも深く敬愛されている。

パナソニック副社長兼中国・北東アジア社社長 本間哲朗氏
パナソニック副社長兼中国・北東アジア社社長 本間哲朗氏

しかし松下の社名が広まりながらも10年ほど経営が低迷していた。その理由は、スピード・経営スタイル・コスト競争力の3点。課題を解決し、中国の民間企業に対抗するため、2019年に中国・北東アジア社が誕生した。

特徴は、地域内で販売する商品は商品企画から販売に至るまで、ヒト・モノ・カネのすべてを、日本に頼らずチャイナスタイルで決める仕組み。また輸出に関しては、輸出先の商品企画や販売の指示に従い設計・製造に特化するという方針をとる。それにより、世界の工場の役割を担いつつ、世界最大の中国市場に受け入れられることを目指す。

中国・北東アジア社は、パナソニックの強みがあり、かつ中国で成長している2つの事業ドメイン「くらし空間:健康・養老にフォーカスして家電と住宅設備事業の強みを活かす」と「生鮮食品サプライチェーン:安全な食品が求められる中、気通貫型冷蔵ソリューションの提供する」をアップデートすることに重点を置き、中国の役に立つというビジョンを持つ。本間氏は、「松下の長期的な信頼性、ブランド力、要素技術力、幅広い商品群という強みをベースに、中国のパートナーと協業して事業を拡大していきたい」と語った。

当日講演資料 パナソニック提供
当日講演資料 パナソニック提供

健康寿命が伸びる街と、環境負荷の低いコンビニ

本間氏は、くらし空間事業の事例を2つ紹介した。1つは「誰もが住みたくなる健康寿命が10歳延びる街づくり」として、中国のデベロッパーと協業して江蘇省宜興市に約400万㎡の健康・養老タウンを建設。広大な土地の3分の1にあたる区画1170戸にパナソニックの住宅設備が入り、空気・水・光を制御し最適な住環境を提供。さらに、健康データを加えてスマートフォンで一元管理、操作が可能な健康空間制御プラットフォームを提供する。

もう1つは、環境負荷を低減する工業化住宅。プレハブは短期間の建築・解体ができ、繰り返し利用が可能で廃材を出さない。加えて、真空断熱を壁面に応用して、省エネかつ快適な室内空間を担保。安全で高品質かつスピーディーな設計ができるよう、中国最大のCAD設計会社のGLODONと共同で推進している。

必要とされる場所にすぐできることで日々変化する人・街のニーズに応えられると、ローソン店舗にも採用されている。スピーディーな出店が容易なだけではなくで、SDGs推進にも貢献できることが高評価を得ている。

当日講演資料 パナソニック提供
当日講演資料 パナソニック提供

非接触とフードロス低減が、経済活性化につながる

続いて、生鮮食品のサプライチェーン事業の事例紹介があった。

新型コロナウイルス感染症流行の影響で、店員や配達員と非接触で商品受け渡しができることに注目が集まり、パナソニックは、冷温スマートロッカーを開発した。これが都市部の通勤族の朝食スタイルを変えたと報道されたという。

朝食を外で食べる人が多い中国で、通勤中にアプリで注文し、駅前にある冷温スマートロッカーで受け取ることが可能になった。スーパーやコンビニエンスストアでは、ピーク時の業務効率が向上する上に、利用者も温かい朝食を受け取れる。通常コンビニエンスストアでは、午前中に店員1人で100から200のオーダーをこなすのが精いっぱいだが、スマートロッカーでは400から500のオーダーを受けることができるため、売上が上がったという。簡易操作で注文管理もできると好評を得て、急速に拡大している。

また、中国では輸送が長期間になるため、フードロスが25%にのぼるといわれている。この課題についても、産地で作物を適切な温度で冷やす予冷と保管・運送によって鮮度を保持し、廃棄を大きく低減できるという日本の経験を生かした移動できる予冷コンテナが生鮮食品のサプライチェーンを改善した。これは農家の収入アップにも貢献している。

これらのパナソニック中国事業のビジネス成長と現地の社会貢献の両立は、まさにグローバルCSV経営の好事例といえるだろう。2020年の中国域内事業は前年比113%で成長。日本の判断を仰がずに現場でスピーディーに意思決定する自立経営で実現した。本間氏は最後に中国の5つの特徴をまとめた。

当日講演資料 パナソニック提供
当日講演資料 パナソニック提供

本間氏は「中国事業の成否はこの5つの特徴をどう生かすかにかかっており、スマート技術の社会実装が世界一進む中国で、いかに技術を活用してビジネスを進化させていくかという実例をパナソニックグループ全体に還元していくことも、重要なミッションである」と締めくくった。

続く第3回では、中国の若手起業家のスピーチとともに、中国のCSV事業とグローバルのダイバーシティー経営を俯瞰したパネルディスカッションの様子をお伝えします。
(パート3に続く)

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