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エシカル消費 意識調査 2020No.3

2021/08/20

企業がエシカル消費に取り組むときに重視すべき3つのポイント

先日、電通は「エシカル消費 意識調査2020」(以降、本調査)の結果を発表しました(リリースはこちら)。本調査の結果を踏まえ、これから企業や社会が「エシカル消費」に取り組んでいく意義や方法について連載形式で説明していきます。
エシカル消費とは?
私たち調査チームは、エシカル消費を「消費者それぞれが社会的課題の解決を考えたり、社会的課題に取り組む事業者を支援するなどして、消費活動を行うこと」と定義しています。ちなみに「エシカル(ethical)」とは、「倫理的な」という意味を持つ形容詞です。私たちの生活に欠かせない消費という行動は、最も身近なエシカルにつながる行為の一つと言えます。


過去2回の記事では、「エシカル消費とはなにか」と、「エシカル消費に対する消費者の意識」を紹介しました。今回は、本調査をもとにしたクラスター分析の結果と、企業がエシカル消費に取り組むときに重視すべき3つのポイントをお伝えします。

<目次>
意識と消費行動から見えてきた、8つのクラスター
ポイント1:アプローチすべきターゲットを知る
ポイント2: Z世代だけではなく、親子世帯にも視線を向けて発想する
ポイント3:“イメージのわな”に気を付ける
日本におけるエシカル消費の未来

 



 

意識と消費行動から見えてきた、8つのクラスター

私たち調査チームは、エシカル消費に関する意識と消費行動を分析し、消費者を8つのクラスターに分けました。

エシカル消費調査

・エシカルシニア層
エシカル消費の意向はやや高いシニア層。せっかく選ぶならエシカルな商品を選びたいと思っている。

・エシカルアクション層
認知、意向共に高いエシカル消費の最前線に立つ層。世帯年収も高く、耐久財などについてもエシカル消費に強い興味を持つ。

・エシカルポテンシャル層
積極的ではないが、エシカル消費の意向は最も高い。世帯年収も高いうえ、10代やミレニアル世代の子どもがいるケースも多い。

・エシカル面倒層
エシカル消費の意向はまだまだ低い層。調べる時間を要するためにエシカル消費に手がのびていない。

・エシカル慎重層
エシカル消費を実践したい業界は幅広いが、メリットや品質、機能など、自分に合うかを慎重に確かめてから行動する層。

・我が道家族層
家庭があり年収は高いがエシカル消費への関心はまだまだ。エシカル消費への理解がまだ進んでいないが、ポテンシャルはある層。

・無頓着ミドル層
エシカル消費に消極的な層。ミドルエイジで独身者も多く、エシカル意識は高まっていない。

・エシカルフォロワー層
まだまだ意識はこれからだが、知人の影響でエシカルにも興味を持つかもしれない層。男性比率が高い。

 


ポイント1:アプローチすべきターゲットを知る

企業がエシカル消費に取り組むときに、まず大事なのは、エシカル消費に関わる消費者にもいろいろなタイプがいることを知ることです。エシカル消費に関する企業の活動への共感を生み出し、便益をわかってもらう必要があるからこそ、実際、どんな人の意識が高まっているのか、自社の商品・サービスとマッチするエシカル消費意識をもっている人はどんな人なのか、消費者のことをよく知り、アプローチすることが大切です。

今回、消費者をクラスターに分けてみて、まず目を引いたのは、エシカル消費への関心度合いでした。エシカル消費の認知と実施意向についてマッピングすると、「成長グループ」「無関心グループ」「未開拓グループ」の3つに分かれます。

エシカル消費調査

さらに、その中でも、クラスターによってエシカル消費の関心領域に違いがみられます。単純にボリュームや性別・年代別でみるのではなく、自社の商品・サービスへの関心が高い層はどこなのか?実は無関心グループの中に共感されやすい層がいるのでは?といったように、各層のエシカル消費意識を多面的に見ていくことが大切です。

前回の記事で触れた通り、消費者が実施したいと思うエシカル消費とは「自分と社会へのメリットを理解できるもの」、つまり、その活動への共感を生み出し、便益をわかってもらう必要があるものです。

共感を生み出すための施策が、果たしてターゲットに受け入れられるものなのかを改めて立ち止まって考え、ターゲットを明確にして、深く知る必要があります。
 

ポイント2: Z世代だけではなく、親子世帯にも視線を向けて発想する

ここからは、前述した「成長グループ」に属する3つのクラスターをピックアップして、具体的なプロファイルに迫ります。

まずは、最もボリュームが多く、エシカル消費への関心が高かった「エシカルアクション層」です。この層は、女性の比率がやや高く、年代は40代以上が4分の3を占めており、世帯年収も高めです。日用品から家具まで、幅広い業界でエシカル消費意識がクラスターの中で1位になっています。エシカル消費を代表する層、といっても過言ではありません。

エシカル消費調査


「エシカルアクション層」よりも関心は低いですが、実施意向が高いのが「エシカルポテンシャル層」の方々です。マーケットボリュームとしては8.5%と、「エシカルアクション層」よりは少ないものの、エシカル消費実施意向を持つ人は97.4%と圧倒的。いま一歩、「エシカル消費」そのものの認知が伸びていませんが、これからエシカル消費が当たり前になるにつれ、積極的に実践する可能性が高い層です。

こちらも40代以上の女性が多い層になっており、「エシカルアクション層」よりも子どもがいる方が多く、半数を超えています。子どもの中にはミレニアル世代も多く含まれており、親子そろって、高いエシカル消費意識を持つ可能性がある層ともいえます。

ですが、関心のある業界はエシカル消費の代表的業界ともいえる「食品」や「衣料品」が中心となっています。「日用品」や「家電」など、まだエシカル消費が浸透していない業界では、まずエシカルな商品・サービスの認知から取り組んでいく必要がありそうです。

エシカル消費調査


最後は、「エシカルシニア層」です。60歳以上が過半数を占めるこのクラスターでは、エシカル消費の意向はやや高く、どちらかといえばエシカル消費の方がいい、と思っています。特に食品や自動車、家電といった女性の意見が購入に影響することも多い商材・サービスには共感をしやすい層、といえそうです。社会問題や環境問題にも関心を持っているので、エシカル消費の認知拡大に伴い、購買への影響力がより大きくなってくる可能性があります。

エシカル消費調査

さて、ここまで「成長グループ」に属する3つのクラスターに迫りましたが、共通点はどの層も若年層ではないこと、そして、子どもがいることです。

エシカルやサステナビリティ、SDGsといったワードは、イノベーターも多いミレニアル世代やZ世代との親和性が高い、というのが一般論として語られがちです。しかし、各クラスターのエシカルとの相性を確認していくと、企業がエシカル消費に取り組む場合、実は世帯年収の高いシニアや親子、家族にマッチしやすいという事実が判明しました。企業がエシカル消費に取り組むときは、親子世帯にも視線を向けて発想することが必要といえそうです。
 


ポイント3:“イメージのわな”に気を付ける

最後に、「エシカル面倒層」のプロファイルをご紹介します。

この層は全体の2割を占め、男女や年齢のバランスも良く、エシカル消費の認知も一定数値を獲得しています。しかし、業界別のエシカル消費意識では順位が高くなっている業界はなく、エシカル消費への前向きな価値観も見られません。エシカル商品を認知していても、企業への共感を得るのが非常に難しい層もあるのです。

ボリュームが多いことを理由に、彼らに向けてアプローチを重ねても、思ったような共感は得られなかった、ということにもなりかねません。ちなみにこの層は、「購入前に調べる時間を要する」ことを、エシカル消費を実践したくない理由として挙げており、無理にエシカル消費への理解を促したり、自社の取り組みをアピールすると、逆にネガティブなイメージを持たれる可能性もあります。

エシカル消費調査 

この層の意識は一例ですが、「エシカル消費」を知っているからいいというわけでもなく、また、層によって関心のある業種にばらつきもあります。いかに自社に合ったターゲットを見つけることができるか、それが企業にとってだけでなく、エシカル消費をする消費者にとっても重要なポイントになるでしょう。
 

日本におけるエシカル消費の未来

今後、どんな業種でもエシカル消費に取り組んでいかなければならない世の中になっていく中で、企業はどんな意識を持って取り組んでいくべきか。今回の調査からわかったのは、パーパスを明確に持ち、それにあった意識を持つエシカルターゲットを見つけること、そして、興味を持ってくれている人に共感を促していく必要がある、ということでした。企業がエシカル消費に取り組むときは、「どんな人に対してどんなエシカルジャーニーを設計すべきか」を考えていく必要がありそうです。

次回は、エシカル消費の世界における展望について紹介します。

【エシカル消費 意識調査2020の概要】 
・対象エリア:日本全国
・対象者条件:10~70代の男女
・サンプル数:性年代別に各125人ずつ、計1000人を人口構成比でウエイトバック集計
・調査手法:インターネット調査
・調査期間:2020年11月18日~25日
・調査機関:電通マクロミルインサイト
※構成比(%)は小数点以下第2位で四捨五入しているため、合計しても必ずしも100%にならない場合があります。

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