茂木健一郎が、「工芸」を語る?
2021/10/21
KOGEI(工芸)というものの価値を問うイベントが、11月の5日、6日の2日にわたって、六本木で開かれる(詳細については、本稿ラストのリンクからご覧ください)。
イベントでは、脳科学者の茂木健一郎氏ほか、さまざまな分野の専門家が「工芸」のもつポテンシャルについて語り尽くすという。ウェブ電通報で以前とりあげた古美術 鐘ヶ江も、このイベントの中心的な存在だ。これは、ほうってはおけない、ということで記事にさせていただいた。
日本が世界に誇れるものとはなんだろう?と考えたときに、「工芸」というものは欠かせない。手先の器用さ、繊細さ、芸術性……何をとっても、世界広しといえど、天下一品だ。
しかしながら、マネタイズが比較的容易なアニメなどに比べて、「工芸」となるとどうだろう?誰もがその価値は認めるものの、スマホでぽちぽちと購入するか?と言われると、そんな気にはならない。いわゆるスポンサーも、付きにくい。
そこなのだ。でも、いいものは、いい。そんなことに気づかせてくれるのが、このイベントの本質だと思う。当日のご登壇者のひとりである茂木健一郎氏の過去の記事から、そのあたりを読み解いてみたい。
ウェブ電通報編集部
茂木氏との出会いは、京都engawa主催のイベント「engawa Serendipity day」。「共創を生むコミュニティとは?」というテーマで、京都精華大学学長であるウスビ・サコ氏と対談してもらった。
イベントのタイトルにもあるSerendipity(セレンディピティ)の核となるのは「共創」。
いまさらながらの注釈ではあるが、「競争」ではなく「共創」。その仕組みを、英語、フランス語、中国語、バンバラ語、さらには関西弁を自在に操るサコ氏は、グローバルな視点から解説してくれた。
茂木氏からの「子どもの頃から、抜群に勉強ができたんでしょ?」との問いかけに、サコ氏はこう答えた。「必要な勉強に加えて、必要以上な遊びをしました」。空間人類学を専門とするサコ氏だが、元々は建築計画に携わっていたのだという。京都精華大学で創設した「マンガ学部」も、やがて「国際文化学部」へ変貌する。「アカデミズムとは何なのか?ということを突き詰めると、どの切り口から入っても人類学へと行きついてしまう」というサコ氏。
その観点からすると、日本の中でも京都、そしてそこに暮らす人々は、サコ氏にとって魅力的なのだそう。「京都の人は、空間に対してとても敏感。それは、建築という観点からしても、人と人との距離感ということから見ても、です。どこまでが気遣いなのか、どこを超えたらイケズとなるのか。その紙一重の感じが、とても面白い」
茂木氏が引き出したサコ氏の視点は、「工芸」にも通じる。どこまでがアートなのか、どこからが工業製品なのか。その線引きは、むずかしい。でも、生活用品、たとえば鍋であっても、これはいいな、美しいな、と思えるものには必ずアートが潜んでいる。ただ便利で、使い勝手がいい、ということだけで私たちの心は満たされないのだ。
そのあたりに興味をもたれた方はぜひ、11月5日、6日に開催される“KOGEI Next”展に足を運んでみてほしい。
古美術 鐘ヶ江、クロステック・マネジメント主催による“KOGEI Next”展(11/5-6、六本木ヒルズのヒルズカフェ/スペースにて開催)の詳細については、こちら。
こちら。