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クリエイティブは、武器になるNo.2

クリエイティブ起点で社会の空気を変える

2022/01/12

クリエイティブの技術は、マス広告に代表される広告表現だけに活用されるものではない。言葉、デザイン、考え方。伝え方を設計し、実現する。そうした技術を、経営のあらゆる局面で活用し、ビジネスにドライブをかけていく。正しく伝えることはもちろん、心を揺さぶる。みんなの気持ちを束ねて、進むべき方向を定める。

この連載では、そんなクリエイティブの事例を、さまざまな企業の、さまざまなセクションの方々からの声をもとに、紹介していきます。

第2回は、#イマデキ。コロナ禍において「今できることが、きっとある。」というスローガンの下、80以上の企業や団体がタッグを組んだ社会貢献活動について、電通 関西支社CRD局の髙木守氏に聞いた。

文責:ウェブ電通報編集部
                            

#イマデキのロゴ

 

関西発の活動「#イマデキ」って?

2020年4月にスタートした「#イマデキ」は、関西を中心に80以上のパートナー企業や団体・メディア・広告会社が一丸となって、「コロナ禍の世の中を少しでも明るくしたい」と取り組んだ活動です。自主的な活動としては、おそらく最大規模だと思います。

きっかけは3月中旬、まだ新型コロナウイルスが何なのかもよくわからず、世界全体に不安が広がっていた時期でした。不謹慎に思われないよう、みんながメッセージを発信するのを控えて自粛ムードに。広告キャンペーンも次々と中止になりました。どんよりとした世の中の空気を、クリエイティブの力でなんとかしたい。悶々(もんもん)としていたとき、メディア部署の有志も同じことを考えていて、すぐに合流、チームを結成しました。僕はクリエイティブ全般のプランニングからディレクションまで担当。コミュニケーション設計にも携わりました。

電通CRD局の髙木守氏
電通CRD局 髙木守(たかき・まもる)氏

 すべては「コンセプト」から始まった

「#イマデキ」は、「世の中の一人ひとりが、その時々の状況にあわせて『今だからこそできること』を見つけ、前向きに行動していく」というコンセプトです。苦しい日々はつづきますが、悲観しても状況が良くなるわけではないので、ほんの少しでも前を向く、そのきっかけになれたらと考えました。

コロナ禍の状況を見つめ直して、世の中の空気をつくるのは広告会社でもマスメディアでもない。世の中の一人ひとりの気持ちなんだと改めて感じました。人が集まって社会ができる。だから、世の中の空気は、人の気持ちの集合体なんだと。逆にいえば、一人ひとりが少しずつでも前を向いていけば、世の中の空気だって変わっていく。そうして、また人の気持ちも明るくなる。そんな好循環が生まれたらいいなと。

つらい状況ですけど、小さなことでいいから、自分のためでいいから、アクションを起こしてみる。「旅行できなくなった。じゃあ、今までしなかった読書してみよう」「お店を休業しないといけない。そのこと自体はとても苦しいけれど、この機会に新しいメニューを考えてみよう」とか。そうやって頑張っている人を見ると、「自分も頑張ろう」って周りも勇気をもらえますよね。だから、大企業やメディアがパートナーですが、草の根的な活動を目指しました。一人ひとりの気持ちに寄り添えないと、押し付けになっちゃいますし、それだけは絶対に避けるように気をつけました。

#イマデキのTwitter投稿バナー
Twitterアカウントから投稿したメッセージビジュアル

 競争ではなく共創。「#イマデキ」というつながり

「#イマデキ」のコンセプトが決まって、共鳴して一緒に活動してもらえるパートナー探しがはじまりました。お付き合いのある関西の放送局や雑誌社、WEB媒体などメディア、クライアントである企業、団体などに幅広くお声がけさせてもらって、結果として多くのパートナーに集まっていただきました。活動の中身が定まっていない中で、コンセプトだけで賛同いただけたことが、本当にありがたかったです。

受注関係やライバル・競合といった垣根なく、世の中を明るくするために、それぞれが「今できることをやる」という理念のつながり。活動の運営も、日頃はしのぎを削るライバル同士の広告会社6社が手を組んで、前向きに議論したり、一緒に企画したり。とても新鮮な体験でした。

今思うと、とても先進的な座組みだったようにも思えます。それぞれの強みを生かして、有機的につながっていく。でも強制はしない。あくまで自主的な活動。世界的に、これからのビジネスのテーマとして「共創関係をどうつくるか」がありますが、「#イマデキ」のパートナー企業同士でもコラボレーションが生まれました。

#イマデキのサイト、SNS
公式サイト(左:ローンチ時/右:1回目の緊急事態宣言明け)

 アクションを生むために、自分たちから行動する

6つの広告会社が集まった「#イマデキ」実行委員会ができて、活動は「#イマデキ」のコンセプトを伝えることから始まりました。広告の基本、まず知ってもらうこと。パートナーの在阪メディアに多大な協力をいただき、リモートで制作したCMや新聞広告を世に出しました。関西出身の著名タレントの方にもご厚意で出演いただきました。同時にSNSアカウントと公式サイトを開設。2020年4月16日に公式スタートですから、チーム発足から1カ月足らずでのローンチ!とてもスピーディに立ち上げることができました。

活動の初期は毎日何時間もチームメンバーで話し合い、広告会社同士でも長時間のミーティングつづき。そんな熱量をみんなが同じだけ持てたのは、今考えるとすごいことだなと思います。世の中の前向きなアクションになるように、まず自分たちが行動する。そのための建設的な議論ができました。

パートナーからは「#イマデキ」という言葉をつかって、おうち時間を豊かにするアイデアを発信したり、前向きなメッセージを投げかけたり、たくさんの施策が生まれました。すこしずつ「#イマデキ」が関西で浸透してきて、SNSでも「わたしの#イマデキは〜」と、自分の前向きなアクションをつぶやいてくれる人たちが増えるようになりました。そのつぶやきを見てまた前向きになる人がいて。

1度目の緊急事態宣言があけてからは、「認知」から「実施」フェーズへ活動のレベルを上げました。自粛期間の影響を受けた人たちを応援しよう、と。たとえば、部活動ができなかった高校生を応援する施策。大会や発表会が中止になったダンス部・吹奏楽部にスポットライトをあてたムービーを制作しました。また、大阪の観光を盛り上げるために、フィジカルディスタンスを担保しながら見て楽しめるパネルを制作し、お店に提供しました。

運営をしていた広告会社6社が主体的に「#イマデキ」な活動を展開。世の中がWithコロナへ移るまで、8カ月以上にわたって活動をつづけました。2021年12月いっぱいで休止するまで、9万近い「#イマデキ」のツイートが生まれ、非常にたくさんの人が前向きなアクションを起こしてくれました。

#イマデキの事例
大阪の飲食店に感染防止と観光盛り上げを両立するパネルを提供

 これからの時代に必要な「#イマデキ」

「#イマデキ」は、走りながら考えた活動でした。普通の広告キャンペーンなら、明確にゴールを設定して、そこから逆算してプランを組み立てるもの。でも、コロナ禍でゴール設定は困難ですし、議論しているあいだにも暗く沈んでいる人たちがいる。拙速でいいから、少しでも、一人でも気持ちが明るくなればとアクションを起こしつづけました。活動に関わるすべての人が、同じ志を持てたから実現したのだと思います。

コロナ禍にかかわらず、ゴール設定がどんどん難しくなっているVUCA※の時代。「今できることを、まずやってみる」ことは、今後ますます大事になるでしょう。もちろんそれで失敗することもありますが、チャレンジしなければ何も生まれない。そのほうが結果的にはリスクです。活動は終わっても、「#イマデキ」というコンセプトは普遍的で、残っていくといいなと思います。

※VUCA:Volatility、Uncertainty、Complexity、Ambiguityの頭文字。先行きが不透明で、将来の予測が困難な状態。

 

たくさんの仲間がいたから勇気を持って活動をつづけられたように、今後、クリエイティブとしても、クライアントや他のメンバーたちと同じ志を持ちながら、そのときどきの「#イマデキ」にチャレンジしていきたい。大胆に実行していきたいですね。

「#イマデキ」の活動は、第64回大阪広告協会賞 特別賞を受賞しました。

TVCM 今こそ「#イマデキ」篇
TVCM 今こそ「#イマデキ」篇

 

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