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クリエイティブは武器になるNo.3

クリエイティブには企業を内側から変えるチカラがある

2022/05/24

クリエイティブの技術は、マス広告に代表される広告表現だけに活用されるものではない。言葉、デザイン、考え方。伝え方を設計し、実現する。そうした技術を、経営のあらゆる局面で活用し、ビジネスにドライブをかけていく。正しく伝えることはもちろん、心を揺さぶる。みんなの気持ちを束ねて、進むべき方向を定める。

この連載では、そんなクリエイティブの事例を、関係者の方々からの声をもとに、紹介していきます。

第3回は、イオンファンタジーの未来創造プロジェクト。戦略・クリエイティブパートナーとして「夢中を育む。」という企業タグラインやパーパスの策定から、キャンペーン・プロダクト開発まで 、イオンファンタジーの変革を電通のチームがサポートしています。プロジェクトのアウトプットの中には、カレンダーの機能を再解釈したトイレ専用カレンダー「だれのうんち?」といった不思議なプロダクトも。その仕掛け人である、電通のソリューションクリエーションセンターの西井美保子氏と、第2CRプランニング局Future Creative Centerの用丸雅也氏に話を聞きました。

 

エンターテインメント企業からエデュテイメント企業へ

子どもたちが安心して遊べる施設を中心に、世界8カ国でアミューズメント施設を展開してきたイオンファンタジー。日本では、子どもが遊べるプレイスペースも備えたアミューズメント施設「モーリーファンタジー」や、保育士・幼稚園教諭の有資格者やオリジナル教育プログラムを受けたプレイリーダーと呼ばれるスタッフと子どもが遊べる屋内プレイグラウンド「スキッズガーデン」など、親子のニーズに応える多様な施設やサービスを運営しています。

イオンファンタジーと電通は、2014年から、イオンファンタジーの変革に伴走する未来創造プロジェクトを発足させました。少子化の流れが止まらない中、今後もイオンファンタジーが持続可能なアミューズメントを提供していくには、エンターテイメントに付加価値を高めていく必要がありました。そこで、“あそび”を進化させるべく、教育の要素を加えた「エデュテイメント(エンターテインメント×エデュケーション)」に着目し、2020年にはエデュテイメント企業に進化するイオンファンタジーの、ビジョンの再策定と、それに伴うコミュニケーション開発をサポートしました。


イオンファンタジーのエデュテイメント キービジュアル


 「そんなのもありか!」なエデュテイメントカレンダー

世界中の子どもたちが在宅を余儀なくされたコロナの時代、エデュテイメントの思想や手法を、社内外にキャッチーにアピールしたい。そこで、家の中でも特に、エンタメもエデュケーションも無いトイレという空間を、エデュテイメントにしてみせることで、イオンファンタジーの姿勢を鮮烈に伝えられるのではないかと考えました。そこで、うんちを通して、動物の生態を学べるトイレ専用カレンダー「だれのうんち?」をイオンファンタジーの皆さまと企画・制作しました。


トイレ専用カレンダー「だれのうんち?」①
トイレ専用カレンダー「だれのうんち?」②
カレンダーの表面では、毎月の1日から末日までを動物の腸に見立てることで、食べたものが消化される過程と、その特徴的なうんちを追いながら、うんちの主である動物を想像することができます。毎月、「何を食べてるんだろう?」「どんな動物かな?」と、子どもが好奇心を抱ける仕掛けに。裏面では、動物の食生活や、うんちの色や形、匂いを楽しく解説し、1枚裏返すたびに、生物の知識を深めていける構成に。

 トイレ専用カレンダー「だれのうんち?」③
トイレ専用カレンダー「だれのうんち?」④

トイレ専用カレンダー「だれのうんち?」は、国内外のカレンダーアワードをはじめ、多数の賞をいただくことができました。

<トイレ専用カレンダー「だれのうんち?」受賞実績>
・第72回全国カレンダー展(主催/一般社団法人日本印刷産業連合会、フジサンケイビジネスアイ)第2部門 銀賞
・ドイツ グレゴール・カレンダー・アワード 日本部門 銀賞
・第100回ニューヨークADC賞 プロダクトデザイン部門 Merit賞
・AD STARS 2021  Print部門 銀賞

リリース後、50を超えるメディアに取り上げていただき、用意した3万部は、即座に品薄に。教育機関や公益財団法人からも問い合わせをいただき、50を超える全国の幼稚園や保育園をはじめとした教育現場へと配られました。イオンファンタジー本社や国内約430店舗にこのカレンダーを設置することで、世の中のみならず、イオンファンタジー社内にもエデュテイメントの精神を伝えることを目指しました。

2022年は、エデュテイメントカレンダー第2弾として、カウントダウンカレンダー「あとなんにち?」を企画・制作。

カウントダウンカレンダー「あとなんにち?」①

第2弾を開発するにあたって注目したのが、年齢によってはそもそも曜日感覚がまだ身についておらず、一般的なカレンダーを理解できていない子どももいるのではないか、ということ。加えて、新型コロナウイルスの影響を受け、多くのイベントが中止・制限されている中で、我慢することも多い日々だからこそ、次のイベントを待つまでの時間に、少しでも笑顔を増やしたい。そんな想いでイオンファンタジーと電通のチームで企画・制作したのが、このカレンダーです。


カウントダウンカレンダー「あとなんにち?」②

このプロダクトは、ただ日付が記載されているものではなく、次のイベントまでの日数を数えるためのものとして、カレンダーを再定義。こどもが待ち望むイベントをカードの中から選び、その日までをカウントダウンすることができます。

カウントダウンカレンダー「あとなんにち?」③

リブランディングに必要なのは、外側ではなく、内側から変えていくこと。

2022年、イオンファンタジーは、創業時に制定した社是を、社会的存在意義についてより強く意識した「パーパス」へ昇華させ、制定しました。社会や子どもを取り巻く環境変化をもとに、企業に求められる社会的役割について、創業者の想いもひもときながら、藤原徳也代表取締役社長と何度もディスカッションさせていただきました。そういったプロセスを経て、「こどもと向き合うことは、未来の大人と向き合うこと。すなわち、次の社会をつくること。」というイオンファンタジーの社会的使命を言語化。「こどもたちの夢中を育み、“えがお”溢れる世界をつくる」というパーパスを策定し、「夢中を育む。」という企業タグラインが生まれました。

イオンファンタジーの企業タグライン

私たちは、大企業やスタートアップなど、さまざまな企業のブランディングを担当していますが、大事にしているのは、第一にインナーコミュニケーション、すなわち、従業員の方々の誇りをつくることです。企業を変革していく際、外側の見え方だけを変えるのは、文字通り表層的な改革にしかなりません。企業とは枠組みにすぎないので、その内側の従業員一人一人が変わることで初めて、企業は変わることができると考えます。

イオンファンタジーにおいても、カレンダーというプロダクト開発は、あくまでエデュテイメントという思想を体現する取り組みの一つにすぎません。実際、イオンファンタジーの中では、ゲームを通じて“考えるチカラ”を養うゲームのオンラインスクール事業「ゲームカレッジLv.99(レベルキュウキュウ)」や、未就学児向けプレイグラウンド「のびっこ」など、さまざまな新規事業が生まれており、多くの子どもの笑顔をつくっています。

意識が変わって初めて行動が変わる、と思われがちですが、実際は逆。行動が変わって、初めて意識が変わります。私たちも、プロダクトや事業開発から、採用開発まで、さまざまな取り組みにおいて、イオンファンタジーがそのパーパスを達成するための取り組みを、クリエイティビティでサポートしていければと思っています。

用丸雅也さん(左)と西井美保子さん(右)用丸雅也氏(左)と 西井美保子氏(右)
 
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