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パパの生態変化~コロナを経たパパと家族の子育て実態~No.2

7タイプのパパ、環境の変化を楽しめたのは?

2022/09/26

パパの子育てにはまだ「ロールモデル不在」。多様なパパがそれぞれの形で子育てをしていました。さらにコロナ禍での環境変化により、家族との関わり方も働き方も変貌しています。企業にとってまだ未知数な部分も多いパパの行動や気持ちを知ることは、これからのマーケティングにおいて欠かせないポイントです。

パパラボが実施した「パパの生態変化~コロナを経たパパと家族の子育て実態~」の調査結果をもとに、子育てする父親の実態と、ココロや行動を動かすポイントを連載します。

第1回では、コロナ禍によりパパの生活時間が大きく変化したことや、その変化を楽しめているパパとそうでないパパがいるというお話をしました。第2回では具体的にどのようなパパに分かれるのかを、パパラボが実施したクラスター分析の結果を元にご紹介します。

【パパラボ】
パパって、日本のポテンシャル
パパラボはメンバー全員が、働くパパ。営業、ストラテジー、クリエーティブ、デジタル、メディア、コーポレート、さまざまな領域のプロフェッショナルが集ったいわばパパ専門のミニエージェンシー。パパと家族のターゲット研究を起点に、マーケティング支援・コンテンツ開発・男性育休取得推進支援などのソリューションを提供。2019年パパのインタビューから「多様なパパの生態研究」を公開。
https://www.projects.dentsu.jp/papalabo/variety/
パパラボ

パパは7タイプに分かれる

中学生以下の子どもと同居するパパについて、家事・育児・仕事・くらしなどの生活価値観を軸に、クラスター分析を行ったところ、7つのタイプのパパに分かれました。概観するために、「(コロナ前と比べての)家事・育児時間の増加率」×「家事・育児ストレス増減」でポジショニングしてみると以下のようになります。

7つのパパクラスター ポジショニングマップ

パパラボ
出典:電通「d-campX調査」×ビデオリサーチ「ACR/ex」 パパ:20~59歳中学生以下の子どもがいる親(N=690ss)

 
右上の象限が「家事・育児時間の増加率が大きい」かつ「家事・育児のストレスが減った」層、つまりコロナ禍による変化を楽しめているパパです。

一方、右下の象限は、「家事・育児時間の増加率が大きく」「家事・育児のストレスが増えた」層なので、変化に対応しながらもストレスを感じているパパとなります。

また、左の象限は、「家事・育児時間の増加率が低い」、コロナ前からスタイルをあまり変えていないパパです。スタイルを変えていないため、家事・育児のストレスの増減については、中庸な所に位置していることがうかがえます。

では、ここからは各層のパパについて、簡単に紹介していきます。

環境変化を楽しめているパパたち

クラスター1:問題解決ECパパ (構成割合9%)

パパラボ

問題解決のために創意工夫を凝らすことが苦にならないタイプのパパです。年代は40代中心。

仕事はテレワークが多く、必然的に増える家事・育児にも積極的に満遍なく取り組んでいます。ネットスーパー等のデジタルサービスや生活家電等を活用するなど、仕事も家事もうまく回るための方法を率先して導入し、くらしの効率化をはかっている様子が見られます。

クラスター2:家事プロパパ(構成割合10%)

パパラボ

キレイ好きで掃除や洗濯の仕方にまでこだわるパパです。未就学児の子を持つ共働き世帯が中心で、洗剤や柔軟剤にも気をつかうほど、「清潔感のあるくらし」を保つことに積極的に取り組んでいます。食材の安全性への意識も高いようです。

クラスター3:子どもシフトパパ(構成割合15%)

パパWalmart母

コロナ前と比べて家事・育児時間が増えた割合が最も多いのがこのタイプです。未就学児の子を持つ専業主婦世帯が中心で、家事・育児の中では「子どもをお風呂に入れる」の割合が特徴的に高いです。コロナ禍により在宅時間が増えたことで、子どもとのおうち時間を楽しんでいる様子がうかがえます。

環境変化にストレスを感じているパパたち

クラスター4:ママに相談これはパパ(構成割合26%)

パパラボ

パパの中で最も構成割合が多いのがこのタイプです。家族のどのようなことも夫婦で話し合って決めるスタイルが特徴です。仕事は安定志向、協調性を重んじるタイプで、妻と子どもと過ごす時間が心のよりどころになっています。家事は風呂掃除や皿洗いなど水回りの担当が多めなのも特徴です。一方で、コロナ禍で在宅勤務が増え、家事・育児に向き合う時間も増えた変化に対して、少なからずストレスを感じているようです。

クラスター5:キャリア&コミュニティパパ(構成割合8%)

パパラボ

子どもにいろいろな“体験”をさせることを重視するパパで、SNS映えする体験を周囲に発信・共有することを好みます。未就学児を持つ30代の親が中心で、家事育児時間はパパの中で最も長いです。

また、仕事への意識も高く、キャリアアップのためのネットワーキング活動にも積極的です。行動制限により思うように外出できず、在宅での育児時間が増える中で、ストレスを感じている様子がうかがえます。

コロナ前のスタイルを崩さないパパたち

クラスター6:人モテ重視パパ(構成割合19%)

パパラボ

トレンドに敏感で、ファッションにも気を使い、人からの評価を重視するタイプのパパです。仕事では出世欲も高く、社交的です。家事では「炊事・料理」が多いことが特徴的です。コロナ前と比べての家事・育児時間の増加率は、他のパパと比べると相対的に低く、自分のペースをあまり崩さず生活をしている様子が見られます。中学生の子を持つ親がやや多めであることも一因として考えられます。家事・育児ストレスは若干ですが増えているようです。

クラスター7:ぐーたらパパ(構成割合13%)

パパラボ家事・育児時間が最も短いタイプのパパです。家事育児だけでなく、仕事に対する意欲もそこそこで、何事にも低関与な様子が見られます。50代が若干多いのも特徴です。

「家事・育児ストレスの増加率」と相関が見られる「承認欲求の高さ」

ここまでさまざまなタイプのパパを見てきましたが、今回「家事・育児ストレスの増加率」とさまざまな価値観データとの関係性を見ていく中で、一つの特性との相関性があることが分かりました。それは「承認欲求の高さ」です。

パパラボ
出典:電通「d-campX調査」×ビデオリサーチ「ACR/ex」 パパ:20~59歳中学生以下の子どもがいる親(N=690ss)

家事・育児ストレスを感じているパパほど、「人から認められたい」気持ち(=承認欲求)が高いことが見てとれます。

この背景を推察すると、自宅内での家事・育児は、会社での仕事とは違い、他者から成果が見えづらく評価されづらい側面があることが影響しているかもしれません。人から認められるという外的な刺激がモチベーションの源泉であるタイプのパパにとっては、ストレスを感じやすいことが想像されます。しかし、このストレスはパパに限るものではなくママも同様に感じるものであり、その大変さをコロナ禍を通じて実感したともいえるでしょう。

家事・育児の大変さを実感することが、夫婦の理解につながった?

もう一つの注目ポイントとして、家事・育児ストレスを感じているパパも、共通して「家族関係は良くなった」「生活満足度はあがった」と答えていることが挙げられます。ストレスを感じることは短期的には負担となり良くないことかもしれませんが、こうしてパパたちが家事・育児時間の大変さをより実感し、夫婦でその気持ちを分かち合えたことが、家族関係が良くなることにつながっているのかもしれません。

今回は、パパにおけるコロナ禍による生活の変化やその受け止め方の多様性を見てきました。パパラボは、これまでも、パパの家庭進出が進むことで夫婦がフラット化し、ファミリー消費におけるパパの視点がより重要なものになってくると主張してきましたが、コロナ禍によって(人によってグラデーションはあるにせよ)さらに加速したといえるのではないでしょうか。

第3回ではこうしたパパの視点の取り込み方・アプローチ方法について解説していきます。


【調査概要】
■電通「d-campX」
調査手法
:回答専用タブレットを用いたインターネット調査
調査地区:東京50㎞圏
調査時期:2021年3月、6月
対象者:20~59歳既婚男性 かつ 中学生以下の子どもと同居の方
サンプル数:690ss
 
■ビデオリサーチ「ACR/ex
調査手法
:回答専用タブレットを用いたインターネット調査
調査地区:東京50㎞圏
調査時期:2021年4〜6月
対象者:20~59歳既婚男性 かつ 中学生以下の子どもと同居の方
サンプル数:690ss
ACR/ex詳細内容はこちら 
 
■電通パパラボ×ビデオリサーチ「ACR/ex」connect調査
調査手法
:回答専用タブレットを用いたインターネット調査
調査地区:東京50㎞圏
調査時期:2021年11月
対象者:20~59歳既婚男性 かつ 中学生以下の子どもと同居の方
サンプル数:647ss

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