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B2B事業を電通グループ横断チームで徹底サポート!B2Bイニシアティブ始動No.3

B2B商材、商談前に取引先はほぼ絞り込まれている!? 購買関与者4500人調査の考察

2022/10/18

電通B2Bイニシアティブでは、B2Bビジネスの実態をさまざまな切り口から把握し、マーケティングに活用することを目的とした独自調査を実施しています。今回は企業間で取引される商材(以下B2B商材)を選定する「購買関与者」にフォーカスをあてた調査結果を紹介します。

中小企業への営業・マーケティング対策の課題

B2B商材は、複数の人間が購買に関与し、意思決定プロセスも複雑になるケースが多いため、意思決定に関与する人たちの行動やニーズを正確に捉えることがB2Bマーケティングでは重要です。ネットやSNSが普及し、わざわざ営業に会わなくても豊富なビジネス情報を簡単に自分で入手できるようになっているため、購買関与者の行動やニーズを正確に把握することがB2Bマーケティング担当者の課題の一つとなっています。

特に、顧客の購買関与者の中でも、大手企業に対しては従来の営業チームがしっかりと対峙できていることが多いですが、昨今課題となっているのは、営業対応では効率的にアプローチしづらい中小企業や個人事業主への対策です。

実際、電通B2Bイニシアティブに寄せられる相談に共通する特徴の一つは、この中小企業や個人事業主に対してどうやって効率的に情報を送り届け、確度を見極め、販売代理店や自社のウェブサイトから如何に申込(購入)をしてもらうか?という点があります。

今回の調査での狙い

国内においては、部品や機械、飲食品、サービス、システムなど多岐にわたるB2B商材の購買意思決定に関して、俯瞰的にかつ網羅的に捕捉できる調査が数少ないことから、本調査では、商材の網羅性と個別特性を考慮した上で、電通B2Bイニシアティブが独自に定義した「B2B商材マトリクス」に基づいて45にわたる商材を選定し、各商材の購買関与者100人(合計4500人)を対象に聴取を行っています。商材ごとの意思決定プロセスの違いや特徴を把握することで、より精度の高いマーケティング戦略を打ち立てることができますので是非参考にしていただけますと幸いです。

B2B商材を4つにセグメント“B2B商材マトリクス”

B2B商材と一言でいっても前述のとおり、部品や機械、飲食品、サービス、システムなど多岐にわたります。私たちは、B2B商材を俯瞰的にかつ網羅的に捉えることのできるフレームとして、「B2B商材マトリクス」を提唱しています。

具体的には、商材ごとの違いを語る上で分かりやすい特性の1つである「形態の違い」と購買意思決定に影響を与える「スイッチングコスト」(※1)に着目して、「有形商材⇔無形商材」「スイッチングコスト高⇔スイッチングコスト低」の2軸を設定。各象限を「主要材/不動産/機械」「飲食品/消耗品/備品」「人材/データ/サービス」「ソフト/システム/インフラ」と定義しています。

※1=スイッチングコストとは、現在利用している商品やサービスから別のものへ乗り換える際に発生する金銭的・物理的・心理的コストを意味します。
 
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B2B商材マトリクスとマトリクスに基づいて選定した45の商材

本記事では、本調査対象者4500人のうち2559人にあたる中小企業(従業員数300人以下)の購買関与者に関する3つの内容を紹介します。

商談がスタートする前に、大方の勝負はついている!?

 

1. 購買関与者のうち4割前後が、取引先(候補)の営業担当と接触する前に、1~2社に候補を絞り込んでいる。

取引先(候補)の営業担当にコンタクトをとる時点で、どれほど取引先(候補)を絞り込んでいるのかを聴取してみたところ、1~2社に候補を絞り込んでいると回答した購買関与者が〔主要材/不動産/機械〕で45.8%、〔飲食品/消耗品/備品〕で39.5%、〔人材/データ/サービス〕で37.6%、〔ソフト/システム/インフラ〕で34.0%存在しました。

これらのスコアからして、一般的にB2B商材に関して言われていることでもありますが、やはり商談がスタートする時点で勝負がついている(大方の購買意思決定が終わっている)と考えられます。よって、商談に至るまでの検討プロセス(営業担当と接触する前)に購買関与者の考慮集合(購買検討の対象となる製品の集合)に入っておく必要がありますので、それまでの接点づくりが肝であると言えます。特に、有形でスイッチングコストが高い商材〔主要材/不動産/機械〕においては、約半数が営業担当とコンタクトをとる時点で取引先(候補)を1~2社に絞り込んでいることからその傾向が強いと考えられます。

●取引先(候補)の営業担当にコンタクトをとる時点で、どの程度取引先(候補)を絞り込んでいるか

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プライベートでのコンタクトポイントが、B2Bマーケティングのカギになる可能性も

2. 検討プロセスで見聞きしている情報源は、全ての商材セグメントで同じ傾向。ただしプライベートまで含めた情報源に着目すると特徴が顕著。

各商材の検討プロセスにて見聞きしている情報源に着目してみると、スコアに大小はあるものの全ての商材セグメントにおいて「既存の仕入れ取引先からの提案」「営業による説明・提案機会」「社内の上司や同僚からの紹介」「候補先企業のHP・オウンド」が上位に挙がっており、検討時にはすでに候補に挙がっている企業からの情報が重視されていることが分かります。

ただし、プライベートも含めて普段よく見聞きする情報源は、各セグメントで異なる傾向を示しています。〔食料品/消耗品/備品〕ではTV番組やCMのスコアが高く、無形商材〔ソフト/システム/インフラ〕と〔人材/データ/サービス〕ではインターネット上の総合ニュースキュレーションサイトの利用が高いことが分かります。前述の1.で示したように商材選定時にはすでに候補が数社に絞り込まれている可能性があることを踏まえると、購買関与者が日常的に利用しているコンタクトポイントを活用し、あらかじめ接点をつくることで、検討候補に入るようにすることが必要でしょう。

そして、戦略を立てる際に見落としがちなポイントがここにあります。戦略設計の際、ターゲットとなるペルソナ設計(どんな人か?)、そしてバイヤーズジャーニー設計(どういう購買プロセスを辿るのか?)を行うことは一般的ですが、注意しなければならないのは、ターゲットペルソナは「24時間ビジネスモードにあるわけではない」ということです。プライベートタイムの際にも自己啓発や趣味のためにさまざまな情報源に触れることは容易に想像できると思います。しかし、この視点が欠けていると必要不可欠なビジネスメディアや展示会といった情報源のアプローチに終始することが多くなるため、顕在的ニーズ(今日の顧客)を持っているターゲットリーチは可能ですが、潜在的ニーズ(明日の顧客)の掘り起しが漏れることになります。これが「リード数がこれ以上増えない」「自社サイトへのアクセスが増えない」という原因につながっています。ペルソナ設計の参考書はたくさんありますが、なぜビジネスとは直結しない「趣味」レベルまで設計するのか?その意味を捉えていただけますと幸いです。

●過去、商材を選定した際に見聞きした情報源

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●プライベートも含めて普段よく見聞きする情報源

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有形商材は「納期の速さ」、無形商材は「営業対応の良さ」を重視

3:取引先を選定する際の重視点は、有形商材では「納期の早さ」、無形商材では「営業対応の良さ」が上位に。全ての商材セグメントに共通して「価格の安さ」「製品・サービスの内容・品質」がランクイン。

商品・サービス選定において購買関与者が重視しているポイントは何でしょうか。全体値と商材セグメントの数値の差分を比較することで、商材セグメントごとの特徴を読み解いてみると、〔主要材/不動産/機械〕では「アフターサービスの良さ(8.1pt)」、〔飲食品/消耗品/備品〕では「購入のしやすさ・支払い方法(8.3pt)」がそれぞれ高く出ており、共通するところでは「納期の早さ」が重視されていると言えます。

一方で無形商材〔ソフト/システム/インフラ〕と〔人材/データ/サービス〕では「情報セキュリティが徹底されていること(8.8pt/5.2pt)」の差分が大きく、重視されていると考えられます。

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このように業種区分に応じて購買検討時の行動に違いが見られることが分かったため、それぞれの特性を踏まえたマーケティングが必要であると考えられます。今回ご紹介したのは調査結果の一部ですが、公開範囲外および個別商材の調査結果を活用した分析・考察も可能ですのでお問い合わせください。

また、他にも「B2Bマーケティング組織5世代モデル」をベースにした「B2Bマーケティング担当者の実態調査」を行っており、B2Bマーケティング改革に取り組む企業の中で成果を出している組織の傾向や、デマンドセンター・インサイドセールス組織の設置状況・成果などの実態を明らかにしている調査も行っておりますので、是非お気軽にお問い合せいただけますと幸いです。

5世代モデル
マーケティング組織5世代モデル®️ ※マーケティング組織5世代モデル®️は、株式会社Nexalの登録商標です。

【調査概要】
・タイトル  :
「B2B商材の購買意思決定に関する調査」
・調査手法  :インターネット調査
・調査時期  :2021年12月23~28日
・調査エリア :全国
・調査対象  :20〜69歳男女、経営者・役員、会社員
        45商材×100ss 合計4500ss
・調査主体  :電通B2Bイニシアティブ

 

<電通B2Bイニシアティブ> 
b2b電通B2Bイニシアティブは、B2Bビジネスにおける課題解決に特化した専門組織です。電通グループ9社(※2)のメンバーで構成されており、新規事業やサービスの開発、製造や物流のDX、マーケティングや営業活動支援、カスタマーサクセスの体制構築など、バリューチェーン全域を射程に統合的な視点からソリューションを提供いたします。

B2B統合ソリューション
https://www.d-sol.jp/solutions/b2bsolution

※2=株式会社電通グループ(電通イノベーションイニシアティブ)、株式会社電通、株式会社電通デジタル、株式会社電通ライブ、株式会社電通プロモーションプラス、株式会社電通コンサルティング、株式会社電通国際情報サービス(略称 ISID)、株式会社CARTA COMMUNICATIONS、株式会社ISIDビジネスコンサルティング(2022年10月時点)


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