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frogが手掛けるデザインとイノベーションの現在・未来No.37

未来のために、今こそ持続可能な製品デザインを

2023/06/02

この記事は、frogが運営するデザインジャーナル「Design Mind」に掲載されたコンテンツを、電通BXクリエーティブセンター、岡田憲明氏の監修でお届けします。

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<目次>
サステナブル・シンキングに基づくビジネスとは?

「再考:なぜ持続可能な製品デザインが今、必要とされているのか」から見る3つのポイント

持続可能な製品デザインの推進を考えているなら

気候変動に対する懸念は地球全体で高まっています。もし私たちが持続可能性を高める取り組みを推進していかなければ、この惑星で人類という種が存続することは難しくなっていくでしょう。

そこで、デザイン業界を含むあらゆる業界のプロジェクトにおいて、サステナブル・シンキングに基づくビジネス という考え方を取り入れることが切実に求められています。デザイナーは、消費者に高い価値を提供するためのデザインだけではなく、この地球がより健康的で公正で、住みやすい場所になるようなデザインをも考える必要があるということです。

サステナブル・シンキングに基づくビジネスとは?

具体的に言えば、修理可能な製品、環境に優しい原料を使った製品、社会における公平性を促進する方法で生産される製品をデザインするということです。これらのことを簡単に実現できると言う人は一人もいません。しかし、私たちが今、行動することが極めて重要であると認識し始めた人はどんどん増えています。そこで、持続可能性に向けた対策の一つは生産量を減らすことですが、それよりも“スマート”に解決する方策が、よりよいデザインを考えることなのです。

私はfrogの再生型デザイン担当副社長として、キャップジェミニ・リサーチ・インスティテュート(CRI)(※1)が作成した最近の調査リポート「再考:なぜ持続可能な製品デザインが今、必要とされているのか」 (Rethink: Why sustainable product design is the need of the hour)に著者の一人として参加しました。そして、キャップジェミニ・グループ内の複数の部門から集まった13人で、気候変動という非常事態が進行する中で、持続可能な製品デザインの必要性について活発に議論を行いました。

本リポートは、消費財メーカーや自動車メーカー、産業用機械製造業など、さまざまな業界の大手企業で製品デザインやエンジニアリングを担当するシニアエグゼクティブ900人を対象にアンケートを行い、そこから得られたデータと知見をまとめたものです。以下にその一部をご紹介しますので、ぜひ最後までお読みください。

※1=キャップジェミニ・リサーチ・インスティテュート(CRI)
英国、米国、シンガポール、インドに研究センターを持つ、トップクラスのグローバル・シンクタンク。ビジネスとテクノロジーに関する開発の調査を行い、実用的な洞察と分析を発信している。

「再考:なぜ持続可能な製品デザインが今、必要とされているのか」から見る3つのポイント

●持続可能な製品デザインは、これからのビジネスに必須の要素 
製品デザインの持続可能性を確保することは、環境にとって正しい選択であることに加え、ビジネスとしても正しい選択となります。なお、よく引用される統計によると、製品が環境に与える負荷の80%は、設計段階の意思決定に起因しているといわれています。

今回、調査対象の企業のうち、3分の2以上が、持続可能な製品デザインを行うことにより二酸化炭素排出量を削減できたと回答しています。

また、持続可能な製品デザインを優先することで、企業は持続可能性の目標達成に向けた取り組みを加速させることができるだけでなく、将来、サプライチェーン(※2)が受けるであろう衝撃に対するレジリエンス(回復力)を高めていくことができます。

※2 = サプライチェーン
素材・部品の調達、商品の製造、在庫管理、物流・流通、販売といった一連のプロセスのこと。
 


●持続可能性を製品デザインの中核に
持続可能な製品デザインが切実に求められているにもかかわらず、今回の調査で持続可能性が製品デザインの重要な要素だと回答した人はわずか22%でした。また、行動を起こすためには意識を持つことが重要ですが、デザイナーの多くは、製品が環境や社会に与える影響について限定的な理解しか有していませんでした。そして、製品デザインの一環として定期的な環境・社会影響評価を実施している企業は全体の4分の1程度でした。

さらに、持続可能な製品デザインを行うには、デザイナーがシステム思考(※3)やサーキュラーデザイン(※4)といった方向へとマインドセットし、製品の影響について総合的な観点から考えられるようにならなければなりません。しかし、これまで製品デザインにシステム思考を取り入れたことがあると回答した企業は12%だけでした。また、製品の持続可能性を向上させるために具体的な行動を起こしている企業もほんの一握りでした。

※3= システム思考
物事をシステムと捉え、さまざまな視点からアプローチすることで、本質的な解決に導く思考法のこと。
 
※4= サーキュラーデザイン
資源を使い捨てにせず、循環させることを前提とした、製品やサービスのデザイン。SDGsの目標の一つであるサーキュラーエコノミーを目指す上で欠かせない考え方。



●コストと素材調達の課題は克服できる 
一般的に、持続可能な製品デザインを進めるうえで、障害となるのはコストだと考えられています。しかし、今回の調査では、持続可能なデザイン戦略を採用したことによりコストが下がったと回答した人が23%、変わらなかったと回答した人は37%となっており、持続可能なデザインが必ずしもコスト増につながるわけではないということがわかりました。

一方で、コスト以外にも、企業が克服しなければならない課題が社内外に存在します。本調査によると、55%の企業が、持続可能な素材の調達の困難さが大きな課題であると回答しており、54%の企業が、特に製品の環境や社会への影響を正確に評価するためのデータが不足していると回答しています。また、企業には、システム思考やサーキュラーデザインといった、持続可能なデザインの基盤となるスキルセットの蓄積がないという現状も見えてきました。

持続可能な製品デザインの推進を考えているなら

よりよい地球環境を目指して積極的に活動するすべての人にとって、持続可能な製品デザインは人ごとでは済まされない、極めて重要なテーマです。今回の調査を通して、地球の未来に欠くことのできないデザインの核心的な側面について、同僚やキャップジェミニ・リサーチ・インスティテュートと協働する機会を持てたことに感謝します。

企業のワークフローに組み込めるような持続可能な製品デザインを実践していくには、多くのハードルがあることは確かですが、そのゴールに向けてのステップは具体的で実行可能なものです。ぜひ、この調査リポートをダウンロードして、どのように持続可能な製品をデザインし、提供すればよいのか、より詳しい内容をご覧ください。

どのような業界であれ、より健康的で公正で、住みやすい地球環境を創造していくために、誰もがそれぞれの分野で役割を担い、行動することができます。私たちfrogとともに持続可能性を推進していきませんか。関心のある方はぜひお問い合わせください 。

この記事はウェブマガジン「AXIS」にも掲載されています。

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