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ウェルネス1万人調査からひもとく最新のヘルスケア・インサイトNo.1

「ウェルビーイング」な生活に必要なのは、健康?お金?仕事?

2023/06/21

近年、話題の「ウェルビーイング」(精神的・身体的・社会的すべてにおいて満たされていること)。

世界的に取り組みが推進されており、女性ファッション誌でも特集が組まれるなど、日本においてもよく見かけるキーワードとなりました。

そこで、生活者にその言葉や概念はどれだけ届いていて、どのくらい受け入れられているのか、電通ヘルスケアチームで毎年実施をしている大規模調査「ウェルネス1万人調査」を分析(調査概要はこちら)。2022年9月調査の検証結果を紹介します。

※ウェルネス1万人調査とは:生活者の健康意識と行動からヘルスケア・インサイトを把握し、生活者視点で見た市場ニーズ/トレンドを明らかすることを目的とした大規模定量調査。2007年に開始し、20~60代男女1万人を対象に毎年実施。
 
<目次>
想定よりも低かった!? ウェルビーイング(言葉)を認知・理解している人は2割程度!

働くママは、仕事にやりがいを感じれば幸せ度が上がる!?


想定よりも低かった!? ウェルビーイング(言葉)を認知・理解している人は2割程度!

「ウェルビーイング」という言葉自体の浸透度はどの程度か質問してみたところ、言葉を聞いて内容まで理解できる人は4.6%にとどまりました。見聞きしたことがある程度の人を合わせても20.8%です。

ウェルビーイングの認知・理解度

男女ともに、他の年代よりも20代の認知・理解度が高いですが、それでも3割に届きません。ヘルスケアマーケットでは、近年頻発するテーマ・ワードであったため、ヘルスケアビジネスに関わる人にとっては思ったよりも低い結果だったかもしれません。

一方で、「ウェルビーイング」という言葉だけではなく、「精神的な満足感・幸福感を保つための生活を大事にしたい」というウェルビーイングの“概念”の一部をひもといて示し、自分の考えがどの程度当てはまるか聞いたところ、全体の19.8%が「非常にあてはまる」、39.4%が「ややあてはまる」と答えました。言葉の認知度に比べると、概念への共感度はかなり高いと言えそうです。性・年代別の傾向は言葉の認知度とは逆で、年代の高い60代において最も共感度が高くなりました。

「精神的な満足感・幸福感を保つための生活を大事にしたい」への共感・意向度


働くママは、仕事にやりがいを感じれば幸せ度が上がる!?

では、その「幸福感」はどのような要素があれば上がるのか?この調査では、直近1年の「幸せ度」を100点満点で自己採点してもらっているのですが、その点数アップに必要な要因を聞いてみました。

全体では「からだの状態が良好・不調がない」つまり、「からだの健康」が46.9%と最多で、次に、安定的な収入(43.8%)、収入の増加(42.5%)、こころの健康(41.3%)と続きます。

健康や収入面が上位にくるだろうとは予想していましたが、同じく、生活に占める割合が多くならざるをえない仕事関連は予想よりもスコアが低く、仕事のやりがい・充実感は18.6%、仕事の成果は6.8%にとどまりました。人生の充実度・幸せ実感を高めるために、仕事よりも重要なことが増えている実態が浮き彫りになりました。

幸せ度を上げるために必要な要因

上記のスコアは、現在は働いていない学生やシニアも含まれるので、性・年代別にさらに細かく見てみると、仕事のやりがい・充実感で幸せ度が上がると答えたのは30代女性が最も高く、25.5%。同年代の30代男性(17.9%)と比べると7.6ptの差があることが分かりました。

仕事のやりがい・充実感を感じるを選択した人の構成

ライフステージ別に分析すると、育児をしながら働く女性(末子年齢が高校生まで+フルタイムで働く女性)では26.0%、妊娠中の女性では30.4%とさらに高い結果に。自分の生活において「仕事」の位置づけ“も”確立させなければならないという意識が特に高いと推察できます。女性の社会進出と生活のバランスが注目される現在の世相を示す結果になりました。

「仕事にやりがい・充実感を感じる」を選択した人の構成
※項目内に重複がある可能性があります 

人が何に幸せを感じるか、何に重きを置いて自分の理想の人生・生活を築き上げていくかは、コロナ禍を経てさらに多様化しているように感じます。今回は定量調査であるという特性上、性・年代やライフステージで比較することで傾向を見てみましたが、本来は個々人ごとに多様な幸せの要素があるはずです。

ヘルスケアマーケットで長く仕事をしていると、つい健康効果(血圧を正常に保つ、体型を整える、質の良い睡眠をとるなど)に着目しがちで、それ自体は「目的」ではなくウェルビーイングに生きるための「手段」なのだ、ということを忘れてしまう瞬間があります。健康行動を起こす目的である「ウェルビーイング」な状態自体が多様化していることも念頭に、さらに複雑化するヘルスケア領域のプランニングを攻略していく必要がありそうです。

※構成比(%)は小数点以下第2位で四捨五入しているため、合計しても必ずしも100%にならない場合があります。

【調査概要】
調査名:「第16回ウェルネス1万人調査2022」
実施時期:2022年9月
調査手法:インターネット調査
調査対象:全国20~60代の男女(10000サンプル)
調査会社:電通マクロミルインサイト

 

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