Dentsu Design TalkNo.20
電子書籍 『ソーシャルデザインの広め方』(1)
2014/03/07
株式会社ブックウォーカーが展開するコンパクトな電子書籍専用レーベル【カドカワ・ミニッツブック】か ら、「DENTSU DESIGN TALK」シリーズの第三弾が配信されました。
第三弾は、HAKUHODO DESIGNを設立した永井一史さん、ADKを経て福島デザインを設立した福島治さん、電通ソーシャル・デザイン・エンジンの並河進さんによる『ソーシャ ルデザインの広め方』です。社会との関係を模索し、ユニセフ「祈りのツリープロジェクト」でつながった3人のトークを少しずつご紹介致します。
<ユニセフ「祈りのツリープロジェクト」ができるまで>
並河:2011年3月11日の後、たしか4月に入って福島さんから連絡をいただいてスタートしたのが、「祈りのツリープロジェクト」でした。福島さんにはそれ以前から連絡をいただいていたんですが、永井さんとはこれが初めての出会いで、電通と博報堂という普段一緒に仕事することは、まずありえないところで、いろんなプロジェクトに発展しました。
このプロジェクトを考えついた福島さんから、改めて最初の想いをお聞かせください。
福島:私たちは、普段広告を中心として、いろんな人にものを伝える仕事をしていますが、震災が起きた時に、そうした力を使って何か大きな支援活動ができなかったら、広告業界って超カッコ悪い業界になるって思ったんですね。ただし、自分たちだけで行なうのではなく、みんなが力を合わせていっしょになることで成立するプロジェクトができたらいいなあと思っていたんです。
でも私はまったく経験がなかったので、最初に書いた企画書がものすごく乱暴で「とにかく5億1万円のおもちゃ券をプレゼントできますと。すると、永井さんに「ちょっと待って、違うんじゃないの?」と言われて、そこからプロジェクトの企画が始まったんです。
並河:そうでしたね。最初に福島さんの想いがあって、「デザイナーがサンタクロースになろう」と仰っていたんですけど、そこに永井さんが「祈りのツリープロジェクト」をオーナメント(記念品)でやったらどうかという提案をされたんです。
僕はそのとき、永井さんがデザイナーの方たちのモチベーションのこともすごく考えられているなと思いました。オーナメントが遠くに届けられることももちろん考えられているのですが、同じものが銀座でも飾られることで、みんなの気持ちを更に高めていくという設計になっていて、すごく感心したんです。
永井:福島さんは、プレゼントする寄付をどうやって集めるかということを主に考えていたと思うんです。もちろんお金を集めることも大事だけど、特にデザイナーの人たち中心のプロジェクトにするという前提で、多くの人が参加でき、デザイナーが自分の持つ力を復興支援にどうつなげるかを考えたときに、僕は、「気持ちをオーナメントのデザインに託して被災地に届ける」ということが一番真ん中にあるのが良いと思いました。そのオーナメントが無数についた大きなツリーを被災地に立てたい。それが最初に思ったイメージでした。
オークションでチャリティーもやったので、当然お金もついてきますが、お金が真ん中じゃなくて、やっぱり我々が信じているのはクリエイティブの力じゃないかなと。
そのアイデアを考えた後、さらに、こういう時ってどうしても想いが先に立つんだけども、このプロジェクトは多くの人が関わるので、デザイナーがどういう気持ちで参加するか、協力してくれる人たちがどのような気持ちで参画できるか、このプロジェクトをどう組み立てればちゃんと動いていくかまで考えてオーガナイズしないと、想いだけはあるけど広がらなくなってしまう。そう考えたんです。
(つづく)
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