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未来づくりは未来の意思を可視化するところから始まるNo.4

自らの手で画期的なアイデアを生み出す方法

2024/04/16

専門家の協力を得て生み出すアイデアは、自分たちにはない発想を含め幅広く考えることができる、という意味で有効ですが、一方で、
「気軽に発想できない」
「推進者が発案者の意図をくみづらい」
といった課題も抱えています。

今回は自分たちで発想を行い、なおかつ考えを広げる方法とそのサポートツール「K-Matrixアプリ」を紹介します。また実際にそれを使用し、新たな商品やサービスのアイデア抽出を行ったクライアントにインタビューも実施しました。

<目次>
アイデア発想アプリ「K-Matrix」とは?

実際に活用した「リンテック」では、450個を超えるアイデアが!

アイデア発想アプリ「K-Matrix」とは?

アイデア発想を行う難しさとして、

  •  既存の枠にとらわれてしまう
  • 実現性を考えてしまい、ありきたりなものに落ち着いてしまう
  • アイデアは良いが、周りを説得できない

といったことが挙げられます。

発想というのは、無の状態から突然生じるものではなく、何らかの組み合わせによって生まれるものだといわれています。2つの異なる要素を組み合わせ、強制的に新しい発想をするのがK-Matrixというアプリです。

アプリでは異なる2つのコンテンツ、下記例では「未来のくらし」と「生活者ニーズ」が表示されます。横にスライドすると他の「未来のくらし」や「生活者ニーズ」も確認できます。そこからランダムに抽出した組み合わせでアイデアを発想します。 

アプリ画面1

また、大量のアイデアの中から本当に価値があるアイデアを選ぶことは、発案すること以上に困難です。本アプリではアンケート形式の評価機能を有しているため、発想されたアイデアを、新奇性、魅力度で評価でき、結果を自動で集計することができます。

アプリ画面2
アイデア評価画面で評価入力欄をクリックすることで魅力度5段階、新奇性3段階の評価が可能

例えば、以下の組み合わせでは 、どんなことが考えられるでしょうか。

未来カード
ニーズカード


一人で暮らす高齢者が、健康を保ちたいと考えている。そのときに必要とされる「価値」とその実現のための「手段」にはどんなものがあるでしょうか。

例えば下記のような価値と手段が考えられます。

価値:「ただ生活をしているだけで、健康を保つことができる」
(高齢者は普段よくテレビをみていることから)
→手段:体調を把握し、体調不良のときは通報してくれるテレビ

もしくは、価値が同じで手段が違うアイデアも考えられます。

価値:「ただ生活をしているだけで、健康を保つことができる」
(本人は何も意識せずにできるものがあると良い)
→手段:着ているだけで血圧を下げてくれるシャツ

同じカードから違う価値のアイデアも出てくるでしょう。

価値:「孤独を感じずに体調を保てる」
→手段:運動したい人のコミュニティを近隣の地域で検索するシステム

など、さまざまなアイデアを発想することができます。

このように頭の中を整理しながら、必要な要素を組み合わせて思考することで、これまでにない新たな発想が期待できます。この発想法をいつでも簡単に活用できるようにつくられたのがK-Matrixアプリです。

実際に活用した「リンテック」では、450個を超えるアイデアが!

リンテック様
リンテック 研究所 イノベーション推進部長 小野 義友氏(右)、電通総研 村山 誠哉氏

リンテックは粘着製品分野におけるリーディングカンパニーです。シール・ラベル用の粘着紙・粘着フィルムをはじめ、ガラス飛散防止対策フィルムなど幅広い製品の開発、製造を行っています。リンテック 研究所 イノベーション推進部長 小野 義友氏に実際にK-Matrixアプリを活用した感想を伺いました。

(以下、敬称略)
 

村山:リンテックの研究所は継続的にイノベーションを起こしていくために、さまざまな方法を活用してアイデア出しを実施されてきたと思いますが、今回、K-Matrixアプリを活用していかがでしたか?

小野:当初はここまで多くのアイデアが出せるとは思っていませんでした。研究所の業務では日々新しいアイデアを出すことが求められていますが、研究員たちはアイデアをひねり出すのに苦労していましたので。

小野様
小野 義友氏 リンテック株式会社  研究所 イノベーション推進部長
入社から汎用粘着製品、工業用粘着製品(自動車、建装材用途)の研究開発を経て、コーポレート研究の研究室長の時に、電通総研(当時ITID)と進めた“新価値創造プロジェクト”のリーダーを経験した。現在は2年前に設立した組織で新事業創出・DX推進・AI活用に関する取り組みに従事。

村山:普段アイデア出しをしようとすると、いろいろな要素を考えてしまい、結果として良いアイデアが上がってこないことは、どの企業でも課題に感じているようです。その点、K-Matrixアプリは、思考をシンプルにするために2つの要素に絞って発想ができるため、より多くのアイデアを出せるという特徴があります。

小野:今回、リンテックのアイデア発想会では450個を超えるアイデアが出ました。これだけ多く出ると、どれを優先的に検討するか非常に悩ましいところです。

村山:そうですね。アイデアの評価もまた難しい問題ですね。このK-Matrixアプリは、アイデア評価もアプリ内で完結できます。実際に評価結果をご覧になり「これは製品化できそう」というアイデアはありましたか?

小野:はい。これは次の製品化のタネになるなと思えるものがいくつかありました。今後はこれらを実現するための技術的方法を肉付けして製品化に持っていきたいと思っています。

村山:それは良かったです。今後も継続的に研究員の皆様が手軽に発想して、どんどん製品化できるアイデアが出せると良いですね。その点では、このK-Matrixアプリはさらなるアイデアを生むためのデータベースとしても活用していただけます。単にアイデアをためるだけではなく、例えば、自社技術の棚卸し結果や未来予測の結果など、次のアイデアを生むための要素も蓄えることができます。日々活用していただければと思います。

村山氏

小野:研究員はさまざまなアイデアを日々出し続ける必要があります。そういう意味では研究員の教育にもなると思います。

村山:なるほど。教育的観点でも役に立つということですね。本日は貴重なお時間をいただきありがとうございました。

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