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【続】ろーかる・ぐるぐるNo.189

パーパスは、「仮説」でしかない

2024/06/19

続ろーかるぐるぐる#189_書影1

書籍「アイデンティティのつくり方」(クロスメディア・パブリッシング(インプレス)刊)が面白すぎたので、急遽、著者である森山博暢さんと各務太郎さんに電通の山田壮夫がお話を伺いました。お二人の取り組みには、ビジネスの通説を覆す、大きな発見がありました。

続ろーかるぐるぐる#189_メインカット
写真左より、各務太郎さん、森山博暢さん、山田壮夫
<目次>

アイデンティティ・アカデミーができるまで

「アイデンティティ」とは、仮説でしかない

「アイデンティティ」を実践で鍛える道場

「アイデンティティ」を育む対話のコミュニティ

組織の「アイデンティティ」を考えてみる

アイデンティティ・アカデミーの未来

 

アイデンティティ・アカデミーができるまで

山田:電通の仲間でもあった各務さんが金融のプロと一緒に「アイデンティティのつくり方」という本を書きましたよ、と伺って。

「アイデンティティ……」また、新しいバズワードの誕生ですか、と……
「つくり方……」この5ステップを踏めば大丈夫、みたいなノウハウ本ですか、と……
率直なところ、いささか憂鬱な気持ちで読み始めたんです(笑)。

そして幸いなことに、すぐにそれがいらぬ心配だったことに気がつきました。いやはや、とても面白く読んだのですが、この本のお話を聞く前に、お二人が運営されている、金融のリスクマネジメント思考をベースにした“意思決定をデザインする”プロジェクト「アイデンティティ・アカデミー」について教えていただけますか?

森山:わたしは前職がゴールドマン・サックスで、 21 年ぐらいトレーディングに従事しておりました。端的に言うと、ずっと“檻”の中で売ったり買ったりしてお金を稼ぐというお仕事でして、楽しくもあり、満足はしていたのですが……

そのお付き合いの中で、20 代くらいの起業家をたくさん見ました。「起業家に“就職”しました」といった“ファッション起業”のようなものは、まぁ、すぐに倒れちゃうんです。そこで「そうか、彼らは意思決定のトレーニングを受ける機会がないから、こうなるのも当たり前だ」と気がつきました。

続ろーかるぐるぐる#189_森山氏

森山:わたしの専門は、“わからない未来”に対して仮説をたくさん立てながら、客観的な分析を重ねていく「シナリオ分析」のような「意思決定」の理論なのですが、彼らはその能力がそもそも弱い。それを大学生に体系立てて教えようと思って始めたのが「アイデンティティ・アカデミー」でした。

山田:そこに、電通のコピーライターを経験してからハーバードの大学院で建築を学び直し、すでに起業もしていた各務さんが合流したのですね。全然バックボーンの違うお二人が、どうして一緒になったのでしょう?

各務:合流は2020年10月だったと思いますが、簡単に言えばわたし自身が「アイデンティティを失っていた」という状況が大きいですね(笑)。

当時、人形町に「泊まれる茶室」というコンセプトのホテルを建設して、意気揚々としていたのですが、1年でコロナ禍に見舞われて。本当に迷いに迷っていた時に、森山さんからアイデンティティ・アカデミーのお話を聞きました。そしてそれが自分自身を振り返るきっかけになったのです。

わたしがラッキーだったのは、ずっとレム・コールハースっていう、オランダ出身の文章を書く建築家が大好きだったことです。「あの人の人生って、やっぱカッケェ」みたいな感覚があるから、建築に軸足を置こうとか、それと同時に電通でコピーライターの修業をしようという“仮説”が生まれたんです。

ところが学生と話していると、そんな憧れの人がいること自体が、実は結構珍しいらしくて。みんな「いったん、コンサルにいった方がいいですかね?」「次って、やっぱりビットコインですか?」みたいな、人から聞いた話がすべての物差しになっている。

まず自分の頭で考えるということを、東大生ですら放棄しているケースもあって。この「自分の主観から仮説を立てる」って能力を鍛える際には、わたしが専門としているデザイン思考とかクリエイティブのアプローチが使えるなと思い、森山さんと意気投合していきました。

山田:「仮説に基づく意思決定のトレーニングをする場」という感じでしょうか。それが「アイデンティティ・アカデミー」という名前になったのは、各務さんのコピーワークですか?

各務:いえ、森山さんが最初から「やっぱりアイデンティティなんだよなぁ」っておっしゃっていて。

森山:最初に作った会社概要にも「人は何のために生きてんだって言ったら、アイデンティティのために生きてんだよ」といったことを書いていました。

山田:最初から「アイデンティティ」がキーワードだったんですね、そこが面白いなぁ。

「アイデンティティ」とは、仮説でしかない

山田:ところで、アカデミーでは「アイデンティティ」をどのように定義しているのですか?

森山:アイデンティティとは「胸を張って自分がやっていること、もしくはなろうとしている姿」だと定義しています。そしてそれは「常識や固定観念という殻を破り、自分にとって望ましい未来へ向かうための、意思決定の連続の産物」です。

日本だと「ゴールドマン・サックスのマネージングディレクターです」といった“肩書”がアイデンティティだと誤解されていますが、そうなると、肩書から離れて成長することなんてできなくなってしまいます。

わたしは、アイデンティティとは、もっと主観的な思いの入った「ご立派でないもの」だと考えています。たとえばテレビを見ていると「この人の生き方、ステキだな」って、すごく「ジェラシー」を感じる瞬間がある。このジェラシーの裏にあるのが、アイデンティティです。なぜなら、ジェラシーというのは、まさに自分で価値判断した結果だから。そんなふうにアイデンティティは、必ずしも他人さまに披露するための立派な文言である必要などないんです。

続ろーかるぐるぐる#189_各務氏

各務:そのジェラシーが出発点だとすると、次に来るのは「やり始めないと、アイデンティティに気づけない」というステップです。

わたしは先ほどお話ししたように「文章を書く建築家」レム・コールハースが好きで。だから、大学で建築を勉強した後、通常はみんなそのまま大学院に行くところを、一回「コピーを書く建築家」になれれば独自の世界が見えてくるのではないかという「仮説」を立てたんです。

そして電通に入って、クリエイティブに配属され、コピーを書き始めて。でも最初はその道を選んでよかったのか、全然わかりませんでした。それが少しずつまわりから褒められたりするうちに、初めて「これがやりたいのかな?」という仮説で始めたものが、実際の「やりたいこと」に変わったんです。

だから学生には「マジで、スモールスタートしてくれ」って言っています。やりたいことは、一度やり始めないとわからないんです。

山田:「やりたいことは、やり始めないとわからない」か。いいなぁ。このタイトルで、もう一冊書けそうですね(笑)。

一般に「アイデンティティ」といえば「確立」するもので、それは立派であるべきで、絶対ブレてはならない「正しい軸」のように考えられていますよね。けれども、アイデンティティは主観も交えた「仮説」に過ぎないし、その「仮説」を「実践」することでしか手に入れることができないということですね。

続ろーかるぐるぐる#189_図版
将来のゴールは何度でも変えていい。(出典:書籍「アイデンティティのつくり方」より抜粋)

「アイデンティティ」を実践で鍛える道場

山田:そんなアイデンティティのつくり方を、お二人のアカデミーではどうやって教えているのでしょうか?

森山:わたしたちはこのプロジェクトで、要は、“実戦で役立つ人間”を育てたいのです。

ただ、実戦・公式戦の前には練習試合があって、その前にはストレッチとか運動とか基礎練がありますよね。そうすると「座学」はたぶん基礎練とかストレッチなのですが、日本の若者はそこからほとんど練習試合がなくて公式戦に入ります。だから初戦敗退は当たり前なんですけど、これがわりとメンタルに影響を与えちゃうんです。だから彼らに実戦・公式戦の前に練習試合をする「道場」を提供しているイメージです。

数々の意思決定を経験した講師が見守る中、学生はガチンコで何百万円かを渡されて「運用しろ」といわれたり、過去のケースではなく、今の企業課題を考えさせられたりします。

そうすると、当初は学生もそれぞれの専攻とか得意分野をよりどころに意思決定をしようとするのですが、そんな時は、例えば「文系の人は一回算数をやってみよう。きっと今まで気づかなかった面白い部分が見つかるよ。算数ばっかりやってる人は歴史とか見てみよう。そうすると、きっとそこもつながってくるよ」なんて刺激を与えます。

その上でチーム作業を進めていると、だんだん化学反応が起きてきて。
「徹底的な数学的アプローチでは彼にかなわないけど、こうやったら勝てるかな?」
「彼女のやり方に、私の得意分野を混ぜるとどうなるかな?」

意思決定という「総合格闘技」に勝ち抜く方法は、Aさん、Bさん、Cさん、それぞれに違って当然なのですが、「道場」の練習試合で勝つために必死に戦っていくプロセスを通じて、学生自らが自分らしい意思決定の方法を学び取っていく感じです。そしてそれを繰り返していくうちに、自分らしい「アイデンティティ」が手に入るというイメージです。

山田:今聞いていて思い出したのは、世界的経営学者の野中郁次郎先生がお話しになったことです。

先生によると、ギリシャの哲学者アリストテレスは知識を3つに分類したそうです。ひとつは「エピステーメー」、これは客観的で普遍的な真理といった知識を指します。もうひとつは「テクネー」。これは実用的なスキルを応用して何かを生み出すノウハウです。しかしその2つだけでは不十分で、最後に登場するのが「フロネシス」。これは「いま、ここ」で最善の判断をする知恵です。そしてフロネシスは、実践の中でしか得られないために「実践知」とも呼ばれているそうです。

アイデンティティ・アカデミーは、森山さんと各務さんが用意した道場の「実践」を通じて、「いま、ここ」で最善の判断をする知恵「フロネシス」をトレーニングしているのだと理解しました。いわば、「フロネシスの道場」ですね。

しかもそのフロネシスは、西洋哲学がその存在を長年忘れていた概念だといいます。つまり、とてつもなく大切なのに、手つかずの領域。お二人が挑んでいるのは、それほどに大きなテーマなんですね。

正直、トレーディングをはじめとする金融の世界は高等数学をつかって冷徹に、機械的に、ひたすら客観的な判断を繰り返す職業だと思っていました(笑)。そこに主観とか価値観とかが大きくかかわっているということ自体、大きな驚きです。

森山:みんなが思っているほど、トレーディングとかリスクマネジメントってお金もうけじゃなくて、もっと汎用性が高い思考回路だと信じているので、それを教えています。しかしそれがアリストテレスの「フロネシス」だとは、思いもしませんでした。野中先生の本、すぐに読みます(笑)。

各務:わたしも含めて講師陣が1円も謝礼を受け取っていないのは、たぶんアイデンティティ・アカデミーが持っている本質に、大きな志があるからだと思います。学生も講師陣も、このコミュニティに属していること自体を幸せだと思える何かが、このアカデミーにはあります。

「アイデンティティ」を育む対話のコミュニティ

山田:今のお話を聞くと、もう少し突っ込んで知りたくなるのは、アカデミーの運営方法です。参加する学生さんの間に化学反応を起こすためには、どのような工夫がありますか?

各務:わたしが必ず毎期毎期、アカデミーの冒頭に伝えるのは「アイデアを出したやつ自体には、別にマジで価値がない」ってことです。なぜならゴールは最高の結果を残すことであり、そのためにはチームとしてどこまで進めるかが大きなカギになるから。「誰がいちばん頭がいいか」で小競り合いをしている暇はないんです。

森山:昔、本当に能力が高くて自己主張が強いメンバーばっかりを選んだことがあったのですが、それをたとえば5人のグループにすると全く融合しなくて、けんかが起こっちゃう。時間制限があるので誰か一人の案が取り入れられるんですけど、残りのメンバーはふてくされて参加しない(笑)。

それではいけないと属性診断テストのようなものを行って、相性を見ながら5人 選ぶと比較的面白くなるんです。当然、失敗する時もあるけど。

各務:アイデアって集団から出ることはなくて、必ず誰か 1 人の脳がスタートになります。それに他のメンバーが嫉妬しつつも、「なんか、信じられるわ」と思えると、 5 人の「ミニ宗教」みたいなものができていきます。そういった一体感のあるグループができると、本当に強いです。

山田:またまた野中先生の話で恐縮ですが、常識を覆すような新しい視点は客観的にみんなが賛成するところからは生まれるはずがなくて、そのスタートは必ず一人称の「主観」です。それが、売れるか、勝てるか、儲かるかといったような第三者的な分析にも耐えうる三人称の「客観」に昇華するためには、必ず二人称の「共感」を経なければならない、というお話があります。

「共感」とは、まさに徹底的な「対話」の賜物(たまもの)。そしてその対話に欠かせないのは、相手に「棲み込む(Indwelling )」状態だそうです。そこには自他の違いも時間の流れすらもなく、あるのはただ「いま、ここ」の真剣勝負。アカデミーでは、道場の中でこの「共感」を生む「対話」を徹底的に積み重ねることによって、その人ならではのアイデンティティを見つけていこうということなんですね。

各務:アカデミーに参加している学生から「結局、ここでやっているのは『自他不二(じたふに)』※。つまり仏教ですよね」と言われたことがあります。

山田:すごいな。どれだけ優秀な学生さんを集めているんですか!!(笑)。アイデンティティとは立派な「正しい軸」などではなく、「仮説」に過ぎないし、それは「実践」の中でしか手に入れることができないことがよくわかりました。

※自他不二 = 自分と他人は別人ではありながらも、基本的に切り離すことはできないという考え方を表す仏教の言葉。

 

続ろーかるぐるぐる#189_山田氏

組織の「アイデンティティ」を考えてみる

山田:その上で質問です。この本の中でも個人の「アイデンティティ」は組織の「パーパス」と同じだとされています。ところが実際に各企業のパーパスを見てみると、誰からも批判されることのないご立派な「正論」が、日々の実践から切り離された会議室で論じられ、しかもそれを未来永劫変わることのない「正しい軸」であるかのごとく設定されているケースが多いように思われます。

「パーパスは、仮説でしかない」という今までのご指摘から乖離(かいり)したこの現実を、どのようにご覧になりますか?

森山:そうなってしまっている事情はよくわかるんです。ここ十数年の間、資本市場において株価を維持するために、すごい勢いで「グローバルスタンダード」的な「正しい経営」が求められてきました。そういった環境の中でいろいろな言葉遊びをしながら、内心「あれ?こんな正論では、わが社の強みは表せないぞ」と悩んでいる経営者も多いのかもしれません。

繰り返しになりますが、個人も組織も、本来そのアイデンティティは他人さまに披露するための、立派な文言である必要はないのです。

各務:森山さんと話をしていて「そうだよなぁ」と思ったことがあります。
SDGsにせよ、ダイバーシティにせよ、あるいは自社のパーパスを明確にすることにせよ、本来は自社のパフォーマンスを上げるっていう目的があって、その手段として必要だと思われたから採用されているはずなんです。

ところが多くの組織では、それらを「究極の目的」にしようとしている気がします。そうすると、当然無理が生じてしまう。社会と価値を共にするから永続的に収益が出せるわけで、収益が出ること自体を恥じる必要などないはずなのに。

山田:組織が持続的に利潤を追求するために日々重ねていく、「いま、ここ」の厳しい意思決定の向こうにこそ、真の「その組織らしさ」「アイデンティティ」「パーパス」が見えてくるということですね。

絶対ブレてはならない「正しい軸」として設定されたパーパスがなかなか組織に浸透しない理由は、それが日々の実践の中で検証に値する「仮説」になっていないから、ということなのでしょう。

アイデンティティ・アカデミーの未来

山田:さて、お二人はこの「フロネシスの道場」とも言うべき「アイデンティティ・アカデミー」をこれからどのように育てていくおつもりですか?

各務:わたしは、「アイデンティティ」に最終的な答えなどないと思っています。
建築の世界でいえば、若手も巨匠も同じように、それぞれの道で試行錯誤を繰り返しています。「鉄の建築だ!」と発想したら、すでにリチャード・マイヤーがやっている。コンクリートだとル・コルビュジエだ、竹を使ったら隈研吾さん だという厳しい世界で、どうやって自己マッピングをするかという挑戦です。

それは常に相対なので、絶対的な正解などない終わりのない旅路です。だからこそアイデンティティ・アカデミーを、そんな時に助けとなる「良質なコミュニティ」に育てていきたいです。

森山:各務さんの言う通り、ずっと続く視座の高いコミュニティづくりっていうのが究極なんですけど、そういうとなんか怪しい宗教団体になっちゃうんで(笑)。今日みたいにお話しすると、すげえ楽しいんですけど、わたしには「じゃあ、お前のアカデミーって何を生み出すんだ?」というアウトプットを見える化する大きな責任があります。

まずひとつは、今各務さんが話した「良質なコミュニティ」です。もうひとつは、参加してくれた学生さんがこれをきっかけに急に  留学するとか、就職先を変えるとか、環境がバーンって変わる事例の積み重ねも大切。
そして3つ目が、アカデミーで実践力を身に付けた人が、何か明確なアウトプットを社会に送り出すこと。これが最後のフェーズで、いちばん大切だと考えています。

各務:松下村塾みたいな。

森山:そうそう。そこで成功した結果がまたアカデミーに還元されて、授業料から何からすべてが支えられるようなエコシステムができたらな、と。
そこを本気で目指して頑張っています。

山田:なんて刺激的なお話だろう。お世辞抜きで「アイデンティティ・アカデミー」には日本の将来、地球の未来が掛かっています。

ワクワクドキドキ興奮していたら…なんか腹が減ってきました。昼飯に、旨い洋食でもいかがですか?

続ろーかるぐるぐる#189_料理写真

築地の洋食で三人、腹を満たして解散。まだ興奮冷めやらぬ脳みそを日比谷線に揺られながら整理しました。

いちばんの驚きは、「トレーディングの世界では、自分らしさが求められる」ということ。正直、高等数学を駆使しているというだけで、金融界は世の中で最も「冷徹」で「機械的」だと思い込んでいました。トレーダーひとりひとりの厳しい意思決定の裏には、確固たる「その人らしさ」(アイデンティティ)があるという事実が、新鮮でした。

そんな背景を持つ「アイデンティティ・アカデミー」で行われている教育プログラムは、ひとつひとつが合点のいくものでした。「アイデンティティ」は、「いま、ここ」の意思決定(実践)を積み重ねて初めて見えてくる「仮説」だということ。

そしてそれを育むには、良質で多様なバックボーンを持つコミュニティにおける真剣な「対話」が欠かせないこと。なるほど、ある「若者」という個人が「アイデンティティ」を手にするプロセスとは、確かにそういうものだろうな、と実感できました。

一方で。

組織と個人でやるべきことは変わらないはずなのに。つまり、組織にとっての「パーパス」だって「仮説」に過ぎないはずなのに、どうもおかしなことになっちゃっている現実が生々しく浮かび上がりました。森山さんがご指摘のように「グローバルスタンダード」の圧力などもあるのでしょうが、日本企業が再び活力を取り戻すためには、多くの組織に潜む「ご立派な正論」の罠を抜け出さなければならないのだと痛感しました。

時間の都合でアカデミーのお話が中心になってしまいましたが、書籍「アイデンティティのつくり方」には、そのエッセンスが存分に詰め込まれています。そこには世の中一般に信じられている「通説」を覆し、個人はもちろん、成長を求めるあらゆる組織にとって大きなヒントとなる、味わい深い本質があります。

どうぞ、召し上がれ!

続ろーかるぐるぐる#189_書影2

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【「Indwelling Creators」に関するお問い合わせ】
opeq78@dentsu.co.jp 担当:山田
続ろーかるぐるぐる#189_ロゴ

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