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OODA式すごいブランディングNo.4

計画的偶発性理論〜18歳の少女がnon-noモデルになった

2024/07/18

佐藤和奏

変化の激しい現代のビジネス課題を解決に導く「意思決定モデル」として注目を集めている「OODA」(ウーダ)。ビジネスにおける組織づくりや経営戦略はもちろん、ブランディングやマーケティングにも効果を発揮します。

OODAの魅力を多角的にお伝えしていく本連載。今回ゲストにご登場いただくのは、non-no専属モデルの佐藤和奏さん。モデルやバラエティなど幅広く活躍する佐藤さんのこれまでの道のりには、変化への対応力や柔軟性、そしてリスクを恐れずにチャレンジする冒険心など、これからの時代を生き抜く上でのヒントが隠されているようです。

「OODA式リーダーシップ 世界が認めた最強ドクトリン」(秀和システム)を執筆したアーロン・ズー氏が解説します。

【OODAとは】

OODA

元アメリカ空軍大佐で戦闘機のパイロットだったジョン・ボイド氏が提唱した、意思決定や行動を起こすためのプロセス。観察(Observe)、判断(Orient)、決定(Decide)、行動(Act)の頭文字を取った言葉で、変化し続ける予測不能な状況に対して、常に最善手を打っていくことを目的とする。欧米の経営やマーケティングでは従来のPDCAだけでなく、OODAが必要不可欠な意思決定プロセスとして認知されている。(詳しくはこちら)。
 
 

 “熱意”と“トーク力”で勝負し、オーディション合格を勝ち取る

アーロン:和奏さんは「ワタナベ次世代オーディション2023」でフォトジェニック賞を受賞し、18歳で最年少のnon-no専属モデルに抜擢されました。現在はモデル業にとどまらず、バラエティ番組に出演されるなど幅広く活躍されています。そもそも、いつ頃から芸能界を目指していたのでしょうか?

佐藤和奏(以下、佐藤):私は大阪出身なのですが、小学1年生の頃からずっとチアダンスをやっていて、5年生の時に全国大会に出場するために東京に行ったんです。その時に竹下通りで芸能事務所の方々にスカウトされたことがきっかけで、芸能界を意識するようになりました。特に雑誌を読むのが好きだったので、いつかモデルになれたらいいなってぼんやりと考えていました。

その後、中学校を卒業するまでチアに専念していたのですが、高校進学と同時にチアを辞めると、他に打ち込むことがなくなってしまって。それで、昔から憧れがあったモデルを本気で目指そうと決意し、自分でいろんな事務所を調べた上でワタナベエンターテインメントのスクールに入りました。

アーロン:そうなんですね。大阪のスクールに通っていたんですか?

佐藤:いいえ、東京校です。大阪校も選べたのですが、どうせやるなら東京でチャレンジしたいと思ったんです。土曜の夜に夜行バスで東京に行き、日曜に1日レッスンを受けて、また夜行バスで大阪へ帰り、月曜の朝は近くの祖母の家でお風呂に入ってそのまま学校に行く。そんな生活を続けていました。

アーロン:すごいですね。辛くなかったんですか?

佐藤:高校生活の後半は毎週レッスンがあったので体力的にはしんどかったですけど、すごく充実していて楽しかったですよ。

佐藤和奏

アーロン:芸能界を目指すことを、親御さんは応援してくれましたか?

佐藤:そんなに甘い世界ではないですから、最初は「無理やろ」って言われていました。でも、いざ私がやると決めたら「やるなら本気でやりな。トップを目指してやるならいいよ」と応援してくれて。その言葉が支えとなってレッスンも頑張れましたし、「ワタナベ次世代オーディション」に参加した時も絶対に受かるんだっていう気持ちで臨めました。

アーロン:素晴らしいですね。「ワタナベ次世代オーディション」でのフォトジェニック賞受賞に続いて、non-no専属モデルに抜擢されたことも大きな転機だと思いますが、オーディションに受かるために取り組んだことはありますか?

佐藤:最初は書類審査があり、合格するとオーディションに進むのですが、日程が高校の卒業式と被ってしまったんです。でも、ここが人生を左右するタイミングだと思って、卒業式を休んでオーディションを受けました。

アーロン:なるほど、人生の勝負どころだと考えたわけですね。

佐藤:はい。卒業式を休んでまでオーディションに来ているのに面接で落とされるのは絶対にダメだと思い、non-noへの熱い思いを語り尽くしました(笑)。カメラテストの時もまわりの子に比べてポージングの経験が浅いことは分かっていたので、撮影中もずっとマシンガントークで自分の思いを熱弁していました。そのおかげか、私のキャラクターがより伝わったような気がします。

アーロン:すごい、自分の立ち位置を冷静に把握した上で、“熱意”や“トーク力”という強みを最大限に発揮することで競争優位性を作り出したのですね。オーディションに合格した時はどうでしたか?

佐藤:ある日、マネージャーさんから「契約書類に不備があるから印鑑を持ってきて」と言われて事務所に行くと、サプライズで合格発表をしてくれて。もう大号泣ですよ。滝のように涙が流れました(笑)。

アーロン・ズー

non-no専属モデルでありながら、バラエティにも積極的に挑戦

アーロン:「Rakuten GirlsAward 2024 SPRING/SUMMER」でnon-no新モデルとしてデビュー以降、雑誌やウェブなどで幅広く活躍されていますが、いま向き合っている課題はありますか?

佐藤:私、まばたきがめっちゃ多いんです。まわりの子たちはモデルやグラビアの経験が豊富なのでまばたきのタイミングも上手なんですけど、一緒に撮影すると私だけが“事故ってる”ことが多くて。いま必死に取り組んでいるのはまばたきの練習ですね。

佐藤和奏

アーロン:non-noは専属モデルが十数名いますが、その中で自分らしさを発揮するために心がけていることはありますか?

佐藤:まだまだ試行錯誤中ですが、撮影の合間にめっちゃ喋るようにしています。そうすると、いつもの自分でいられるので、撮影に入った時も私らしさを発揮できるのかなって思っています。

アーロン:やっぱり“トーク”が、和奏さんらしさなんですね。non-noだけでなく“モデル”という括りでもたくさんの人がいますが、その中でどんなポジションを目指していますか?

佐藤:私、もともとバラエティにすごく興味があったんです。おかげさまでバラエティのお仕事も少しずついただけるようになっているので、いまはバラエティで活躍できるモデルを目指したいなって思います。

アーロン:なるほど。確かにバラエティでガンガン話せる若手のモデルさんって、けっこう珍しいかもしれません。そこまで意識はしていないと思いますが、自然とブルーオーシャン(競争相手の少ない市場)を感じ取って行動しているのが面白いなと思って。しかも、non-noというモデル業界でトップクラスのブランドを、ご自身のユニークネスである“トーク”を発揮できるバラエティと組み合わせているところも秀逸です。

佐藤:いえいえ、まだ駆け出しの身ですし、バラエティで活躍されているモデルの先輩方もいらっしゃるので恐れ多いのですが、もっと勉強して実力をつけていきたいと思っています。

アーロン:前向きにチャレンジする姿勢がすてきですね。不安を感じることはあまりないですか?

佐藤:そうですね。もちろん、このままで大丈夫かなと不安になることはありますが、それはみんなも同じだと思うので。少なくともいまは前に進んでいる感覚があるので、あんまり考えすぎずに目の前にある一つ一つのことを全力でやるだけだと思っています。

佐藤和奏

佐藤和奏のマインドを「計画的偶発性理論」で読み解く

アーロン:ここまで話をお聞きして、和奏さんのマインドにはこれからの時代を生き抜く上でのヒントがたくさんあると感じました。それをOODA的に読み解くこともできるのですが、今回はOODAと共通点があるといわれる「計画的偶発性理論(Planned Happenstance Theory)」というキャリアを形成する上で、把握していくと良い理論を用いて解説したいと思います。

計画的偶発性理論とは簡単にいうと、個人のキャリア形成はある程度、偶然によって決まるということ。要するに、将来の目標や計画を細かく決めすぎると逆にチャンスを逃してしまう可能性があることから、大まかな方向性だけを決めてチャンスが生まれやすい環境に身を置いて物事に取り組み(=計画的)、偶然の出会いや予期せぬ出来事(=偶発性)からチャンスを掴もうという考え方なんです。

佐藤:あっ、確かに自分に当てはまるかも。

アーロン:そうですよね。和奏さんもモデルや芸能界という大きな方向性は決めていたけれど、最初からnon-noを目指していたわけではないと思います。そして、ワタナベエンターテインメントの東京のスクールという“チャンス”が生まれやすい場所に身を置いて努力を続けてきた。その結果、オーディションというチャンスに巡り合い、それを掴み取ることができたわけです。

佐藤:そうですね、当時はまさかnon-no専属モデルになれるとは思っていませんでした。

アーロン:ただし、計画的偶発性理論を発揮するためには「好奇心(Curiosity)」「持続性(Persistence)」「楽観性(Optimism)」「柔軟性(Flexibility)」、さらには「冒険心(Risk Taking)」の5つの要素を常に意識する必要があります。これらの要素は自分が計画したキャリアなどに近づけてくれます。

佐藤:ほほう…。

アーロン:そして、ここからは私個人の考えにはなりますが、この5つ要素の1つである「冒険心(Risk Taking)」は他の4つの要素に共通するものと思っています。つまり、「好奇心(Curiosity)」「持続性(Persistence)」「楽観性(Optimism)」「柔軟性(Flexibility)」は、OODAのそれぞれのフェーズに当てはまっていて、和奏さんのマインドや行動には、この5つの要素が当てはまるわけです。

佐藤:な、なるほど…。

アーロン:いろんな事務所を調べた上で自分の目指すビジョンに近い事務所を選ぶことや、まわりを観察して自分の強みを考えることは、まず大前提として「好奇心」がないとできません。次に、チアダンスもそうですが、必要だと判断したら東京のスクールに通い続けることができる「持続性」、あまり考えすぎずに前向きに物事を決められる「楽観性」、一つの考えに固執せず状況に合わせて決めたことを行動できる「柔軟性」。そして、卒業式を欠席してオーディションを受けるなど、「冒険心」があることは言わずもがなですよね。

これらの要素はOODA=「観察(Observe)」「判断(Orient)」「決定(Decide)」「行動(Act)」と共通点があり、変化の激しいこれからの時代に必要な考え方だといえます。和奏さんがnon-no専属モデルという大きな成果を勝ち取り、ご活躍されている理由はそこにあるのではないかと思うんです。

OODA

佐藤:なんだか、すごくうれしいです。私、自分に才能があるとは全く思っていなくて。昔から勉強が苦手ですし、チアも副キャプテンなのに選抜から落ちてしまうこともありました。ただ、毎日朝から夜遅くまで学校に籠って勉強したり、チアの練習も毎日コツコツやり続けるなど、努力し続けることだけはずっとやってきたんです。そうやって行動してきた過去があるから、今の自分につながっているんだと認めてもらえた気がして、やっていてよかったなと思いました。

アーロン:そうなんです。和奏さんの強い執念が、運を引き寄せるのかもしれませんね。たとえその時に成果が得られなかったとしても、全く予期せぬ形でいま取り組んでいることにつながることもあります。そういう意味でも、大きなビジョンは描きつつも細かくは決めすぎずに、冒険心を持って目の前のことにチャレンジする姿勢が大切だと思います。

佐藤:そうですね。なんだか前向きな気持ちになれました!

アーロン:よかったです。和奏さんが今後ますますご活躍されることを心から楽しみにしています!

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