「なぜ?」は、私の出発点
2024/09/18
いつの間にか、どういうわけなのか。私、酒井美紀には、いろいろな肩書が増えてしまいました。女優であり、タレントであり、妻であり、母であり……と、ここまではよくある話ですよね?私も、そう思います。
ところが、NGOワールド・ビジョン・ジャパンの親善大使(2007年~)、不二家の社外取締役(21年~)、大学院国際協力研究科修士課程を修了(23年)、趣味はエジプト考古学、フラワーアレンジメント、フラメンコ……となってくると、ちょっと変わった人、という印象ではないですか?ほかならぬ私自身が、そう思っているくらいですから。
7/31に公開された「十人十色の思考のお伴vol.7」では、私が心引かれる「なぜ?」をテーマに、インタビューにお応えしました。「なぜ?の向こうに行きたくて」と題した本連載は、その続編です。酒井美紀の「なぜ?」に、もう少しだけお付き合いください。
「なぜ?」は、いつでも私にとっての出発点
その「なぜ?」なのですが……俳優として、いただいた役を作っていく上で、「なぜ?」はいつも私の出発点なんです。例えば、いわゆる脇役として、たった一言「どうも」というセリフがあったとします。主役であれば、その人の“人となり”にまつわるいろいろな背景などが描かれますが、脇役は「どうも」の一言だけ、だったりします。
でも、その「どうも」には、その人の人生が詰まっているはずですよね?どういう背景があって、どういう気持ちで、彼女はその「どうも」の一言を絞り出したんだろう?数あるセリフの中で、なぜ「どうも」を選んだのだろう?といった感じで、もう次から次へと「なぜ?」がやってくる。役者の世界では「役作り」という言われ方をよくされますが、その「なぜ?」と向き合うことが、私なりの役作りのような気がします。
「なぜ?」から始まる旅に、終着点はありません
役者の仕事の9割は、「なぜ?」を考えることだと、私は思っています。でも、これって、なにも役者に限ったことではありませんよね?3歳くらいの子どもが、ある日突然、「なぜなぜ攻撃」を始めるようなイメージです。政治、科学、芸術、スポーツ、企業経営……あらゆるお仕事の出発点には「なぜ?」があるような気がします。そしてその「なぜ?」には、これで終わり、これでおしまい、ということは決してないですから。
私の場合、「なぜ?」が降りてきた時には、とにかく調べます。図書館や大きな本屋さんは、私の「なぜ?」を救ってくれる場所、かな。なるほど、そうなのか。と思ったらもう、その「なぜ?」の先へ出かけたい、「なぜ?」の現場に出かけていって、そこにあるものを見てみたい、なにかを感じてみたい、という感情が抑えられなくなるんです。
そんな酒井美紀の「なぜ?」に、お付き合いいただけますか?次回(#02)は、私が役者として向き合う「なぜ?」について、お話しさせていただこうと思います。