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欧州最大級の家電見本市「IFA 2024」レポートNo.2

最新家電・テクノロジーから見えてきた、未来のヒント(後編)

2024/10/21

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Dentsu Lab Tokyoの なかのかな です。ラボのR&D活動の一環として、毎年9月にベルリンで開催される欧州最大級の家電見本市「IFA(イーファ)2024」で、最新の家電やテクノロジーの動向を視察してきました。後半は展示を中心にご報告します。

韓国、中国、そしてトルコ

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日本で海外の家電といえば、SAMSUNG、LGなどの韓国メーカー、Midea、Haier 、TCLといった中国メーカーの印象がありますが、IFAでそれらの企業と同規模のブースを構えていたのがトルコの「VESTEL(ヴェステル)」です。日本ではあまり耳にしない名前ですが、トルコは地理的にも欧州や中東、アフリカの中間に位置しており、製造業の生産拠点としてのプレゼンスを高めているそうです。白物家電、テレビ、バッテリーソリューションやメディカル用途の冷蔵ボックスまで多様な製品がそろっていました。

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キノコ由来のMYCONOMで作られたエコ緩衝材や、トルコ特産のオリーブオイルを作る過程で廃棄される種を活用したバイオプラスチックBioliveを使用した製品シリーズなど、サステナビリティ施策の展示もありました。どちらも協業先はトルコ国内のスタートアップという点にも勢いを感じます。

介護テックにチャンスあり?

デジタル・ヘルスの分野では、SAMSUNGが7月に発表したGalaxy Ringを筆頭に指輪型デバイスの展示が多く見られました。また、日本でも人気のある筋膜リリースガンのようなマッサージ機器も多様な展開が見られました。
個人的に気になったのは介護分野のテクノロジーです。

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IFA NEXTエリアに、7社でブースを構えていた東京都のスタートアップ支援プログラムSusHi Tech Tokyo。ベルリンと東京都の友好都市30周年を記念しての出展だそうです。

体験デモで来場者の興味を引いていたのがシリウスの介護用洗身用具「switle BODY」。専用の洗浄剤と水道水をセットすると、水を吹きつけながら吸引する特殊なヘッドの構造で、液ダレせずに体を洗浄できます。体験してみると、見た目はぬれていないのにお湯の温かさと洗浄のすっきりさを感じられる不思議な感触でした。ベッドに寝たまま使用できるため、介護用途として販売されていますが、水1リットルで洗浄からすすぎまでできるとのことで、災害時の避難所などでも需要がありそうだと感じました。デモの反応も上々とのことで、高齢化の課題先進国として、日本の介護に関わるテクノロジーは、世界に通じるものがありそうです。

展示の飾りはどこへ行く?

IFAのような大規模な展示会のサステナビリティに関する課題のひとつに、展示空間自体の“その後”があります。いくら循環型デザインやエネルギー効率をうたっていても、カーペットや展示台などがその場限りで捨てられていくのでは説得力がないのでは?ということで、最近では徐々に再生素材などの使用も増えてきています。

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次世代テクノロジーを展示するIFA NEXTエリアに構えられたPanasonicブースでは、組み立て式の台に再生マテリアルの見本や製品が展示してありました。どこかで見たことが……と思って伺ってみると昨年も使用している台ということで、展示自体がサステナブルを意識したものになっていました。

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IFA2023でブース内の装飾をアップサイクルする予定があると発表していたLG。使用された200kgの生地を、600 人以上の障害者に職業訓練を提供しているベルリンのリヒテンベルガー工房 (LWB) に送り、エコバッグやポーチなど約3000 個のアップサイクル・アイテムに作り変えたということで、一部が展示されていました。収益はLWBの支援に使用されるそうです。
製品パッケージのアップサイクルの提案は数年前から増えてきていましたが、アップサイクルや循環性を考えた展示デザインが今後増えていくのかもしれません。

「AI」「サステナビリティ」「デジタル・ヘルス」が注目トピックだった100周年のIFA。AIを上手に使うことで、調理や掃除がボタンひとつになり、シンプルで快適な生活を送ることができます。また、エネルギー使用の最適化は、サステナビリティにつながります。健康については、小さなウエアラブル機器で健康を手軽に計測することが当たり前になってきており、マッサージや洗浄のように体に働きかけるようなアプローチが求められてきているのも感じました。
数年後に生活で必要とされるテクノロジーはどのようなものになっていくのでしょうか。本レポートをヒントに、みなさまとご一緒に考えることができるとうれしいです。

お問い合せ先:Dentsu Lab Tokyo

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