生成AIでデジタルプロダクト開発専門会社はどう変わるか
2024/10/23
GNUS代表取締役CEOの文分邦彦です。
日本企業のDXを進めるために「知っておきたい、デジタルプロダクトの今」という形で、DXやデジタルプロダクトに関することを中心にお届けする本連載。
第3回となる今回は、注目される生成AIについてお話しします。
GNUS:デジタルプロダクトを通じた事業成長や事業変革のパートナーとして、2019年に電通グループ内に設立。新規事業や既存事業のDXの鍵となるデジタルプロダクトの企画やPoCから開発・運用、さらにはグロースまでを、国内外600人以上のネットワークメンバーから最適なチームを組成し、アジャイルなプロジェクトマネジメントを通じて支援している。
生成AIはバズワードか
IT業界だけでなく、ビジネス界における2023年のバズワードは「生成AI」だったことは間違いないのですが、2024年の今になってもその影響がバズワードの域を超えていないのでしょうか、それとも本格的な普及に向けて進んでいるのでしょうか?
2023年にガートナーが発表した「生成AI のハイプ・サイクル:2023年」によると、23年は「過度な期待」のピーク期であるとされており、24年は「幻滅期」に入るようですが、私たちGNUSでは「幻滅期」を越えて「啓発期」に入ってきた感覚があります。
つまり、生成AIという技術がある程度成熟し、実用的なソリューションになってきており、PoCなどを通じて一定の成果がでているように思われます。
生成AIとデジタルプロダクト開発専門企業は好相性
現在GNUSでは、生成AIに対して大きく2つのアプローチで向き合っています。
1つ目は、生成AIプロダクトのPoCを受託する方法です。クライアントから受託したデジタルプロダクトや課題を、生成AIを活用して解決するアプローチです。このアプローチにはコンサルタント、プロジェクトマネージャー、エンジニアなどが関わり、日々、生成AIをどう活用して課題解決ができるかという知見を蓄積しています。
もう1つは、GNUSの社内業務の最適化に生成AIを活用する方法です。こちらでは主にバックオフィスやビジネスオペレーションのメンバーが、生成AIを用いて業務の効率化と品質向上に取り組んでいます。
ここで、GNUSが意識しているのは、自社の課題を生成AIを活用して解決している私たちだからこそ、クライアントの課題も解決できるということです。新しい技術を活用した課題解決において最も重要なのは、まず自社でとことん使って実践することです。
なぜAIの専門企業ではないGNUSが生成AIを活用できているのか。その一つの答えは、生成AIは、私たちのようなデジタルプロダクト専門家組織にとって非常に扱いやすく、活用しやすい技術であるからです。
もう少し前のAIや機械学習(ML)に関しては、アルゴリズムの精度にフォーカスがあたり、どのように学習させて、どのように高精度なアルゴリズムを作るのかが主流でした。生成AIにおいては、アルゴリズムの精度ではなく、大量のデータとディープラーニング(深層学習)技術によって構築されたアルゴリズムには手を加えずに(ファインチューニングなどはありますが)、アルゴリズムの 前後にどのような処理を入れると課題解決が可能になるのかという全体設計のアプローチが重要です。
一言で言うと、生成AIの登場により、AI専門企業よりもデジタルプロダクト開発専門企業がより活躍できるようになってきているといえます。最近よく見かける「生成AIスタートアップ」の中には、AIの専門性よりもデジタルプロダクト開発の専門性を重視しているところが増えているのも、そのことを示す重要な変化だと思います。
強引にまとめますと、生成AIの普及は私たちデジタルプロダクトの専門家にとって大きなチャンスであるだけでなく、プロダクト開発の可能性を広げてくれるものと確信しています。
次回以降、生成AIについてもう少し深く掘り下げて書いていきたいと思います。