OODA式すごい組織づくりNo.7
次世代マネジメントゲーム「OODASHIP®️(ウーダシップ)」研修で、HRトランスフォーメーションを加速せよ‼
2024/11/05
変化の激しい現代のビジネス課題を解決に導く意思決定モデルとして、注目を集めている「OODA」(ウーダ)。
「OODA式リーダーシップ 世界が認めた最強ドクトリン」(秀和システム)を上梓したアーロン・ズー氏は、OODAに基づいたスピーディーな意思決定能力やリーダーシップを鍛えるツールとして、次世代マネジメントゲーム「OODASHIP®️」(ウーダシップ)を開発しました。
今回は、企業の研修にてOODASHIP®️を実施した事例を通して、OODAを組織に取り入れる方法と、その手段としてのOODASHIP®️の可能性をアーロン氏がお伝えします。
【OODAとは】
元アメリカ空軍大佐で戦闘機のパイロットだったジョン・ボイド氏が提唱した、意思決定や行動を起こすためのプロセス。観察(Observe)、判断(Orient)、決定(Decide)、行動(Act)の頭文字を取った言葉で、変化し続ける予測不能な状況に対して、常に最善手を打っていくことを目的とする。欧米の経営やマーケティングでは従来のPDCAだけでなく、OODAが必要不可欠な意思決定プロセスとして認知されている。(詳しくはこちら)。
OODAとは、変化に素早く対応し続ける意思決定のフレームワーク
昨今のビジネス環境は、常に目まぐるしい変化や競争の激化が起こり、大規模な改革が求められるケースも増えています。これからのビジネスパーソンには、「スピード感」を持って「変化に対応する力」が欠かせません。それらを身に付けるフレームワークとして有効なのが、元アメリカ空軍大佐で戦闘機のパイロットだったジョン・ボイド氏が提唱した「OODAループ」(以下、OODA)です。
OODAとは、「その瞬間、どう動くのが最善か」という意思決定を優先するものであり、変化し続ける予測不能な状況に対して、常に最善手を打っていくことを目的としています。
OODAは日本のビジネス界に浸透したPDCAと同じように、意思決定から行動までのプロセスを一周することでなされるものですが、PDCAの「計画(Plan)、実行(Do)、評価(Check)、改善(Action)」とは異なり、「観察(Observe)、判断(Orient)、決定(Decide)、行動(Act)」というプロセスで成り立っています。これは、外部情報や状況の変化に応じて瞬時に観察・判断し、行動できるようにするためのものです。
日本のように成熟したビジネス環境において、PDCAはプロジェクトやチームを適切に管理し、品質や効率を改善するための必要不可欠なツールであることは間違いありません。しかし、従来のPDCAサイクルでは不測の事態や変化のスピードに対応できないケースが出てきていることも事実です。どちらかを取捨選択するのではなく、PDCAもOODAも役割が異なるものだからこそ、それぞれ力を発揮できるポイントで正しく活用することが重要なのです。
次世代マネジメントゲーム「OODASHIP®️(ウーダシップ)」とは?
PDCAほどでないにせよ、以前から日本のビジネスパーソンの間ではOODAもそれなりに知られていました。しかし、実際に導入して効果的に活用できている組織やリーダーはそれほど多くありません。そして、OODAを本格的に解説している翻訳書はアメリカ社会だから実現できる内容も含まれているため、日本特有の文化やシステムに落とし込むのが難しいという問題もありました。私自身が新規事業開発などのプロジェクトを通じてOODAを実践した経験に基づき、日本社会に最適化されたOODA実践法を解説することで、より多くの組織やリーダーにOODAを有効活用していただきたい。そのような思いで執筆したのが、「OODA式リーダーシップ 世界が認めた最強ドクトリン」です。
そして、拙著を執筆する過程で、「ゲーム形式でOODAを学ぶことができるのではないか?」と考案したのが、今回ご紹介する「OODASHIP®️(ウーダシップ)」です。OODASHIP®️は、参加者がチームを組んでゲーム形式で起業・経営し、 経営活動におけるさまざまな意思決定を実践していくアクティブ・ラーニング。OODAの意思決定プロセスである「観察(Observe)、判断(Orient)、決定(Decide)、行動(Act)」に基づいて、現代ビジネスパーソンの判断力をスピーディーに鍛えるための「次世代マネジメントゲーム」だと言えます。
戦略の基礎として、「フォッグ・オブ・ウォー(Fog of war)」という言葉があります。これは「フィールド上では完全に状況が把握できるものではなく、環境は常に流動的であり、不完全性がつきまとう」という意味。指揮官は、常に充分な根拠と確信が得られない状況の中で意思決定を下さないといけません。これは不確実性が強い近年のビジネス環境にも通じるものがあるのではないでしょうか。
本ゲームは、そのような「非コントロール要素」と「コントロール要素」による連続的な意思決定を繰り返すことで、OODAで重要とされる「瞬時の観察力と判断力」を高め、経営判断の要である「直観的能力(Intuitive Competence)」を最大限に引き出し、リーダーとしての「意思決定能力」を育成することを目指しています。
OODASHIP®️(ウーダシップ)を実践!
昨年、大手企業の研修にてOODASHIP®️を実施いたしました。この研修は部署や組織の枠組みを超えて有志で集うゼミナール活動の一つで、読書会やディスカッションなどを通してあるべきリーダー像やマネジメント像への気づきを得ることを目的としています。スポーツビジネスに携わっている方や、アプリ開発を担当している方、教育デバイスの新規開発にチャレンジしている方、投資関係に携わっている方など、実にさまざまな領域のメンバーが集っています。
当日のOODASHIP®️研修は、講義とディスカッション、そしてOODASHIP®️ゲーム実施の3部構成で行いました。第1部の講義では拙著の内容に基づいて、いまOODAが求められている背景にある社会状況の変化、OODAを導入するために欠かせないリーダーの役割、チームビルディングのコツ、PDCAとOODAの違いなどを解説しました。
続いて、ディスカッション・パートでは皆さまから質問や論点をいただき、参加メンバー全員で意見交換を実施。「問題が起きた時の再発防止はPDCAで回すべき?OODAで回すべき?」、「OODAは経験と直感に左右される部分があるので、使いこなすことが難しいのでは?」といったイシューに対して、活発な議論が展開されました。実務に基づく鋭い視点や悩みもお聞きすることができ、私自身も多くの学びや発見が得られました。
ディスカッションの後は、いよいよOODASHIP®️の実践です。各2〜3名のチームに分かれ、ボードゲーム形式で経営をロールプレイします。1期ごとに経営判断の参考になる「要素カード」や、「取引先が倒産する」などの非コントロールな出来事が発生する「事象カード」を引きながら、今期のコスト配分や製造個数、価格設定などを設定し、売上を高めていきます。12期が全て終わった段階で預金額が一番多いチームの勝利。途中で預金がショートしたチームはリタイアとなります。
意思決定で欠かせない判断力を鍛えるべく、各チームは期初にサイコロを1回振り、今期の情勢の参考にすることができます。また、意思決定のスピードも鍛えるために、ゲームの進行は厳密な制限時間によって管理されています。そのため、プレイヤーは不確定な要素や不測の事態に対応しながら、瞬時に今期のアクションを判断しなければなりません。
日々、製造分野における多種多様な意思決定を繰り返している方々だけあって、OODASHIP®️でも緻密な計算やロジックに基づくコスト配分・製造計画が実施されていました。その一方で、「事象カード」によって発生する予想外の出来事に頭を抱える場面も。まさしく「フォッグ・オブ・ウォー」という状況の中でスピーディーな意思決定を下すことは難しく、長考しすぎて制限時間をオーバーしてしまうチームもありました。
そのような中でも徐々にゲームに慣れてくると、価格競争で勝負するチームや、広告費を積み重ねて徐々に売上を高めていくチームなど、それぞれの経営戦略に個性が現れてきたことがとても印象的でした。
OODASHIP®️(ウーダシップ)を活用した「HRトランスフォーメーション(人事機能変革)」を目指す
今回実施したOODASHIP®️研修は半日で終了するプログラムでしたが、それでもワークショップを通じて常に変化し続ける予測不能な状況に直面しながら、OODAのプロセスを何度も繰り返していく中で、皆さまの臨機応変かつスピーディーな判断力がどんどん磨かれていく様子を垣間見ることができました。
このように組織のミドル層がOODAを習得し、実践できるようになることは、企業にとって非常に大きな価値があります。なぜなら、現実問題として、日々現場を仕切り、チームをまとめ上げ、プロジェクトを左右する権限を持っているのは、ミドル層であり、企業が直面する課題に一番近い存在だからです。
先述したとおり、OODAの起源はアメリカの軍事戦略であり、これを日本企業のビジネスに実装するためには、日本企業に適した方法が必要です。私は日本の企業文化やシステムを考慮すると、トップダウン型の強いリーダーではなく、複雑な社内環境の中でも的確に根回しや調整ができるリーダー兼マネージャーがOODAの実践に適していると考えています。
すなわち、より多くのリーダー・マネージャー層がOODAを実践できるようになることが、日本企業の「HRトランスフォーメーション(人事機能変革)」の推進につながるのです。
自社の組織やリーダー・マネージャー層にOODAを実装したい方、OODASHIP®️研修にご興味のある方は、ぜひお気軽にお声がけください。