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OODA式すごい組織づくりNo.6

CIAとFBIに内定!? 異色の経歴を持つタレントのOODA的思考術。

2024/03/14

OODA

変化の激しい現代のビジネス課題を解決に導く意思決定モデルとして、注目を集めている「OODA」(ウーダ)。

本連載では、さまざまな業界の“OODA実践者”との対話を通して、OODAの魅力とこれからの時代に必要なリーダーシップを身に付けるためのヒントを発信します。今回のゲストは、元お笑い芸人でタレント兼宇宙関連ベンチャー会社員のREINA氏。

アメリカ出身でハーバード大学院卒、CIAやFBIを断って日本のお笑い芸人になったという異色の経歴を持つREINA氏と、「OODA式リーダーシップ 世界が認めた最強ドクトリン」(秀和システム)を上梓した、電通の事業開発プロデューサー、アーロン・ズー氏が語り合います。

【OODAとは】
 OODA
元アメリカ空軍大佐で戦闘機のパイロットだったジョン・ボイド氏が提唱した、意思決定や行動を起こすためのプロセス。観察(Observe)、判断(Orient)、決定(Decide)、行動(Act)の頭文字を取った言葉で、変化し続ける予測不能な状況に対して、常に最善手を打っていくことを目的とする。欧米の経営やマーケティングでは従来のPDCAだけでなく、OODAが必要不可欠な意思決定プロセスとして認知されている。(詳しくはこちら)。
 

CIAでもFBIでもなく、日本のお笑い芸人という“奇策”を選択

アーロン: REINAさんとはバックグラウンドが似ている気がして、一方的に親近感を抱いていたので、今回お話しできることを楽しみにしておりました(笑)。

REINA:アメリカに住んでいたのですか?

アーロン:はい、合計8年ぐらい住んでいました。子どもの頃は日本とアメリカを行ったり来たりしていて、日本の高校卒業後にアメリカの大学へ進学し、在学中に米空軍ROTCに入隊したんです。その後、就職先を探していたときに、たまたま日本で開催していたキャリアフォーラムに参加したことがきっかけで日本のIT企業から内定をもらい、紆余曲折あって今ここにいます(笑)。

REINA:確かに、ちょっと似ているところがあるかもしれないですね。私は両親が日本人なのですが、生まれも育ちもアメリカです。政治学が好きだったので、国際政治学で有名なブラウン大学に進学し、テロ対策学を専攻していました。在学中にビル・クリントンの事務所にインターン勤務し、CIAの試験にも合格したのですが、ハーバード大学院のプログラムに興味があったので進学の道を選びました。大学院在学中は国際刑事警察機構(インターポール)でインターンを経験させてもらいました。

REINA
その後、ロイター通信に在籍しながらFBIを受けたのですが、最終試験の嘘発見器を使った面接で、嘘を付いていないのに引っかかって不合格になってしまったんです。FBIからは再受験を打診されたのですが、機械の判定を信じる組織風土に嫌気が差してしまい、ロイター通信も辞めて来日し、ワタナベエンターテインメントのスクールに入学して今に至ります。

アーロン:パワーワード満載のご経歴ですが、ワタナベエンターテインメントだけ明らかに異質です(笑)。

REINA:本当、そうですよね(笑)。

アーロン:なぜ日本に、しかもお笑いの世界に入ろうと思ったんですか?

REINA:日本に来たのは、自分の人生を一度リセットして新しいことにチャレンジしようと思ったからです。とはいえ、来日しても特に行くあてはありませんでした。ただ、小さい頃から人前に立つ仕事やテレビの世界に憧れを抱いていたので、なんとなく芸能事務所を検索してみて、たまたま辿り着いたのがワタナベエンターテインメントのスクール入学生募集ページでした。確かその3日後ぐらいには面接を受けて合格をもらい、お笑い芸人になっていたと思います。

アーロン:アメリカに住んでいた頃から日本のお笑いに触れていたんですか?

REINA:おばあちゃんが明石家さんまさんの大ファンで、さんまさんが出演する番組を撮り溜めたビデオをよく送ってくれたんです。近所にもなぜか日本のテレビ番組が見られるスーパーがあったので、バラエティ番組はよく見ていましたよ。

アーロン:そうすると、日本のお笑いやバラエティの文化にはすんなりと溶け込めました?

ooda
REINA:いえ、業界に関する知識が全くなかったですし、センスが問われる世界なのでなかなか難しかったです。今でも理解できないことはたくさんあるのですが、とりあえずタイミングやテンポ、リズム感が重要だということは学ぶことができました(笑)。

アーロン:コンビは解散されたんですよね?

REINA:はい。デビュー後、半年ぐらいで解散しました。相方がほかにやりたいことが見つかったので。

アーロン:その後、ベンチャー企業に入ったんですか?

REINA:ベンチャーの立ち上げをお手伝いしたことがきっかけで、コミュニケーション領域のビジネスを展開している会社に所属することになりました。プロフェッショナル人材のコンサルティングなどに携わり、役員も経験させてもらいました。現在は宇宙関連ベンチャーで会社員をしています。

ベンチャー会社員や番組コメンテーター。予測不能な日々をOODA的思考で乗りこなす

アーロン:OODAはアメリカ発祥のフレームワークですが、REINAさんはアメリカ在住中にこの言葉に触れる機会はありましたか?

REINA:言葉自体は知らなかったのですが、アーロンさんの著書を拝読し、アメリカ人の気質やカルチャーにとても合うフレームワークだと感じました。アメリカ人といってもいろんな人がいますが、傾向としてはアクション志向ですし、意思決定が早い人も多い。特にビジネスシーンでは目の前の状況に対してスピーディな判断が求められることが多かったので、私も知らずうちにOODAを実践していたのかもしれません。

reina

アーロン:そうなんですね。日本はものづくり大国だったこともあって、品質管理に適したPDCAが盤石のフレームワークとして長らく機能してきました。しかし、近年の変化が激しいビジネス環境下では従来のセオリーが通用しないケースも出てきており、そこに危機感を感じている経営層の方々を中心に、OODAを取り入れようとする企業が徐々に増えています。

REINA:良いことですよね。私は大企業に所属したことがなくベンチャーの世界にずっといるのですが、ここ数年でベンチャーの空気感も変わってきていませんか?

アーロン:どのあたりに変化を感じます?

REINA:もともとベンチャーといえば意思決定の早さが強みの一つでしたが、そのスピードがますます早まっている気がします。それから、これはたまたま今所属している会社がそうなのかもしれませんが、従業員一人一人が同じレベルに立つと言いますか、社長も役員も新入社員もフラットに意見交換をする機会が多いと感じます。

アーロン:確かに、社長と社員の距離が近いベンチャーは多いですよね。ところで、ベンチャーは予測不能の事態に次々と直面するイメージがあるのですが、そのような変化にどうやって対応しているのですか?
 
REINA:
まさにOODA的な思考が欠かせません。特に私たちの場合は、最初の「観察(Observe)」が重要かもしれないです。宇宙領域は情報が非常に多いので、その中からどの情報を信頼して使うのかという取捨選択に時間をかけています。そこさえきっちりできれば、その後の「判断〜決定〜行動」まではかなりスピーディに進めることができますね。「観察」から「行動」まで一気にジャンプするイメージです。

アーロン:ちなみにコメンテーターのお仕事もされていますが、テレビの現場でも予測不能な状況の中でレスポンスしなきゃいけない場面がありますよね。

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REINA:そうですね。情報番組の場合、取り扱うニュースがその場で急に変更されることもあるので、瞬発力や判断力が求められますね。OODAに当てはめて考えると、多分一番難しいのが「判断」のところかな。いろんな情報に対して、どのような分析をするのかを瞬時に判断しないといけないので。しかも、当たり障りのないコメントではなく自分なりの視点を織り交ぜることが必要ですし、適切なコメントかどうかも考える必要があります。特に生放送の意思決定スピードはハンパないです(笑)。

ビル・クリントンから学んだ、リーダーシップというスキル

アーロン:OODAに欠かせない要素の一つにリーダーシップがあるのですが、ビル・クリントンという世界トップクラスのリーダーシップはやっぱりすごかったですか?

REINA:クリントンさんとお話しする機会は数回しかありませんでしたが、彼を見て感じたのは、「リーダーシップとはスキルである」ということ。クリントンさんが部屋に入ってくると、言葉を発していなくてもオーラで分かるんです。それは単にカリスマ性があるということだけでなく、動き方やスペースの取り方、目線の合わせ方といった非言語コミュニケーションも含めて、細部に至るまでリーダーとしてのふるまいにこだわっているんですよね。もちろん、生まれ持った才能でリーダーシップを発揮する人もいると思いますが、私はクリントンさんを見て、正しいスキルを身に付ければ素晴らしいリーダーになれるのだと思いました。

アーロン:非言語的なコミュニケーションに気を付けているんですね。

REINA:アイコンタクト一つとっても、緊張と緩和のさじ加減がすごかったですよ(笑)。

アーロン:すごいですね。私は熱くなるとすぐ素が出てしまうので、逆に取り繕わないようにしています(笑)。

REINA:それはそれで、良いと思います。最近は自分を隠さず、時には弱みもさらけ出すようなリーダー像が支持されていますもんね。

アーロン: REINAさんは日本でプロフェッショナル人材のコンサルティングもご経験されていたとのことですが、さまざまなタイプのリーダーとお会いする中で、リーダーシップにおける課題を感じたことはありますか?

REINA:多くの方に共通して不足していると思うのは、アサーティブネス(自己主張する力)ですね。やはりアメリカや欧州のリーダーと比べると、自分の意見や考えを表現する力がまだまだ弱いと感じます。あとは自信ですね。国際社会では自分の強みを聞かれた時にすぐに答えられることが望ましいので、前職ではプロフェッショナル人材の方々の自己肯定力を高めるお手伝いをしていました。

アーロン:そのようなリーダーシップは、コンサルテーションなどを通して後天的に身に付くと思いますか?

REINA:はい、身に付くと思います。これもスキルなので、才能ではなく努力次第で伸ばしていくことができると考えています。

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アーロン:逆に日本人ならではの良さはどんなところに感じますか?

REINA:良い意味で真面目でプロフェッショナルなところですね。海外で働いていた時は、適当に仕事をする人や、すぐに帰っちゃう人、ずっとコーヒーばかり飲んで仕事をしてくれない人などがいました。日本ではそういうケースは少ないですよね。みんな真面目に、責任感を持って仕事に取り組んでくれる。そこは日本人ならではの強みと言えるのではないでしょうか。

アーロン:分かります。真面目で責任感のあるメンバーがいるチームは強いですよね。最後に、多方面にご活躍されているREINAさんが今後チャレンジしたいを教えてください。

REINA:私はこれまでも本当にカオスな人生を送ってきたのですが、それがすごく好きで自分らしいなって思うんです。今は宇宙に携わっていますが、過去にはエンタメ、教育、政治、セキュリティなどいろんな分野に挑戦してきました。これからも、好奇心の赴くままに新しいことにチャレンジして、カオスな人生を歩んでいきたいと思います。

アーロン:今後のカオスな人生も応援しています!ありがとうございました!

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