店頭販促の悩みはこれで解決!デジタル販促の新潮流
2024/10/30
近年、FMCG(日用消費財)系メーカーを中心とした企業で重要度が増している「店頭販促」の打ち手として、大手プラットフォーマーのIDデータを活用したデジタル販促が大きく進化しています。
しかし、「次々と変化するトレンドに対応できない」「チャレンジしたいけれど何から手を付けて良いか分からない」といった課題を抱えている企業も多いのではないでしょうか?
こうした課題に応えるべく、電通、電通デジタル、電通プロモーションプラスの3社はデジタル販促推進チーム「Boostore」を立ち上げ、さまざまなクライアントの販促領域における最適なプラットフォーマー選定とソリューション提供を展開しています。
いま、店頭販促で起きている課題・ニーズと、その解決につなげるためのデジタル販促の新潮流を、Boostoreチームメンバーが語り合います。
売上に直結する施策へのニーズが拡大
──はじめに、いま企業が店頭販促で抱えている課題を教えてください。
岡田:従来の店頭販促は店頭での売上効果を十分に検証できていないケースがあり、ある意味で“やりっぱなし”と言いますか、キャンペーンを通して得られた資産を次のキャンペーンに生かせていないことが多くありました。
しかし、近年はLINEやPayPayなどのプラットフォーマーを活用したデジタル販促やリテールメディアの進化によって、店頭の売上効果を計測し、キャンペーンで貯まった資産を次に生かすことができるようになっています。例えば、前回キャンペーンに参加してくださったお客様に次回新しいオファーを提示するといった施策も可能になるなど、マーケティングの潮流がフロー型からストック型に変化しています。こうした新しい潮流に対応できているかどうかがプロモーションの質を大きく左右する状況になっています。
──新たなマーケティングトレンドに対応できている企業とそうでない企業で、大きな差が生まれる可能性があるということでしょうか。
岡田:そうですね。先進的に取り組むことができている企業はまだまだ一部だと思うのですが、着手し始めている企業の中でも対応の度合いに濃淡のばらつきがあるという印象です。
──例えば、どのような点がボトルネックになっているのでしょうか?
岡田:本来であれば、プラットフォーマーの特性や相性を考えた上で、実際に店頭で買い物をする生活者とプロモーションしたい商品とがマッチする企画を立案しなければいけません。
しかし、実際はプラットフォーマーの多様化により、各プラットフォーマーに関する知見・ノウハウが不足しており、多数ある打ち手の中からどれを選択すべきなのか、その判断自体が難しくなっているといったことが挙げられます。
──店頭販促についてクライアントからどのようなニーズをお聞きすることがあるのか、具体例を教えてください。
長田:端的に言えば、「店頭での売上」に直結する施策へのニーズが非常に高まっています。近年はキャンペーンにおけるブランド体験やユーザビリティなどのお買い物体験も含めた、店頭の売上に貢献する体験設計が求められるようになってきている印象です。
──クライアントニーズの傾向で、特に印象的な変化はありますか?
長田:ひと昔前のキャンペーンでは、いわゆる“バズ”を求めるご相談が多く、販促とバズが同じ土俵で語られていた印象がありました。近年はバズを目的とする施策と店頭の売上にコミットする施策で、明確に役割を分けて考えるクライアントが増えたように思います。
岡田:バズが売上に直結したことを精緻に測定するのは難しかったりするので、それよりも施策の効果を明確に可視化できる施策が求められるようになってきた傾向がありますよね。
長田:そうですね。もちろん、バズを狙った施策に対するニーズもあるのですが、少なくとも、“バズったら売れる”という考え方から、“バズと売上は別物だ”という考え方にシフトしつつあるように思います。
──そうなってくると、施策の費用対効果もよりシビアに求められるようになりそうですね。
長田:まさにそのとおりです。施策に対する売上のKPI /KGIがより明確になってきているので、費用対効果はもちろんのこと、過去のデータに基づくシミュレーションへのニーズも非常に高まっています。そのような観点からも、データの分析・活用が可能なデジタル販促に注目が集まっているのです。
商品特性やニーズに合わせて、プラットフォーマー/打ち手フリーで最適な施策を提案
──そもそも「デジタル販促」とは何なのか、その定義や有効性を教えてください。
國保:私たちはプラットフォーマー各社のIDデータを活用した販促のことを総称して「デジタル販促」と呼んでいます。デジタル販促の最大の特徴は、継続的かつ連続性のあるストック型のマーケティングを簡単に実現できるところ。キャンペーンを通じてIDデータを蓄積することで、施策の効果を可視化することが可能となり、一度参加してくれたお客様に対して継続的なアプローチを実施できるようになります。
このデジタル販促を起点に、クライアントの店頭・販促領域におけるマーケティング課題を解決すべく、包括的なソリューション開発・提案に取り組んでいるのが、国内電通グループ横断組織の「Boostore」です。
──包括的なソリューション開発・提案とは、どういうことでしょうか?
國保:クライアントそれぞれの課題に合わせて、各種データを起点にしたソリューションをプラットフォーマーフリーでプランニングできます。国内電通グループには多種多様なクライアントを支援してきた実績があり、各プラットフォーマーとの関係も強いため、特定のプラットフォーマーや打ち手に制限されることなく、クライアントの商品特性やニーズを踏まえて最適な施策を提案することが可能となっています。
──なるほど、そこは世の中に数多あるデジタル販促支援サービスの中でも大きな違いになりそうですね。
長田:はい。さらに、それらの施策を実現するために、自社開発技術も含めたオリジナルのデジタルソリューションやシミュレーションツール、データ分析ツールなどを用意しています。また、プラットフォーマーの所有データを、生活者意識調査結果など電通が保有するデータと掛け合わせることで、より高度なデータ分析・活用も実現できます。
岡田:それから、お客様にとって単にお得な施策を提供するのではなく、新しいお買い物体験も含めた体験設計ができる点も、国内電通グループならではのクリエイティビティが発揮されているポイントではないかと思います。
──横断組織ということですが、チームの規模感やメンバー構成についても教えてください。
岡田:クライアントに向き合いながら商品の特性を理解し、デジタル販促領域にとどまらないマーケティング戦略全体を支援する電通。その戦略に基づく施策を実現するソリューション開発に強みを持つ電通プロモーションプラス。媒体社と良好なリレーションシップを築いている電通デジタル。3社それぞれに得意領域はあるのですが、現在は垣根なくワンチームで対応しています。
リサーチャーやプランナー、データサイエンティスト、メーカーや小売、流通出身の担当者など、多彩なバックグランドを持つ専門力の高いメンバーが100人規模で揃っており、プロジェクトごとに最適なチームを組織しています。
4つのソリューションを軸に、店頭販促の課題解決を目指す
──実際にどのようなソリューションでクライアントの課題解決に取り組んでいるのか、簡単に教えてください。
岡田:キャンペーンスキーム全体にご活用いただける「LINEで応募」、購買証明の「SCAN DA CAN」「買ったよフラグ」、そしてシミュレーション及び広告配信最適化ツールの「SPコンパス」。この4つのオリジナルソリューションをはじめ、さまざまなソリューションを提供しています。
國保:「LINEで応募」については、国内3社しかいないLINEヤフーの「Technology Partner」として提供できるソリューションです。LINEが保有する公式アカウントを活用した網羅的な販促を支援し、クライアントのLINE公式アカウントにおける“友だち登録”の増加にも貢献できると考えています。
長田:「SCAN DA CAN」はAI技術を駆使した新しい購買証明ソリューション。缶などの商品をスマホのカメラで撮影するだけで購買証明となり、キャンペーンへの応募が可能となります。従来のレシートやQRコードからの応募に比べて、手軽かつ自然なブランド体験の中での応募を実現します。
「買ったよフラグ」は、事前にエントリーしたお客様にバーコードを付与することで、お客様は店頭でさまざまな販促インセンティブを受けられるようになります。レシートのクーポン券などを管理する必要がないので、キャッシュレス時代にマッチしたユーザー体験を提供できます。
岡田:「SPコンパス」は、各プラットフォーマーのデータをもとに、デジタル販促キャンペーンの効果予測を可能にするシミュレーションツールです。また、キャンペーン参加意向の高い人に向けて広告配信を行う機能も備わっています。
単にお得なだけではない、“買い物の楽しさ”を創出することが大切
──各ソリューションの活用事例については次回詳しくお聞きしたいと思います。最後に、今後の店頭販促がどのように進化していくのか、注目している動きや未来像について教えてください。
國保:先ほどの話にもあったように、最近は財布を持たずに買い物をするお客様が増えていて、それに伴って多種多様な電子決済サービスがどんどん普及しています。キャッシュレス化が浸透すればするほど、プラットフォーマーのIDデータを活用した販促の重要性も増してくると思います。
そうなった時にカギとなるのが、「いかに楽しいお買い物体験を作っていくか」だと考えています。単にお得なサービスを受けられるだけではなく、買い物することの楽しさやワクワク感に寄り添った体験を提供する。そこで改めて必要になるのがクリエイティビティです。
シームレスな体験や便利さを追求する「フリクションレス」はコモディティ化していくことが予想されるので、お客様のモチベーションアップにつながるようなクリエイティブなプランニングが求められるようになるのではないかと思います。
岡田:そうですね。お客様に楽しい体験を提供することは、売上に貢献することはもちろん、自社のブランディングやファン化にもつながります。そういった観点でも店頭のデジタル販促には大きな可能性があると思います。
長田:各プラットフォーマーもどんどん進化しているので、今後も新しいサービスやシステムが登場し、お客様の購買体験も変わっていくのではないかと思います。その変化に常に伴走し続けることが大切で、新しい打ち手をプラットフォーマーと連携しながら考えていくことも重要だと考えています。そこもBoostoreチームとして注力していきたいと思います!
※次回はデジタル販促の最新事例について詳しくご紹介します。
【事業に関する問い合わせ先】
Boostore公式サイト:https://boostore.jp