ママと、家族はここまで変わった!~経年比較データから見るママの現在地~No.4
ママだけど、「ワタシも大事」~ママたちのメディア接触と消費行動
2024/12/06
電通ママラボチームが2014年と2022年におけるママの意識や価値観をさまざまなカテゴリで抽出し、比較分析を行うことで「イマドキママ(0~2歳の乳児を育てるママ)」の実態を紹介する本連載(調査概要はこちら)。
ママの就業率が75%以上(参考記事はこちら)に増加したことで、ママの側面だけでなく、「働く自分」など母親以外の側面も意識・行動の中で大きくなっています。それにより、ママ理由によるものが減少し、「ママ視点」に加えて「一個人」として「自分視点」の意識が「メディア接触」や「消費意識・行動」にも影響していることが分かりました。
第4回では、自分の趣味や時間、感覚を大切にしたいママたちの実態をひもといていきます。
※一部、2023年調査との比較もあります。
<目次>
▼情報収集は、「ママ視点」と「自分視点」の両方から
▼お金の使い方は中長期視点を重視
▼「メディア接触行動」と「消費意識」は、家族と自分の両軸が大切
情報収集は、「ママ視点」と「自分視点」の両方から
まず、情報収集のためにママたちがどのような媒体に接触しているのかを見ていきましょう。
図1は電通の大規模データベースを活用した調査で、2014年と2023年の媒体別の接触比率を比較したグラフです。2014年で最も高かった「テレビ」は13.1%/日だったのに対し、2023年では7.1%/日に減少しています。一方で、「ネット合計」は4.7%/日だったのが、2023年には約2倍の8.2%/日までに増加しており、ママたちが一日の中で最も接触している媒体がネット媒体に移っていることが分かります。
次に、ママたちが日常生活でどんな行動をしているかを聞いたデータをご紹介します。
図2によると、平日・土日どちらも「動画サービスを見る」「SNSを利用する」が高いことが分かります。また、平日の「SNSを利用する」は全体が46.5%に対し、ママたちは59.2%で、その差はママたちの方が12.7pt高い結果となっています。休日のSNS利用についても同様にママたちが全体よりも11.7pt高くなっています。
このデータからもママたちは日常的にネットをよく利用しており、その中でも動画サービスやSNS利用が多いことが改めて確認できました。
では、具体的にどんなSNSを利用しているのでしょうか。
図3は、ママたちが直近3カ月に利用した主なSNS(2022年)の詳細です。利用率が高い順に「LINE(87.5%)」「Instagram(75.9%)」「X(旧Twitter)(59.4%)」「Facebook(36.2%)」となっています。
図4は、直近1カ月に利用したニュース・生活情報系サイトやアプリの中で利用率が高いものです。
これを見ると、ママ視点でママに特化した情報のアプリや料理系専門アプリを使って情報を収集していることがうかがえます。また、美容サイトや体調管理などの自分の趣味や興味関心の情報収集も行っていることが見えてきます。
図1で示したようにママたちのネット利用の時間は、約2倍に増えましたが、ママ向けサイトの利用率が特に高いというわけではなく、動画配信サービスやSNS、その他のアプリなども利用して自分の趣味や興味視点でも情報収集をしていることが分かりました。
お金の使い方は中長期視点を重視
次にママたちの消費意識行動の変化を見ていきましょう。
図5は、ママたちの1カ月のお小遣い金額を2014年と比較したデータです。2014年と2022年を比べると、「10,000~15,000円未満」以上のレンジで全て上昇していることが分かります。特に、「30,000~40,000円未満」「40,000~50,000円未満」「50,000円以上」の3つのレンジは2014年よりも2倍以上上昇しています。ここから、ママたちのお小遣い金額が増加したと捉えることができます。これは、ママたちの就労率が上昇したことも関連していると考えられます。
お金の使い方に対する意識にも変化が見られました。図6の「知らず知らずのうちに財布からお金がなくなっていることがよくある」は、38.5%(2014年)から26.2%(2022年)に減少しており、ママたちはお金の使い方をより意識するようになったことが読み取れます。実際、「貯蓄や資産運用について考えることが多い」の回答も20%以上増加しています。
「自分の能力を伸ばすためにお金を使うべき」と「お金や財産は人生を楽しむために投資するもの」という意識も上昇しています。
世の中の情勢が目まぐるしく変化していて、「リスキリング」や「正解がない世の中」というキーワードが話題になっていますが、ママたちもこのような影響を受けているのでしょう。自分の能力を高めたいという意識や、そもそも人生を楽しむためにお金を使いたいという意識が高まった結果を反映していると、電通ママラボでは分析しています。
中長期的な視点は普段の買い物意識からも読み取ることができます。
図7は、買い物をする時の意識や行動について質問した結果です。2022年の結果を見ると、「実用的なものを選ぶことが多い」は73.0%と高くなっています。また「ネットの意見を参考にして商品を選ぶことが多い」も55.3%となり、半数以上のママたちはネットで商品の口コミなどをしっかり確認してから間違いのない商品を選んでいる実態が見えてきます。
買い物をする時にネットの口コミを情報源として活用する傾向は、小さい子どもを持つママたちほど高いことが図8から分かります。
最も高いのは「乳児」を持つママたちで85.2%でした。小学生までの子どもを持つママたちはおおよそ80%前後で、中学生以上の子どもを持つママたちは60%後半です。今のママたちにとって、事前のリサーチは非常に浸透している買い物行動の一つだと言えます。
ママたちが好きなブランドについてもご紹介します。
2014年の調査では、親しみやすいブランドとともに、いくつかのラグジュアリーブランドが上位にランキングしていました。それに対して、2022年は、ラグジュアリーブランドの数は1つに減少し、複数のスポーツブランドがベスト10入りしました。
この要因には、スポーツブランドの流行という側面もあると思いますが、ママたちのものの選び方の価値観が、ラグジュアリーブランドで得られる高揚感よりも、長く心地良く使えるモノや、使い勝手が良い品質のモノなど、信頼できるブランドを支持する傾向に変化していることが読み取れます。
家族のことを一番に考えるママたちですが、だからこそ中長期的な視点を持ち、「ワタシ時間」で好きなコトをしてリフレッシュすることで、良いバランスを保ちたいのではないでしょうか。
「メディア接触行動」と「消費意識」は、家族と自分の両軸が大切
今回は、ママたちのメディア接触行動と消費意識について紹介しました。「ママ」という言葉から「家庭優先」「子ども軸」というイメージが最初に思い浮かぶかもしれませんが、ママたちの実態としては、「ママ視点」と「自分視点」の両方で普段の生活を送っていることが見えてきました。
消費意識も中長期的に判断してお金を使いたい意識が高まり、また家族だけではなく、自分にとっても良い選択になるか、を判断軸として持ち始めているようです。
本連載は今回で終了ですが、電通ママラボでは、引き続き「ママと家族」の動向に着目して、皆さんに最新のトレンドを発信していきます。
電通ママラボのホームページでは、ママに関するこれまでの記事のリンクも掲載しています。ぜひご覧ください。
https://www.dentsu.co.jp/labo/mamalabo/index.html