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食の楽しみと栄養バランスを両立!企業横断プロジェクト「ツジツマシアワセ」No.2

ツジツマシアワセに取り組む6社と語った!食と健康のシアワセな関係

2025/09/26

左から電通 北島陽介氏、ニチレイフーズ 齋藤猛氏、ハウス食品 吉川由利子氏、J-オイルミルズ 髙倉安佑子氏、味の素 小山仁見氏、キッコーマン 中島みどり氏、エブリー 栗原晃氏
左から電通 北島陽介氏、ニチレイフーズ 齋藤猛氏、ハウス食品 吉川由利子氏、J-オイルミルズ 髙倉安佑子氏、味の素 小山仁見氏、キッコーマン 中島みどり氏、エブリー 栗原晃氏

食べたいものを好きなだけ食べることは、人を幸せにしてくれます。たとえ、1回の食事で食べ過ぎたり、栄養バランスが偏ってしまってもOK!その前後の食事でゆる~くツジツマをあわせていけば、健康的な食生活が実践できるのです。

そんな新しいコンセプトのもと、国内の主要食品メーカーを中心に、多くの企業が合同で推進するプロジェクト「ツジツマシアワセ」。

趣旨に賛同し、新たに参画する企業も続々と増えている中、今回はPROJECT TOP PARTNERの6社による座談会を開催。プロジェクトの事務局を務める電通の北島陽介氏も交え、これまでの取り組みと今後の展望を語り合います。

参画企業紹介(五十音順):味の素エブリーキッコーマンJ-オイルミルズニチレイフーズハウス食品

<目次>
1社だけでなく「複数の企業」で生活者に寄り添いたい

「レシピ」の提案方法を中心に、各社が新たなアプローチを実践!

食に関わる全ての領域とつながり、人々の生活に根づく活動を!

1社だけでなく「複数の企業」で生活者に寄り添いたい

ニチレイフーズ 齋藤猛氏、ハウス食品 吉川由利子氏、エブリー 栗原晃氏
ニチレイフーズ 齋藤猛氏、ハウス食品 吉川由利子氏、エブリー 栗原晃氏

北島(電通):本日は私から「ツジツマシアワセ」参画企業の皆さんにいろいろお話を伺えればと思います。

最初に、各社が「ツジツマシアワセ」プロジェクトに参画した経緯を伺います。皆さん、幹事会社の味の素さんのお声がけで参画されたと思うのですが、「楽しくおいしく食べながら、無理なく栄養バランスを整えていく」というプロジェクトのコンセプトを聞いてどう思われましたか?

ハウス食品 吉川由利子氏

吉川(ハウス食品):いかに楽しみながら健康づくりをしていくかは今、社会全体の課題になっています。ここに集った各社でもさまざまな取り組みを推進していると思いますが、1社だけの取り組みではどうしてもアプローチ方法に限りがあります。そういう意味で、各社と連携することは本当に心強いですし、これまでにない社会的影響力を生みだせそうだと期待が募りました。

J-オイルミルズ 髙倉安佑子氏

髙倉(J-オイルミルズ):当社は植物油の機能性表示食品に注力していますが、「商品の機能性をアピールするだけでよいのか?」「楽しく生きるというWell-beingの観点でも、何か施策が打てないか?」などと模索しているところでした。「ツジツマをあわせながら楽しく食べよう」という提案を複数の企業が協力して推進していけば、より生活者の心を捉えたメッセージを発信できると感じました。

エブリー 栗原晃氏

栗原(エブリー):私たちも、レシピ動画メディア「デリッシュキッチン」の運営を通じて、「おいしく食べて健康になりたい」という社会的ニーズの高まりを感じています。しかし、情報発信の難しさも感じています。健康や栄養に関するトピックは、堅苦しく、ハードルが高い印象を与えたり、押し付けがましいと受け取られる可能性もあると思います。その点、「毎食の栄養バランスを考えましょう」ではなく、「無理をしなくていいんだよ」という発信の仕方は、とても現代的で、生活者にも受け入れていただきやすいものだと思いました。

北島(電通):各社それぞれに課題があり、その解決の糸口が「ツジツマシアワセ」にあると考えられたのですね。今の時代にマッチした考え方だからこそ多くの生活者に声を届けることができるし、各社の連携によりさらに大きな影響力が期待できます。

キッコーマン 中島みどり氏

中島(キッコーマン):日々忙しい暮らしの中で、毎食、栄養バランスを完璧に整えていくことは相当に難しいと思います。日本の食に携わる各社が力を合わせて、(健康な食生活を)実践するハードルをできるだけ下げるのは、生活者に寄り添った発想で、すてきだと思いました。

北島(電通):「ツジツマシアワセ」でもう一つ重要なのは、単にゆるく考えるだけではなく、確固たる科学的な根拠があることですよね。食事の栄養バランスや品質を評価する新たな仕組み「JANPS(Japan Nutrient Profiling System)」という栄養プロファイリングシステムを開発し、栄養バランスのツジツマあわせをする際の指標も定めています。

ニチレイフーズ 齋藤猛氏

齋藤(ニチレイフーズ):この取り組みは、幹事会社の味の素さんが、日本で初めて独自の栄養プロファイリングシステムを導入した会社であることもポイントです。今後、こういった「業界共通の指標」は、国内の栄養課題を解決するために必要となるはずなので、当社も勉強させていただきたいと思っています。

北島(電通):味の素さんは幹事会社としてプロジェクトを牽引されてきましたが、各社が連携する意義や、現在の感触をお聞かせください。

味の素 小山仁見氏

小山(味の素):皆さんと一緒に、足し算ではなく掛け算のようなかたちで活動を広げていくことが、本取り組みの“社会ゴト化”への第一歩だと考えています。生活者の方々は、当然ですが特定メーカーの商品だけを食べて生活しているわけではなく、さまざまな企業の商品やレシピを活用しています。そのため、皆さんと協力しながら、生活者のWell-beingを高める接点を増やしてしていければと考えています。ツジツマシアワセマーク

「レシピ」の提案方法を中心に、各社が新たなアプローチを実践!

キッコーマン 中島みどり氏、J-オイルミルズ 髙倉安佑子氏、味の素 小山仁見氏
キッコーマン 中島みどり氏、J-オイルミルズ 髙倉安佑子氏、味の素 小山仁見氏

北島(電通):実際に各社でどのような取り組みをされているのか、伺えますでしょうか。

中島(キッコーマン):当社では、生活者との接点となる「商品」と「レシピ」を軸に、新しい試みを始めています。例えば、サイト内に掲載しているレシピに、毎日の食事で不足しがちな栄養素を補えるように工夫した「サプリ副菜」というカテゴリーを加えました。併せて、栄養に特化した記事も充実させたり、レシピアプリに献立の摂取カロリーや栄養バランスがグラフで確認できる機能を加えたりなどの工夫をしています。

髙倉(J-オイルミルズ):当社も同じく、「商品」と「レシピ」を中心に、生活者とコミュニケーションをしています。「ツジツマシアワセ」への参画は新たな切り口でメニュー提案ができるチャンスと捉えています。今後、参画企業の皆さまとコラボレーションしてメニューの開発をするなど、新しい展開ができるとうれしいですね。

北島(電通):各社の多様な食材を使って、健康でおいしいメニューをたくさん開発していただければ、「ツジツマシアワセ」のバリエーションも増えますね。レシピ開発・提案という視点で、エブリーさんにもご意見をいただければと思います。

栗原(エブリー):プロジェクトに参画する以前から、「生活者が知りたい情報を分かりやすくまとめて発信し、食と健康を考える場を作りたい」という思いが常にありました。そこで、プロジェクト参画と同じタイミングで、「デリッシュキッチン」から紹介しているレシピすべてに、主要な栄養成分を無料で表示するようにしました。これにより、カロリー、炭水化物、脂質、タンパク質、糖質、塩分といった情報が誰でも手軽に閲覧できるようになりました。健康的な食生活を送るきっかけを提供し続けていきたいと考えています。

北島(電通):エブリーさんは、「ツジツマシアワセ」のサイト設計にも関わっていらっしゃいますよね。

栗原(エブリー):はい。「デリッシュキッチン」のレシピメディア運営ノウハウを活かし、サイトの企画、開発、デザイン、運用までを全面的にサポートさせていただいております。ユーザー体験を考慮したUIUX設計のほか、レシピの表記の揺れを整えるお手伝いをしています。茄子なのか、ナスなのか。スパゲッティなのか、パスタなのか。各社の表記を統一して、レシピを探しやすくしました。

北島(電通):ハウス食品さんとニチレイフーズさんは参画されたばかりですが、どのような活動をしていきたいなどの抱負はありますか?

吉川(ハウス食品):これまでも当社は、生活者のさまざまなニーズに応えるべく多様なライフスタイルに合わせた商品を開発してきました。また、シーズンごとのレシピなど情報発信も積極的に行ってきました。今後は、「JANPS」を活用して、自社開発した商品や提案したレシピの健康価値を可視化できればと考えています。

齋藤(ニチレイフーズ):当社は、冷凍食品が主軸です。冷凍食品は簡便性がある一方で、健康的な食品というイメージを持たれにくい。おいしく手軽に栄養バランスを整える手段の一つとして冷凍食品を選んでいただけるように、まずは、ツジツマあわせの基本となる4つの栄養/食材にフォーカスしたレシピを開発したり、健康や栄養バランスをテーマにした情報発信を積極的にしていきたいと考えています。

北島(電通):プロジェクトを牽引する味の素さんとしては、どのような活動に注力することを考えていますか。

小山(味の素):当社としては引き続き、皆さんに使っていただいているJANPSの整備を続けていきます。そのほか、TikTokなどオウンドメディアを活用したプロモーションにも注力したいと考えています。メインターゲットである主婦層だけでなく、さらに多様な層にアプローチできるようなコンテンツの開発ができれば、本プロジェクトに共感してくれる層に厚みができるかなと。まずは当社が実践し、その結果を参画企業にフィードバック、そこから各社が新しい活動に広げていく。そんなことが実現できたら最高ですね。


食に関わる全ての領域とつながり、人々の生活に根づく活動を!

参画企業による定例セッションの様子。
参画企業による定例セッションの様子。

北島(電通):最後にこのプロジェクトを通して描ける未来についてお伺いしたいと思います。皆さん、どのようなアイデアをお持ちですか?

齋藤(ニチレイフーズ):長期的には「自炊しない人」や「健康課題を意識していない人」にもアプローチしていきたいと考えています。「ツジツマシアワセ」の考え方は、間違いなく万人に受け入れられると思うんです。だから、自炊だけに限定してしまうのは、もったいない。今後、「内食・中食・外食のトータルでツジツマをあわせていこう」という活動に成長できるとうれしいです。

北島(電通):それはすてきなアイデアですね!僕も、「ツジツマシアワセ」は、食に関わるすべての領域に広がる可能性を秘めていると思います。

栗原(エブリー):食に関わる領域は本当に広いですからね。当社の「デリッシュキッチン」でも、食品メーカーのほか、食品販売小売店や、省庁など、さまざまな方と取り組みを行っています。ですから、一緒に活動を推進していける領域は、まだまだあるはずです。今後、プロジェクトを拡大させるために、われわれがどう立ち回れるのかも意識して活動していきたいですね。

中島(キッコーマン):まずは、小規模でも良いので、何か一つ成功事例を作れればと考えています。当社も産官学で連携して食環境を整える取り組みをするほか、食育活動の一環で「栄養バランス」をテーマにしたコンテンツを開発しています。こういった活動を、「ツジツマシアワセ」に連携できると良いですよね。

北島(電通):まず、成功事例を作ることはとても大事だと思います。プロジェクトの起爆剤にもなりますし。

髙倉(J-オイルミルズ):例えば、流通や販売店などを巻き込んで、「ツジツマシアワセ」の売り場を作るという取り組みも考えられます。「ツジツマシアワセ」のロゴマークを使って売り場をレイアウトして……。結果的にプロジェクトの認知度が上がっていくとうれしいですね。

吉川(ハウス食品):最終的に、誰もが食と健康を自分で考えて、選択し、幸せを感じながら食を楽しむ――そんな社会になっているのが理想ですよね。健康や栄養を考えるのは難しいことでもないし、特別なことでもありません。食を通して、笑顔が広がっていくことを願っています。

北島(電通):皆さんから、すてきなご意見をたくさんいただきました。プロジェクトの事務局としても、各社が協力し合って、「ツジツマシアワセ」を盛り上げてくださることを願っています。最後に、味の素さんから、今後の抱負をお聞かせいただけますか。

小山(味の素):このプロジェクトが、生活者の皆さん一人一人の生活の中に落とし込まれていくと良いですよね。バランスの良いおいしい食事を楽しむことが、Well-beingにもつながっていくはずです。

また、今は情報があふれている時代です。ときには誤った情報が一気に拡散されてしまうこともあります。われわれのような食に関わる企業は、生活者に食を通じてより良い生活を実現してほしいと願っています。そのため、これからはたくさんの企業が協力して正しいメッセージを発信していけるといいなと考えています。

生活者に正しい情報をしっかりと伝え、多くの人に楽しくおいしく食べ続けられる人生を送っていただくことを目指して、これからも活動を続けていきます。

集合写真

※味の素
本プロジェクトの幹事会社である味の素。パーパスは、「アミノサイエンスで、人・社会・地球のWell-beingに貢献する」。独自の栄養プロファイリングシステムANPS(食品の栄養面での品質を科学的な根拠に基づいて値化する指標)を導入するなど、食品の栄養価値指標の標準化にも力を入れている。

※エブリー
ミッションに「前向きなきっかけを、ひとりひとりの日常にとどける。」を掲げ、月間利用者数5600万人以上を誇るレシピ動画メディア「デリッシュキッチン」を運営するエブリー。「誰でも簡単においしく作れること」をコンセプトに開発された55000本以上のレシピは、すべて管理栄養士など食のプロが監修している。

※キッコーマン
しょうゆ、和風調味料、みりん、料理酒などを展開する「キッコーマン」をはじめ、「デルモンテ」「マンジョウ」「マンズワイン」などのブランドをもつキッコーマン。「おいしい記憶をつくりたい。」をスローガンに、「食にまつわる体験を通じて、人々のこころもからだもすこやかになってゆく」ことを願い、「食と健康」の取り組みを続けている。

※J-オイルミルズ
企業ビジョン「Joy for Life -食で未来によろこびを-」を実現する手段として、「おいしさ×健康×低負荷」を推進。「AJINOMOTOブランド」の家庭用油脂や、国内シェア約40%を誇る業務用油脂のほか、スターチ、マーガリンの製造・販売を行う。植物油を使ったレシピ開発にも積極的に取り組む。

※ニチレイフーズ
「人々のくらしを見つめ、食を通じて、健康で豊かな社会の実現に貢献します」というミッションと、「おいしさと健康を、わかちあえる世界へ FoodJoy Equity」というブランドステートメントを掲げる、冷凍食品のフロンティアカンパニー。冷凍食品、レトルト食品、ウエルネス食品を中心に事業を展開。

※ハウス食品
カレーやシチューなどの調味料・調理品のほか、デザート、スナック、ラーメンを中心にさまざまな商品の製造加工・販売を手掛けるハウス食品。「食を通じて、家庭の幸せに役立つ」を企業理念に掲げ、「食べることは、栄養をとるだけではないし、ココロまで豊かになること」だと定義している。

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