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電通報ビジネスにもっとアイデアを。

新明解「戦略PR」No.11

最近改めて、雑誌ってネットワークがスゲェ!と思うんです。

2014/06/30

最近私は雑誌に興味を持っています。いろんな企業に戦略PRのレクチャーや勉強会をさせていただいているんですが、中には新聞社や出版社からのセミナー依頼などもあるのです。もちろん課題は、「最近雑誌が売れなくて…」ということ(でも、それにズバリと答えられたら苦労はないわけで)。なかなかこれといった答えは出ないながらも、個人的に感じることはやっぱりあるんですよね。自分を振り返ってみると、新雑誌がバンバン創刊され売れ行きを伸ばしていた時期に、1カ月に10冊以上雑誌を買っていたのですが、今読んでいるのはビジネス誌と業界誌くらい。読む理由は、興味半分、仕事半分というところです。楽しんで見ているのはウェブの方なのかも。果たして何が変わってきたのでしょうか?

ウェブに対して雑誌が持てるアドバンテージは何なのか?

私はいわゆるバブル世代でして、大学生の頃はハウツー本が全盛期でした(この時代を懐かしがる人も、これ読んでくれてる人の中には結構いるんじゃないかなー)。その後、いろんな雑誌と出合いましたが、とにかく情報を詰め込んで、博識ぶりたい私にとっては「カタログ的雑誌」がジャストフィットしていて、隅から隅まで読むことを繰り返していました。ただこの「カタログ的」な部分が、このインターネット時代には逆風となり、その速報性や情報収集力、キュレーション力含めて、雑誌群は後塵を拝してしまったのではないかなと。かく言う私もネットサーフィンに明け暮れるようになってしまったわけです。

ではウェブに対して雑誌が持てるアドバンテージは何なのか? 最近いろいろな出版社の編集者と話をするにつけ思うのは、やはり「ネットワークがスゲェ!」ということ。いろんな情報を探し、取材してくる記者のスキルももちろんなんですが、編集者が持つ人のネットワーク、そしてそこを通じて拾える情報の深さというのがやはり「ハンパねぇ!」って強く感じるんです。そこでPR的目線で思うのが、「このネットワークをPRで生かせねーか?」ということ。雑誌を売るということがなりわいになっている出版社ですが、紙による出版という制約を捨てられない限り、出版プロセスやコストといった物理的な課題を飛び越えることは無理だと思うのです。それとは別に、何か出版社の中に存在しているよりコアなバリューがあるのなら、それをビジネスにできないものかと。

編集者の蓄積されたノウハウがPR目線で生きるようなことを考えたい

もちろん既に、人気雑誌の編集長にブレストに入ってもらい、製品やサービスの打ち出し方にアドバイスをもらうとか、より川上で商品開発なんかにも関わってもらうなどの取り組みは始まっています。しかし、そういう個人のカリスマ性に頼るものではなく、彼らをハブとした、よりダイナミックなネットワークで事に当たる方が大きな変革をもたらすのではないかと思うのです。そして、そのときに気をつけなければいけないのが、これまでのスタンダードを捨てることです。これまでのように出版社の広告部主導でペイド案件の単なる組み合わせをしたような企画ではなく、編集者の蓄積されたノウハウがPR目線で生きるようなことを考えたいところです。

例えば、彼らに入ってもらい記者発表会のコンテンツを構成してみるなどはどうでしょうか。当該の製品やサービスが設定するメーンターゲットを読者層とする雑誌の編集者が、読者が振り向きそうな方向性でタイトルや演出に関わってくるとなれば、これまでの発表会とは異なる趣のものができそうです。さらに彼らのネットワークを生かし、その演出や造作にまでエッセンスが入り込めば、またその世界観を深掘りして提示することができるかもしれません。通常の契約では呼べないタレントなども、その雑誌の世界観の中でならOKと快諾してくれることもあるでしょう。もちろんベーシックな記者発表会を否定しているわけではなく、また違った視点を持つからこそ得られる空気感や雰囲気をまとうことによって、ファクトの提示によるロジカルな情報伝達というこれまでの方法に、少し広がり感を付加できるような気がするのです。そのような協働の仕方がまだまだあるのではないかと今、強く感じているのです。

雑誌GINZAがプロデュースしたスターバックスの記者発表会

 

雑誌を売るためのサポートというストレートな手伝い方もあるのでしょうが、企業が持つ別のポテンシャルをビジネスに結びつけられないかと考えるのも、非常にオモシロい取り組みかと思います。電通の中でも、さまざまな部署が次の世代のビジネス開発・開拓に注力していて、私もよくそんなチームにお声がけいただきますが、「社会に対して新たな価値を抽出、提示していく」というのもPRの得意な領域だと思います。みなさんもそんな芽がありそうならば、いつでもお声がけくださいね。きっと楽しい議論が尽きないはずです。