シンブン!今だからできること。今しかできないこと。No.17
増やせ!新聞ファン(3)
生み出せ未来の購読者、11月に創刊
~「読売中高生新聞」~
2014/11/07
~新聞各社は今、こんなにユニークなプロジェクトを展開している~
今、新聞メディアのコミュニケーション領域は紙面の枠組みを超え、自由な発想で広がりを見せています。全く新しいターゲットへ向けての取り組みや、今までにない斬新な手法での読者とのコミュニケーション活動が盛んに展開されているのです。本コラム「シンブン!」では、そんな新聞各社の新しい動きの中から、中央5紙のユニークな事例を各社一つずつピックアップし、担当者に話を聞きました。
増やせ!新聞ファン(3)
生み出せ未来の購読者、11月に創刊
〜読売新聞社「読売中高生新聞」〜
読売新聞社が11月7日に創刊したのが「読売中高生新聞」(タブロイド判オールカラー、毎週金曜発行)。同社は既に小学校高学年向けの「読売KODOMO新聞」を2011年から発行、22万部(14年10月現在)と好調だ。読売中高生新聞の編集長を務める読売新聞東京本社編集局社会部の吉池亮氏は創刊意図について「KODOMO新聞“卒業”後の媒体がない。中高生の活字離れやスマートフォンの普及が進む中、彼らの目線で丁寧にニュースをかみ砕いて伝えるものが必要と考えた」と語る。読売KODOMO新聞は事実上、中2ぐらいまでの読者がいる。高2、高3あたりからは大学受験に備えて新聞を読む。そこで読売中高生新聞は中2、中3、高1をコアターゲットに設定した。
創刊に当たり、試作紙面で中高生に詳細なリサーチを行った。24ページで構成する紙面では、社会部記者によるニュース6ページをはじめ、スポーツやファッションの最新事情、学力アップに役立つ情報などを盛り込む他、この年代ならではの悩みや主張を読者全体で考える投稿コーナーや、小学館の特別協力の下、小説やコミックのページも設ける。
「新聞の良さ、強みとは一覧性。そのコンセプトは中高生新聞にも生かされている。新聞の魅力や可能性を十分に伝え、将来の購読につなげられるものができた。まずは手に取ってほしい」と吉池氏。
紙面への導線として、創刊に先立つ9月29日には、投稿欄と連動した双方向のスマホアプリ「Yteen」もリリースした。ニュースなどにまつわる感想をリアルタイムで投票できる「簡易型世論調査」の仕組みも採用し、広告主のマーケティングへの活用、さらには授業におけるディスカッションの素材となることも期待している。
未来を見据える吉池氏は「現在のターゲットである14~16歳は、2020年には成人となる。彼らに社会を知る場、選択肢を提示して、20年以降を生きる力を育て、日本の活力を取り戻す一助になりたい」と展望する。