人もペットもうれしい社会を。No.16
ペットのためのリハビリ、考えたことありますか?
2015/01/07
人の世界では少子高齢化が叫ばれていますが、実はペットの世界にも高齢化が始まっていることを、みなさんはご存じですか?
犬の平均寿命は日本ペットフード協会が実施している調査を見ると、2011年に13.9歳、2013年の最新データでは14.2歳と微増しています。ペットの寿命は、飼育環境の変化によって、この10数年の間に格段に延びたといわれています。
背景としては、
■室内飼いの増加(大型犬から小型犬化)
■ペットフードのプレミアム化
■多様なペットケアサービスの登場
という3点が存在していると考えられます。
犬は元来、大型犬よりも小型犬や超小型犬の方が寿命が長いといわれています。そういった基本的な差異に加えて、屋外よりも室内での飼育が増加したため、病気になる犬も減少しました。また、ペットフードの栄養価や効果もより高度化していることなども、平均寿命の延長へとつながっています。
また、別の視点からも見てみましょう。
ペットのケア用品市場は2009年の時点で666 億円、2013年には699 億円、そして2018年には741 億円になると予測されています(2014ペット関連市場マーケティング総覧/ 富士経済より)。特にペットのオムツ市場は、高齢化が年々進んでいることに応じて、ここ数年は毎年成長を続けています(2014年は25.4億円。前年比38.2%増)。ペットのサプリメント市場も2014年は35.5億円となり、前年比26.8%の成長を遂げているなどの事実からも、ペットの高齢化をうかがい知ることができます。
ペットの高齢化に備えて始まっているサービスもあります。それは、ペットの介護です。
ペットが高齢化すると、人間と一緒で、病気にかかることはもちろん、関節が悪くなったり、白内障になって目が見えにくくなったりもします。そんなペット、そしてオーナーのために、ケアを専門としたサービスも数多く生まれています。
そのようなペットとの生活の中で、私が注目しているのは“ペットのリハビリ(および理学療法)”です。
人間同様にこれからペットの高齢化が進み、ペットが手術などを受ける機会はおそらく増える可能性が高いでしょう。また、高齢がゆえに発生する体の違和感(うまく体が動かない、足の動きが鈍くなったなど)にも対応していく必要が出てきます。
そんな時に必要となるのは、“リハビリ(および理学療法)”です。
ペットのリハビリは、オーストラリアやスウェーデン、そしてアメリカなどが先進国とされ、日本ではまだまだ導入が追い付いていない、というのが実情です。日本でも近年やっと注目をされ始めてきました。
海外では“動物理学療法士”という国家資格が存在していたり、人間を対象とする理学療法士が動物にも施術を行うようになるなど、さまざまなアプローチが存在しています。ですが、日本ではまだそういった資格の整備も完了していない状況です(もちろん、民間資格や団体は存在していますが)。
リハビリは主に水中で行われ、大きなプールなどにペットと一緒に入り、体を動かすサポートをするのがベーシックな形式となります。ペットの体重を浮力で浮かし、体を動かしていくのです。
大きな動物病院などでは導入も始まっていますが、ぜひ今ペットを飼っている方も、またこれから飼うことを考えている方も、いつか必要となるその日のために、“ペットのリハビリ”という意識を持っていただきたいと思っています。
ペットは本当に私たち人間と似ています。
年を取れば、体の機能は低下し、訓練をすれば学び、回復します。