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「そのひと言」の見つけ方No.7

要約を避ける。

2015/01/15

仕事をしているとよく「ひと言で言うと何?」と言われる場面があります。
ぜんぶの要素を短くまとめるとどういうことだ?という意味ですが、要約だけだと人は振り向かないなというのが実感としてあります。

たとえば「価格は◯◯。使う人は××。こんな商品が生まれました、これからも△△にご期待ください」というようなコピーに人は振り向きません。(おもしろくないですよね?)
要約は、スペックをつなげていけば誰にでもできる。
そのスペックをつなげた先に結局何を指し示すのか、というのが大事なのです。

最近のCMは「続きはWEBで。」というのが一般的です。
そこでウェブサイトに行ってみると、ものすごく長い文章が……。それでは人は見ません。最後まで読んでもらうための「工夫の一行」が必要なのです。たとえば「その秘密がラストで明らかになる!」のようなオーソドックスなひと言でもいい。

大事なのは要約ではなく、先まで読んでみたくなるひと言。それがあるだけで読む人のモチベーションが違ってくると思うのです。

コピーを書きはじめたころ僕が陥ったのは、長い文章を要約して、それでおしまいにしてしまうことでした。サービスの全容が2000字あるとして、箇条書きにしてみたり、むりやり300字くらいにまとめてみたりするのはトレーニングとしては有効です。
そういう工夫をして大事な情報だけを抽出したら、次はそれを文章の中心に据えて、サービスの全容をぜんぶ読んでもらうための仕掛けをつくる必要があります。その先まで知りたくなるひと言をつけていくことで、読みとばされない、魅力的な文章に仕上がっていくのです。

同僚とランチに行ったときに、週末に観た映画の話をするとします。
「タイトルは◯◯で、主演は△△で、監督は××で、始まりは~~で、ラストは~~だった」と箇条書きみたいに話す人はいませんよね。でも「週末にすっごく恋をしたくなる映画を観た!」とひと言あると、「どんな映画なの?」と訊きたくなる。
そのように相手を引き込む話し方を意識するだけで、ビジネス上の言葉の使い方も違ってくる。読み手にイメージをさせるひと言をつくれるようになるし、実際それだけで人は続きを読みたくなるのです。

ビジネスというのは人を動かすものです。

その人に、商品に恋をしてもらう。会社を好きになってもらう。自分と一緒に仕事がしたいと思ってもらう。
そのためには自分が商品や会社を好きになって、どう伝えたら自分と同じ恋の気持ちを持ってもらうのかを考え抜くというのが、ビジネスの基本だと思います。

絵/齊藤智法(電通 第4CRプランニング局)