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シンブン!今だからできること。今しかできないこと。No.22

地方創生に挑む地方新聞社(1)

餃子日本一奪還プロジェクト

2015/06/05

~地方紙は今、読者との絆を財産に、新機軸の取り組みにチャレンジしている~
今、地方新聞社は、地元での強いネットワークを生かし、新たな事業を創出、地域活性化に大きく寄与する取り組みを展開しています。各社は従来の枠を超え、新領域で次々と地方創生につながる成功事例を生み出しています。本コラム「地方創生に挑む地方新聞社」では、そんな取り組みの中からユニークな事例をピックアップし、6週連続でお届けします!


 

地方創生に挑む地方新聞社(1)

 

下野新聞社

餃子日本一奪還プロジェクト

名物“宇都宮餃子”を全国に発信。イベントでおいしさアピール

「餃子(ギョーザ)の街」として有名な宇都宮市。同市は1996〜2010年の15年間、総務省家計調査で餃子の1世帯当たり購入額日本一だったが、東日本大震災後の11年からは風評被害や原材料の不足などにより2位に陥落、観光客も減少した。この沈滞した地元の状況を打破しようと下野新聞社が立ち上げたのが「宇都宮餃子消費量日本一奪還プロジェクト」。12年5〜12月、広告特集紙面やソーシャルネットワークでの展開、店頭キャラバン、イベントなど多面的な企画を実施。大きな反響を呼び、新規広告主の開発など広告面でも成果を挙げた。13年の調査では、見事1位を奪還。このプロジェクトは新聞社ならではの総合力が高く評価され、日本新聞協会の第34回新聞広告賞(新聞社企画部門)を受賞、同社にとって初めての同賞受賞となった。

奪還の号外

13年以降も同市は浜松市と餃子消費量を競っていたが、現在は順位にこだわらず宇都宮餃子ならではのおいしさを全国に広めることに主眼を置いている。今年4月17〜19日、第2回「宇都宮餃子祭り in YOKOHAMA」が同社主催で開かれ(協力=宇都宮餃子会)、会場の横浜赤レンガ倉庫前広場は餃子の香ばしい匂いに包まれた。約80店が加盟する宇都宮餃子会から15店が出店し、各店自慢の餃子を販売。3日間で約16万人が来場した。

同社東京支社営業部の伊澤隆寛係長は「上野東京ラインの開通で宇都宮は首都圏から日帰りも楽になった。大型連休や夏休みには現地に足を運んでもらいたいと企画した」と餃子を通じた観光客誘致、地域活性化をもくろむ。

伊澤 隆寛氏
伊澤 隆寛氏

宇都宮餃子会の鈴木章弘事務局長は「いろいろな国の、例えばラビオリのように餃子と似たレシピとのコラボなど、宇都宮餃子を世界に広めていきたい」と夢を語る。

16年、日本各地で餃子によるまちおこしをする団体が一堂に会する「全国餃子サミット」が宇都宮で開かれる予定だ。宇都宮から全国へ、そして世界へと、宇都宮餃子の快進撃に期待が寄せられている。

鈴木事務局長
鈴木事務局長