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「届く表現」の舞台裏No.2

ジローラモ氏に聞く
「鮮度が大切なライフスタイル誌の世界で、
創刊以来『LEON』の顔であり続けられるワケ」

2015/06/18

各界の「成功している表現活動の推進者」の方々にフォーカスしてお話を聞きます。

『LEON』と私とは、最初からいい出会いだった、いい結婚だった。そういうお互いに必要なものだったんです。1991年からNHK「イタリア語会話」に出演し、毎回自前で服装も全てスタイリングしていたら、話題になってファッション雑誌から声を掛けられたり、広告に出たりするようになった。そんなときLEONの話が来たんですよ。もともと私は洋服や小物、車を買ったりするのが好きだったし、ライフスタイル-例えばどこに食べに行くとか、どうやって人を喜ばすかも、LEONの提案するコンセプトそのものだった。LEONのパワーがあって、私自身のものもあった。ちょうどいいタイミングだったんですね。今もLEONの仕事を自分の生活みたいな感じで楽しんでいます。嘘をついていない、自然なんですね。モデルとして洋服を着るとき、着せられているんじゃなくて自然に着ているんですよ、洋服が好きだから。私がだらしない格好をして街を歩いていたら、「あ、あいつ、普段は違うんだね」と言われちゃう。だから責任を感じています。でも、日常生活がLEONのようなんです。

時代が変わって、社会が変わって、読者が求めるものも変わる。私もLEONのスタッフも努力して、毎回いろんなことを研究しています。でもそれは、家で何かを勉強することじゃない。センス、なんですね。私たちの日常生活そのもの、センスを生かしているだけです。新しいテーマを始めるとき、みんなで一緒に相談して、編集長から「ジローラモさん、今度はこういう感じで、こういうムードでいこうよ」と言われる。そうすると私もスタッフも、街を歩く時までそういうムードになる。雑誌の中だけではない、動く宣伝になってくるんですよ。例えば、私がいつもはどういう車に乗っているのか、みんな見たがる。私はそこを意識して、自分の判断で乗る車を選ぶ。もらうものより自分で買ったものの方が結局は高い価値を持つ。お金は掛かりますけど。

いい写真にするには、撮影現場の雰囲気づくりが大切だと思っています。例えば、仕事仲間のモデルさんを立てないといけないんです。ただ握手したりとか、そういうことだけじゃない。長い時間一緒にいると元気にさせないといけないし、笑ってもらわないといけないからコミュニケーションをとるんですよ。仲良くなることですね。仲良くなると外から見て、「あ、ナンパしてる」と思われる。違うんですよ。同じ撮影チームのメンバーで休暇でハワイに行って、家を借りて、4日間ほど一緒に過ごすということも何回かしています。チームのみんなが仲良かったら、そこに他のモデルさんが入っても撮影がしやすい。カメラマンも気持ちよく撮影できる。結果として出来上がりが全く違ってきます。現場の雰囲気は読者に伝わるんです。

あと、LEONの表紙の撮影をするとき、前もって決めたテーマはあるけれど、現場で話すうちに最初のテーマからちょっと変わってしまうこともあります。私もそれに合わせて演技しなければならない。これは演技ですよ。本当に映画みたい。ディレクターはいるし、ディレクターと仲のいい役者もいる、プロデューサーもいるし、という感じですね。一枚の写真は一つの映画ですね。毎回こうしたやり方で表紙を作っている雑誌は珍しいと思います。
LEONがスタートしたころから見ると、制服っぽかった日本のサラリーマンの人の服装もずいぶん変わった。おしゃれになりましたよね。男の人は、年取っても「かっこいい」と言われたい。“おっさん”になっても「イケてる」と思われたい。だから、私は「あなたはまだ終わってないよ」と伝えたい。そういうことなんです。

男性ライフスタイル誌『LEON』 (主婦と生活社)創刊号(2001年11月号)  最新号(15 年7 月号)
男性ライフスタイル誌『LEON』(主婦と生活社)創刊号(2001年11月号)⇒最新号(15年7月号)
2014年3月、「連続して最も多く月刊誌の表紙を飾った数(男性モデル)」(151回)として、ギネスワールドレコードに認定された。