コンテンツマーケティングの現場からNo.11
僕らがコンテンツマーケティングを
進化させていく
2015/07/08
この春、電通に「コンテンツマーケティング部」が新設されました。
私たちは「コンテンツマーケティング」の戦略を立て、コンテンツの企画、実施運用をしていく専門家集団ですが、いま世間で言われている「コンテンツマーケティング」に収まる業務を目的としているわけではありません。私たちは社内外から多種多様なメンバーを集め編成されたチームで、ストラテジックプランナー、テレビディレクター、ウェブクリエーター、CMプランナー、コピーライター、PRプランナーなど、異なる専門領域をベースにしたスタッフが日々知恵を出し合い、マーケティングコミュニケーションの未来に向かって手さぐりで進んでいます。
今回はそんなコンテンツマーケティング部のメンバー紹介と、それぞれが「コンテンツマーケティング」の未来について考えていることの一部を記事にまとめました。何か感じるものがあった方は、ぜひ気軽にお声がけください。「コンテンツマーケティング」というフィールドを拡張させながら、一緒に新しい事例を作り上げられることを楽しみにしています。
岡崎 俊介
従来のコミュニケーション設計では、ユーザーの自由意思に任せざるを得ないフェーズがどこかに必ず出てしまう。コンテンツマーケティングでその領域をプランニングする。
AISAS などの従来の消費者行動の設計には、こちらの手が届かない、ユーザーの自由意思に任せざるを得ないフェーズが必ずありました。コンテンツマーケティングは その領域に入り込み、自然な形で知らない間に彼らの行動を誘導することができると考えています。僕はコミュニケーション全体の設計の中でのコンテンツマー ケティングを考え、運用しています。
西山 孝
「止まらない。走りながら考え結果を出す」テレビの世界で学んだ「もりあがり曲線」思考
長年テレビの制作現 場にいた経験を生かし、ある大手企業の案件ではコンテンツで話題を作り、多くの人を引き付け続けるという成果を出すことができました。テレビ業界と広告業 界で大きく異なるのは時間の観念。継続的にコンテンツを発信し、運用をしていく作業は、放送され続けるテレビ番組で好視聴率を取っていく感覚に似ていま す。ある程度の成果を見通した「もりあがり曲線」で企画を考え、それを受け取った生活者の変化や反応に敏感に対応できるか。止まって考えずに走りながら都 度考え、結果につなげていくことが大事だと考えています。
深井 久吉
「オウンドコミュニティー」は、成功するためのアイデアの宝庫
私は、大企業のオウンドメディアでユーザーが 交流する「オウンドコミュニティー」の運用をしています。ここではちょっとしたコンテンツを提供するだけで生活者の反応やニーズを驚くほどに集めることが できます。商品企画につながるアイデア収集や、現商品のVOC(顧客の声)収集も物すごく効率的に行うことができます。企業が成功するためのアイデアの宝 庫です。オウンドコミュニティーの継続運用は難しいポイントが多いですが、私たちはそのノウハウを日々、現在進行形で蓄積しています。
瀬戸 康隆
コンテンツマーケティングは、生活者との「結婚」
従来の広告とコンテンツマーケティングは、「恋愛」 と「結婚」のような違いがある、と私は捉えています。恋愛と結婚では何をシアワセと感じるかも変わってきます。相手を口説き落とすことがゴールではなく、相手のことを深く理解して長く良いおつき合いをしていく。それがボクらが求めていくべきことです。これまでバキバキの CM畑で培った、何でも面白くするチカラを武器に、コンテンツマーケティングを楽しくします。この分野は結果がシビアに出るので、良い意味で緊張感を持て るのがクリエーターとしての自分にも刺激になっていてワクワクしています。
村田 晋平
おもしろきことなきなにかをおもしろく
この領域が今後面白くなるには、届いたときの気持ちよさまで計算して実施することだと思っています。数字から出る機械的なアウトプットだけでなく、説明しにくいけれども、フツー なものがちょっと面白くなったり、堅苦しいものがちょっとチャーミングになる、そんなアイデアのチカラが生きていくといいなと思います。今よりも人の温度 を加えたいなと。感覚的な視点でのニーズの掘り下げや、はっきり説明できないけど面白くなるツボがどこかにあって、それを見つけて形にする仕事を やろうとしています。
坂井田 直幸
事業計画目線で捉える「想い出にする」コンテンツマーケティング
私が携わっている外資系メーカーの案件では、デジタルとア ナログの手法を組み合わせたコンテンツマーケティングで「生活者の思い出作り」を仕掛け、ブランドのアウェアネスが向上したとご評価いただいています。目 の前の課題を見るだけでなく、中長期的な事業計画としてアクションできたことが成功につながりました。今後はコミュニケーション視点に加えて、経営視点で 常に考え、コンテンツマーケティングを動かしていく姿勢がより求められていくと思います。それを実現するための専門家が集っているのがこの部署の魅力で す。
藁科 遼
その言の葉は本当に届くのか、を徹底追求
私が経験を積んできたPRの職域は、言の葉(ことのは)になるか、 その言の葉がどこまで届くのか、ここを重視します。専門家集団であるこの部署での私の仕事は、部活のメンバーが集う食堂のおばちゃんのような存在と捉えて います。ちょっとした助言によって、チームに別の視点や価値観を入れられたり、結束が強まったりする働きができたらいいなと。常にPR視点で考え、過去の 事例を交えながらコンテンツが生活者や社会からどう映るかを提示する。そのための情報収集や、人脈構築には、人一倍精力を注いでいます。
佐々木 祥
生活者のことを肌感覚で知り、最良の選択肢を提示
インターネットで影響力のある生活者の興味関心や価値観 を、肌感覚でわかる世代というのが自分の強みのひとつです。コンテンツマーケティングでは、生活者の反応に真摯に向きあい、最良の選択肢を提示していく必 要があります。私自身はクリエーティブ畑ですが、そこにあぐらをかくことなく分析やデータ、メディアの専門家などとの協業によってソリューションを組み立 てています。実際に、ある案件ではそうした協業によって成果が出始めています。
澤村 紘史
生活者や社会の潜在的な空気や声を「見える化」
私のもともとの専門領域はPRです。PRでは、数字で示され る指標もさることながら、そこに表れてこない世の中の声や空気、流行などをくみ取り、顕在化させることを意識します。こうした視点を、どう盛り込んでいけ るかが、次世代のコンテンツマーケティングの設計に求められています。この部署では、生活者が「ジブンゴト化」したり、社会が関心を持つ「ヨ ノナカゴト化」される情報やコンテンツを作りあげ発信し、さらには運用までしていけるのが特徴と思っています。
小林 麻里奈
新鮮な目線で橋渡しをする「コミュニケーションの翻訳家」を目指す
入社1年目でこの部署に配属されまし た。幼少期から海外生活の経験が長く、自分が自然とコンテンツマーケティングと強く接していたことを知り、その魅力や豊かさを実感しています。コンテンツ マーケティングが生まれた背景の文化や価値観を持っていますので、コンテンツマーケティングで、クライアントと生活者を橋渡しする「コミュニケーションの 翻訳家」のような存在になりたいと考えています。
コンテンツマーケティング部は、iPR局の中でも、いつもひときわにぎやかです。自分の企画が狙い通りにワークするかどうか。お互いに意見を求めあう傍らで、愛のこもった辛辣なコメントがしょっちゅう飛び交っています。データ解析やSEOの専門家を巻き込んでの企画、ブランドやマーケティング戦略のチームとの連携、部のメンバー主導で勉強会や情報共有会も頻繁に行われています。
どんなに精度の高いマーケティング戦略を立てたとしても、最後に生活者と接し彼らを動かすのは「コンテンツ」です。動画、記事、PR、イベント、コミュニティーなど多様なアウトプットの手法とそれを実現するためのネットワークを持っているチームとして、私たちは、「コンテンツ」をコミュニケーションの手段にとどまらず、ビジネスをドライブするための手段として活用していきたいと考えています。電通は、デジタルでのマーケティングソリューション、コミュニケーションプランニングはやっていないと思われている方もいらっしゃるかもしれませんが、実はもうこんなところで始まっています。