「線を引く」を面白く
2015/12/24
電通の若手アートディレクターが考える「○○をもっと面白くするアイデア」をご紹介。今回は、堤裕紀さんが「線を引く」をテーマにしました。
何でもないモノに味わいを付ける
──なぜ「線を引く」を面白くしようと思ったのですか?
元々、身の回りにある何でもないモノでもアイデアやストーリーなどの味わいを付けると、ちょっとだけ日常が豊かになる、ということに魅力を感じていました。
その延長でモノと行為の関係を面白くできないかと思いました。
なぜ「線を引く」という行為を選んだかというのは、実は深い理由はあまりないのですが(笑)、アイデアを練っているときにデスクの上の定規がふと目に止まったんです。
なんの変哲もない定規でしたが、そこに水平線の写真を閉じ込めることで、使用しない時は、気持ちよい風景写真として飾れるし、使用するときには水平線をなぞる行為がちょっとした楽しみになる。これはいいかも、思いました。
子どもが新しい発見のきっかけに
──今、堤さんが気になっているものは何ですか?
今というか、ずっといいなと思っているのは哲学者・随筆家の串田孫一さんのエッセイ。特に『文房具56話』が好きです。身の回りにあるモノへのまなざしが豊かで、僕もそうありたいなと思います。
あとは最近生まれた子供の様子を見ていて思うのですが、子供の頃って例えば道に落ちている小枝や石につい反応してしまったり、ストローを吸うものでなく“吹く”ものとして使ったり。そういう大人になって忘れてしまった子どもが本能で反応する感覚やルールに縛られない視点を見れるのは、新しいきっかけを発見できそうで楽しみです。