Experience Driven ShowcaseNo.46
Canon EXPO 2015 先端映像技術で、
高画質を超えた「超臨場感」体験を
2016/01/25
「Canon EXPO」は、キヤノンが5年に1度、ニューヨーク、パリ、東京そして上海で開催するプライベートイベントです。2015年は、9月のニューヨークからスタートし、10月にパリ、11月に東京で開催、同社の最先端技術と将来ビジョンを紹介しました。このイベントを担当した、イベント&スペース・デザイン局の石井宏枝がその概要をレポートします。
取材・構成編集:金原亜紀 電通イベント&スペース・デザイン局
■キヤノンの最先端映像技術を生かした製品を、世界にアピール
ご存じの通り、キヤノンはカメラとプリンターのトップメーカーとして、誰もが知るグローバルブランドです。しかしながら、同社は「写真」の世界にとどまらず、オフィス、医療、製造、セキュリティーなど、多様な分野において、その先端映像技術を生かした製品を提供しています。
Canon EXPO 2015では、そうした企業の総合力とともに、キヤノンが追求し続ける映像のイノベーション、まだ世に出ていない開発中の未来技術に高い注目が集まりました。
その一つが、「高画質」の先へ向かう新たな映像体験―「超臨場感映像」
ただ、「高精細で美しい」だけにとどまらない、人のさまざまな感覚を呼び覚まし、化学反応を生むような、映像が持つ可能性を全く新しいアプローチで見せる挑戦です。
■「プリント」は、いかに実像に迫れるか
「え?ここはどこ?」と誰もが思わずのぞき込んだのは、最新の超高精細プリント技術で再現した、空港の窓の外の風景。二次元のプリントのはずなのに、奥行き、立体感、質感までも感じさせるプリントが視覚を圧倒し、あたかも本当にラウンジに立っているかの臨場感を味わうことができます。まるで、時間や距離を超えて、どこかに瞬間移動するかのような体験も、可能になるかもしれません。
フェルメールの名画「真珠の耳飾りの少女」を、来場者がわれ先に続けと触れていく。
これも、撮影した原画の情報を、最新のプリント技術で質感、ツヤ感、そして油絵の繊細な立体感まで再現した、まさに正真正銘本物の複製です。例えば、ガラス越しにしか見ることができない、ルーブルのあの女性の顔にも触れられる時が来るかもしれない、今までにないオープンエアでの名画展示会ができるかもしれない。新しい芸術鑑賞の可能性を感じることができました。
■「映像」は、どこまで人の感覚を揺さぶることができるか
次世代の動画技術8K映像のシアターでは、周辺視野も意識した3面スクリーンで、電車や車が前進する映像を上映しました。テーマパークのように動く椅子ではなく、超高精細映像で人の脳の感覚をいかに揺さぶることができるか。なかには、本当に目まいを覚えたお客さまもいらしたほどでした。
今回ご紹介したのは、Canon EXPO 2015で展示された先端技術の一部です。
2020年に向け、テレビ・放送業界では4K、8K放送が本格始動し、モバイルでの映像コミュニケーションが日常となったいま、進化する映像技術で次はどのような「体験」を生み出すことができるのか、さらにそこからどのような付加価値を創ることができるのか、「技術×人の感覚」へ、これからも注目していきたいと思います。
次回は、このイベントを共にプランニングした電通CDCの岡部将彦氏、なかのかな氏と制作過程について話します。